【目次】
・「画竜点睛」の意味や由来は?
・画竜点睛の正しい使い方は? 3つの例文をご紹介
・画竜点睛の類義語とは?
・画竜点睛の類義語とは?
「画竜点睛」の意味や由来は?
画竜点睛の言葉の意味
「画竜点睛」は〝がりょうてんせい〟と読みます。「画竜」は竜の絵のことで「点睛」の「睛」は瞳、つまり目を描くことです。竜の絵は瞳を書き入れなければ完成しませんし、瞳は竜の表情を決める最後の大仕上げです。このことから、それがないと完成したことにはならない最後の大事な仕上げ、またほんの少し手を加えることで全体が引き立つという意味で使われます。
画竜点睛の言葉の由来
「画竜点睛」は中国の故事成語で、その由来は「歴代名画記」に書かれています。
中国南北朝時代の梁(りょう)の画家・張はお寺の壁に睛(ひとみ)のない二匹の竜の絵を描き、「睛を入れれば、たちまち竜が飛び去る」と言いました。でも、人々からそんなのは妄言だと非難された張が、一匹の竜に睛を書き入れると竜は壁から抜け出して天に昇っていき、睛を入れない竜は残ったとそうです。
この言い伝えから、竜の睛を描き入れることが、物事を立派に完成させるための最後の仕上げの象徴とされ「画竜点睛」という言葉が生まれたと言われています。
原文では、「画竜点睛」が「点睛即飛去」と書かれており、「睛を点ぜば即ち飛び去らん」、つまり「睛を描けばただちに飛び立ってしまうだろう」という意味になります。
「画竜点睛」は四字熟語以外にも「点睛」だけで使われこともあります。睛を書き入れるというのは、「仕上げ」「もっとも大切な部分」という意味ですから、「点睛を欠く」「点睛にこだわる」などという使い方もします。
「画竜点睛を欠く」という使い方ですと、ほとんど仕上がっているのに、肝心なところが欠けているために、完全とはいえない、という意味になります。
画竜点睛を英語で表現すると?
「画竜点睛」を英語にすると「finishing touch」となります。これは「最後の一筆」、つまり仕上げに欠かせないもの、ことを指します。
また「画竜点睛を欠く」は「lacks the finishing touch(es)」となります。
画竜点睛の正しい使い方は? 3つの例文をご紹介
例文1「点睛を意識することで、ミスをしなくなりました」
物事は最後の一瞬まで気を抜かないようにと戒める言葉でもあります。
例文2「とても面白い小説なのに、クライマックスが予定調和で画竜点睛を欠いた作品になってしまい残念です」
「画竜点睛」は「~を欠く」の形で使われることが多く、全体としてはよくできているのに、肝心なところが欠けていて、完全とはいえない状態を指します。文学や絵画などアートに関しての場面でよく用いられます。
例文3「彼のようなベテランでも、こんなミスをするとは、まさに画竜点睛を欠くということだ」
最後の最後でミスをしてしまうと、それまでの苦労も水の泡です。
画竜点睛の類義語とは?
「総仕上げ」「大詰め「入眼」「追いこみ」
「画竜点睛」の類語は「物事の肝」「仕上げ」などで、「これがないと完成とはいえない」というものが画竜点睛といえます。
「仏作って魂入れず」
「画竜点睛を欠く」として使用されることが多く、これと同じ意味でよく言われるのが「仏作って魂入れず」です。石や木で仏を作っても、それに魂を入れなければただの飾りと同じであり、「いちばん大事なものが抜けている」という意味です。
ニュアンスとしては「画竜点睛を欠く」は「全体を引き立てる仕上げが不十分」の状態に用いて、「仏作って魂入れず」は「ほぼ完成した状態にありながらも、重要な部分が抜け落ちている」という状態のときに用います。
同じく「画竜点睛を欠く」の類義語として「九仞の功を一簣に虧く」(きゅうじんのこうをいっきにかく)という言葉もあります。
物事が今まさに成就するというときに、手を抜いてしまっては成就しないという意味です。
画竜点睛の対義語とは?
蛇足(だそく)
「蛇足」は、蛇の足と書きますが、「蛇には足がないが、自在に動くことができている。蛇にとって足はなくてもよいもの」、つまり、余計なもの、なくてもよいものという意味です。
日常的に「蛇足ですが…」などの形で補足情報を説明するときなどに付け加えることがあります。これは他人の素晴らしい仕事や発言に対して、自分が何か付け足すときの謙称として用いられます。
最後に
「画竜点睛」でよくある間違いが、読み方と書き方です。「画竜」を「がりょう」とは読まずに「がりゅう」と読んでしまったり、「点睛」を「点晴」、「天晴」、「欠く」を「書く」「失う」と間違って書いたりすることが少なくありませんので、注意しましょう。