「パクチー好きにのみなさんに問います。パクチーハラスメントをしている自覚をお持ちなのでしょうか」
みなさん、こんにちは。
「クズ紳士」こと相席スタートの山添 寛(やまぞえ・かん)です。
<What’s about「クズ紳士」?→ レディーファーストでスマートな立ち振る舞いをする一方、酒・女・ギャンブルにも精通するクズと紳士のハーフ。これぞ山添 寛最大のオリジナリティ!? クズと紳士の両面に精通するために、あらゆる男心を分析できるという特殊能力も完備している。>
今日の話題は「苦手な食べ物」についてお届けしたいと思います。
◆「苦手な食べ物トーク」は人と人が知り合ったときに必ず通る道?
え? なんでわざわざ苦手な食べ物トークなんて取り上げるのか疑問にもたれた淑女のみなさまも多いことでしょう。
でも男女が関係を進める上で必ず通る話題なのです。
男女が出会い、初デートをするとします。
そんなときに「何か苦手な食べ物は?」などという話題によくなりますよね。それは食べられない食べ物をデートの際は避けてあげようといった思いやりからなのですが、こんなやりとりを通じ、僕は毎回ある「ハラスメント」に遭っているのです。
それは「パクチーハラスメント」!
◆「パクチーハラスメント」とは?
「苦手な食べ物ある?」と聞かれたとき、僕は「パクチー」と答えるんですけど、そうすると過剰に反応されるんです。
「私も最初は苦手だったけどすごくおいしいよ」
「パクチーがないと本場の味にならなくない?」
「食べたことある? 本当に美味しいお店なら食べられるようになるよ」
そしていかにパクチーという食材が素晴らしいのか、熱く語られるのです。さらには「あの良さなんでわからんの?」と苦手だという僕を追い詰めようとするのです。
例えばこれがトマトが嫌い、しいたけが嫌いなどと他の食べものが苦手と言った場合、ここまでされますでしょうか?
最初はなんとなく食べるのを避けていたレベルだったパクチーですが、パクチーファンからの迫害により、今では大嫌いになってしまいました。ファンのせいでその本人まで嫌いになってしまうってやつですね。
いつか僕もパクチーと和解する日が来るかもしれませんが、まずはその前にパクチーファンと和解しないといけないんです。
そのためにはパクチーファンのほうから変わってくれないと困ります。まずはパクチー嫌いへの迫害をやめてくれないといけないんです。
でもね、ファンはその人の鏡ともいうじゃないですか。そう考えるとパクチーサイドにも問題ありますね(笑)。こんなにもファンを狂わすということは、何か非があるんですよ。
だからね、僕はパクチーファンのみなさまに言いたいんです。本当にパクチーさんのことを思うのであれば、パクチーさんに迷惑をかけないように変わらなきゃいけないと。
パクチーファンの言動により、多くのパクチー嫌いを増殖させている… この事実にどうぞ気づいてくれないでしょうか。
◆パクチーのハードルを上げていませんか?
そもそも「パクチー嫌い」に対するパクチーファンたちのリアクションがおかしいのです。
僕がパクチーが嫌いだというと、「え! なんで!!!???」と激しくリアクションをされます。
それはまるで「ディズニーランドに行ったことはない」や「パンダが嫌い」と言ったかのような、それはもう「そんな人、ありえない!」という強い否定の感情でぶつかってくるのです。
しかし考えてみてください。パクチー嫌いってそこまで言われなきゃいけないことなのでしょうか、と。リアクションが合っていないのです。
本来であれば、パクチー嫌いの人に対するリアクションは「ゴーカートに乗ったことがない」ぐらいのことなんです。ゴーカートに乗ったことがない人に、ゴーカート好きが「乗ってみると意外に楽しいよ」というぐらいの軽いテンションのはずなんです。
僕もそれぐらいサラリとリアクションされていたら、パクチーを食べてみようかなって思うかもしれないのですが、ここまで大げさにされるとかえってもう食べるもんかと意固地になってしまったのです。
パクチーさん自身からしても、そんなにハードルを上げられても困るっていう気分になっていると思います。周りが大げさに賞賛すればするほど、「言うほどか?」とマイナスを探すようになってしまうんです。
そうなんです。パクチー嫌いをより加速させているのは、実は熱狂的なパクチー好きの存在のせい!
そこで僕はこの連載を読んでくれているみなさまに言いたいことがございます。いくらこの連載を好きでいてくれはったとしても、「めちゃくちゃ面白いよ」というプレゼンだけはしないでいただきたいのです。
「あのクズの戯言、見たことある?」ぐらいの低めの温度感でお願いしたいのです。
以上、クズ紳士からの図々しくも真摯で切実なお願いでした。
次回もどうぞ期待など絶対にせずに、単なる暇つぶしの一環としてお付き合いいただけますと幸いでございます。
撮影/菊竹規 構成/吉田奈美
山添 寛(相席スタート)
お笑いコンビ・相席スタートのツッコミ(ネタによってはボケも)、ネタ作り担当。男女の微妙な関係性やすれ違いを描くコント・漫才に定評あり。2016年M-1グランプリでは決勝進出も。令和に時代が代わったことをきっかけに「クズ紳士」な自分と向き合うように。