四季折々の名前を持つ和菓子 春夏秋冬全て言える??
2019年9月20日から26日は秋のお彼岸。お彼岸では、おはぎをお供えします。実はおはぎは4つの名前を持つ、年中無休の和菓子なんです。ご存知でしたか?
◆秋のお彼岸について
秋分の日を真ん中(中日)として、前後3日ずつの計7日間が秋のお彼岸です。今年は9月23日が秋分の日ですので、9月20日が彼岸入り、9月26日が彼岸明けとなります。この期間にお墓参りをするなど、先祖の供養をされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お彼岸のお供えとして代表的なのはおはぎ。おはぎは魔除けの力があると言われる小豆と五穀豊穣を願うもち米をでつくられた和菓子です。
◆4つの名を持つおはぎ
春のお彼岸のときにお供えするぼた餅と、秋のお彼岸のおはぎって似ているなぁと思っていた方、ご名答。実は(ほぼ)同じなんです。しかも、春と秋以外にも違う名前を持っているんです。すべて思いつく方いらっしゃいますか?
春… ぼた餅(牡丹餅)
夏… 夜船
秋… おはぎ(御萩餅)
冬… 北窓
ぼた餅は春に咲く牡丹の花に見立てて名付けられ、花のように大きく丸い形をしています。
一方、おはぎは、秋の七草のひとつでもある萩の花が咲いている様子になぞらえています。こちらは、萩の花のように小さめで俵型。
形の違いのほかに、あんこにも違いがあります。
小豆の収穫時期である秋は皮が柔らかいため粒あんにしておはぎに、秋に収穫した小豆を春まで保存すると皮がかたくなってしまうため皮を取り除き、こしあんにしてぼた餅に、それぞれ作られます。しかし現在は、いつでも美味しい粒あんができることから、季節によってというよりは好みで粒あんか、こしあんかを選ぶことができるようになっていますね。
◆夏と冬の呼び方の由来は?
ぼた餅はお餅を包むのではなく、もち米を包むことから、餅をつく音をさせずに作ることができます。そのため、隣に住む人にすらいつ餅をついたのか気付かれない「つき知らず」→「着き知らず」(暗い夜は船がいつ着いたかわからないことから)夏は夜船。また、冬は「搗き知らず」→「月知らず」(月が見えないのは北側の窓ということから)冬は北窓と名付けられたそうです。
季節によって呼び名を変えていたなんて趣がありますよね。他に1年を通して呼び名が変わる和菓子がないか調べてみましたが、見当たりませんでした。それだけでおはぎのスペシャル感が伝わってきますね。ぜひ、今年の秋のお彼岸はおはぎを味わってみてくださいね。
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鶴田初芽
都内在住のOLライター。日本語教師の母からの厳しい指導や幼少期より読書好きだったことが影響し、現在マナー、教育、ライフスタイルなどの執筆に携わっています。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!