みなさん、こんにちは。
「クズ紳士」こと相席スタートの山添 寛(やまぞえ・かん)です。
<What’s about「クズ紳士」?→ レディーファーストでスマートな立ち振る舞いをする一方、酒・女・ギャンブルにも精通するクズと紳士のハーフ。これぞ山添 寛最大のオリジナリティ!? クズと紳士の両面に精通するために、あらゆる男心を分析できるという特殊能力も完備している。>
さて、今回の議題は「出会いの場での会話」についてお話しようと思います。
合コンなどで出会った際に必ず話す鉄板の話題というのがいくつかあります。そのうちの1つに「別れた恋人の話題」はよく出てきますよね。
あなたは別れた恋人についてどんなふうに語っていますか?
「どんな人とつきあってたの?」
「どうして別れちゃったの?」
そんなふうに話を振られた際、みなさんはどんなふうに昔の恋人について語るでしょうか。
僕が思うに、そのパターンは大きく分けて3つあると思うのです。
◆パターン1:「元カレはネタにします」漫談家タイプ
元カレがいかにひどい男だったかを赤裸々に語るシーンを僕はよく目撃します。
例えば「私の友達と裏でできてて、ずっと2人から騙されてて」といったようないかに悲惨な思い出があるかとか、「一度も彼の財布を見たことがなくて… 私は彼女じゃなくATMやってたわ」と自虐したり、ダメンズエピソードを語ることによって周りから同情されたりネタとして盛り上がったり、なかなかエンターテイナーなパターンです。
このような女性を僕は「恋愛遍歴漫談家タイプ」と名付けました。恋愛話をまるでネタかのように起承転結つけて場を盛り上げることのできる素敵な女性。
本来であれば隠したくなる過去の恋愛話を、みなを盛り上げるために惜しげもなく披露するサービス精神の塊のような人です。
嘘をつくわけでも取り繕うわけでもない裏表がなさそうなその様子は、とても魅力的で最高です。… しかしそれは友人としての話です。
そう、異性としては彼女たちを見られなくなるかもしれません。
というのも男という生き物は、自分がもしも漫談家タイプと付き合って別れた際、同じように自分もネタにされてしまうんじゃないか… という怖れがあるために、尻込みしてしまうのです。
ゆえに恋愛に発展しにくいタイプだと思われます。
◆パターン2:「まだ忘れられないの…」悲劇のヒロイン女優タイプ
合コンに来ているのに「元カレのことがまだ好きで…」というスタンスの女性もよくお見かけします。
このような女性を僕は「悲劇のヒロイン女優タイプ」と名付けさせていただきました。
この質問を待ってましたとばかりにスポットライトを浴びるがごとく、急に昔を懐かしんで涙ぐんでみたり、元カレの写真をみんなに見せてみたり、まるで彼女の一人舞台かのように振る舞われます。
その瞬間、まわりの合コンメンバーは一気に観客席へと追いやられるのです。
昔の恋人を悪く言わずにいつまでも愛情を持っていることは決して悪いことではございません。
しかし、しかしですよ!
