「ソロタイムを楽しむぞ!」と頑張るよりも、趣味を見つけに出かけよう!
この連載でも毎回お伝えしている「ソロタイム」という概念は、少し誤解されているところがあるようです。ひとりで何かをすることが「寂しいこと」、と受け取る方が読者にもいらっしゃるのではないでしょうか。今回はこの誤解が少しでも解けるよう、また付随したこととして、人は先入観にとらわれすぎているという話にも触れていきたいと思います。
何をしたらいいのか… 結論を欲しがる人々
ソロタイムを通じて伝えたいのは、「ひとりですることが大切だ」ではなくて、「ひとりじゃないと楽しめないことを見つけましょう」ということ。そうでなければ、ソロタイムなんて寂しいし、苦しいだけです。何かを受け取ることは、先入観や自分の価値観を取り払わないといけないので、実は至難の業。結局は自分が経験して実感したこと、つまり人生観が必要になってくるのです。
僕は常に「ワクワクしないことはやめようよ」とメディアでも発信しています。でも、なかなか浸透しない…。それは、たぶんワクワクという言葉が様々な場面で多用されすぎて、もうだれも立ち止まって考えなくなっているからでしょうね。ワクワクするという大切な条件をいつの間にかスルーして、ひとり時間をもつことやひとりで○○をする、という行為にばかり注目が集まってしまっているのかもしれません。
そうなると、ソロタイムのハードルは高くなるばかり。言葉にすると簡単な理屈ですが、日本人は「手段が目的になりやすい」と言われます。「これをやればOK」と言われるとやり出すけれど、しばらくすると面倒になってこっそり辞めてしまうのです。素敵な「ソロタイム」をもちたい、でもひとりで何をすればいい?
答えを探そうとするなら、あなたにとってワクワクする趣味を見つけるアクションに繫げてみてください。忙しくて趣味の時間をもてなかった人は、本当に時間がないのか、じっくり考えてみてください。どんなに忙しい人でも一日に3時間くらいは、ぼ〜っとして過ごしているものなのです。
案ずるより産むが易し。趣味にするといいのは、他人が頭を支配するようなものじゃないもの。たとえば、ヨガとか編み物とか。スクールなどに通うのなら、家に帰って楽しい宿題があるものだと、なおよし! やり始めは少し億劫でも、一度始めると没頭してしまうものはだれにでも実はあるのです。そんな趣味が見つかったら、やりすぎないようにすることも大切。
日本人って真面目な人が多いですから、つい趣味が負担になるなんてこともあるようで…。趣味は七分目で終わりにして、翌日に残しておくくらいがちょうどいい。持続性をなくしてしまってはもったいないですから。
素敵なソロタイムを、と頑張るのではなくて、趣味を探しに出かけてみましょう。気まぐれに試してもいいんです。むしろそのほうがいい。自分がワクワクできるものとの出合いが、ソロタイムの始まりです。
2018年Oggi10月号「名越康文の奥の『ソロ』道」より
イラスト/浅妻健司 構成/宮田典子(HATSU)
再構成/Oggi.jp編集部
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名越康文(なこし・やすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など幅広く活躍中。著書に『SOLO TIME 「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』(夜間飛行)ほか多数。