思い出してください。ここは出会いの場だぞ、と。あなたの元カレへの愛情確認に他人を巻き込み、時間をさかないでくれと思うのです。
だったらせめて、その元カレへの愛をひととおり吐き出した後、その舞台のオチが「そんな元カレを忘れるため、新たな出会いを求めてここに来ました」ならいいのですが…。
彼女たちの公演はひとしきり過去をさまよい、最終的にヒロインの頬を涙がつたいかわいそうと思わせるだけの舞台なのです。
そこに前向きな笑顔はございません。そして恐ろしいことに彼女たちはそこら中でこの結末の変わらない舞台を何度も何度も再演するのです。
合コンとはひたすらあなたのヒロイン舞台を見せられるために集まった会合なのでしょうかと問いたいのです。「そろそろ新作舞台を僕と作りませんか?」と言いたいですね。
このような女性に出会っても僕に向き合ってくれることはないでしょうから、どんなに素敵な女性でも僕は手を引くでしょう。あなたをヒロインとして迎え、僕は新作舞台を演じたいだけなのですから…(微笑)。
◆パターン3:「私にも悪いところがあったから…」舞台の裏方タイプ
「なんで別れちゃったの?」といった質問が来た際に、「うーん、どうしてだろ。私がいろいろ言い過ぎちゃったからかもしれないなぁ」などと、あまり多くを語らずに元カレをかばうような発言をサラッとする女性が稀にいらっしゃいます。
決して自分からは恋愛トークショーの幕を開けず、ただひたすら裏方に徹するかのようなその姿はまるで「舞台の裏方さん」のよう。
そこで僕は、そんな彼女たちを「舞台の裏方タイプ」と名付けました。
舞台の裏方タイプの女性は多くを語りません。そんな彼女らと出会ったときに僕は思うのです。本心をあまりきかれたくないのかなぁ。
僕が思う女性としての印象はというと、正直プラマイゼロです。しかし、後日こんな話を聞いたことで、印象がガラリと変わる出来事がありました。
「あの時のあの彼女、実は彼氏にえげつない浮気されて別れたんだってー」
そうなんです。実は裏方タイプの女性がかばった元カレには思いっきり非があったわけです。しかしその女性は元カレのことを決して悪くは言わず、自身の非をさりげなく語っていたことがわかったのです。
共通の知り合いがいたりすると、こんな追加情報が入って来たりすることも多いですよね。そんな追加情報をもらった瞬間、プラマイゼロだったその女性に対し、俄然男として興味が湧いてきました。
なんて素敵な女性なんだと!
別れた男女なのですから、不満があって当然です。しかし過去の恋愛に対して相手を責めず、さらっと自分の非を語る粋で器の大きい女性を男は放っておきません。
しかしながら、元カレがクズだったという追加情報がないと彼女らの魅力は伝わりにくいものがあります。
裏方タイプの女性は漫談家タイプとコンビを組むべし?
そこで僕に提案がございます。
裏方タイプの女性は、ぜひ漫談家タイプの女性とコンビを組んでみてください。
どういうことなのかと申しますと、まずは漫談家タイプの女性にメリットがございます。
漫談家タイプは場を盛り上げることが大好き。自身のネタがなかったとしても、裏方タイプの女性の酷い元カレネタを代理で披露し、場を盛り上げることができます。
また裏方タイプの女性にもメリットがございます。代理で酷い元カレネタを漫談家タイプに披露してもらうことで、自らは元カレを庇いつつ、ミステリアスな空気を保ったままでいられるのです。
そのことにより、男性陣の目には自らは元カレを庇う「素敵な女性」として映るため、非常においしいポジションを得ることができるのです。
僕とおつきあいした女性は今…?
元カレの話をする女性を3パターンに分けてみましたがいかがでしたでしょうか。
そんなことを考えていましたらふと思ったのです。僕が過去におつきあいしていた女性たちは、合コンの場で僕とのことをどのようなパターンで披露しているのかと想像してみたのです。
僕は忘れられないほどの男ではないでしょうし、きっと悲劇のヒロインタイプにはなっていないだろうなあと。
裏方タイプ、もしくは漫談家タイプになっていると思われます。僕としてはどうせなら合コンという場を盛り上げる漫談家タイプになっていてほしいなあと願うのです。
僕のことをネタにして、合コンという名の舞台を全国ツアーで、たくさんの笑いを取っていていただけたら、クズであった甲斐がございます。
どうか僕のことは気にせず、ぜひともツアーを成功させてください。会場を教えていただけたら、どらやきぐらいは差し入れさせていただきますので。
… さてと、僕もそろそろ夜の街へと出かけてまいります。今宵の舞台は裏方が多いのかヒロインが多いのか漫談家が多いのか…。
次回もこんな僕の戯言にどうぞおつきあいください。またお会いしましょう。
撮影/菊竹規 構成/吉田奈美
山添 寛(相席スタート)
お笑いコンビ・相席スタートのツッコミ(ネタによってはボケも)、ネタ作り担当。男女の微妙な関係性やすれ違いを描くコント・漫才に定評あり。2016年M-1グランプリでは決勝進出も。令和に時代が代わったことをきっかけに「クズ紳士」な自分と向き合うように。