ビジネスシーンで「もしもし」はNG!! その理由とは?
電話に出る際の決まり文句「もしもし」は、実はビジネスシーンでは使ってはいけない言葉なんです! 電話の第一声、あなたならなんて言う?
◆「もしもし」は「申す申す」の略だった!?
子供の頃、「もしもし〜?」と電話のおもちゃで遊んでいませんでしたか? やはり電話の第一声といえば「もしもし」ですよね。でも「もしもし」って、どのように電話に出る時の言葉として定着していったのでしょうか。
1番有名なのは電話交換手の「申し上げます」を由来とする説。1890年(明治23年)に電話が東京横浜間で開通しました。今は電話をかけると、直接相手に繋がりますが、当時は電話交換手を呼び出して、相手の電話番号を告げ、電話を繋いでもらうシステムだったんです。大正時代に入り、電話交換手が女性の花形職業となると、取り次ぐ相手に失礼にならないよう「申し上げます」と声をかけるようになり、「申し上げます、申し上げます」が短縮されて「申す申す」そして「もしもし」と変化したと言われています。
2回繰り返すようになったのは、相手に声がきちんと届いているか確認するためという説があります。また、妖怪や幽霊が人間を呼び止めるときに「もし」と声をかけてきて、それに返事をすると魂を吸い取られてしまうといういい伝えがあったため、相手の姿が見えない電話では「もしもし」と繰り返すことで、「私は妖怪でも幽霊でもありません」と表明するためという説も。
そのほか、電話導入時にアメリカに調査研究に行った加藤木重教(かとうぎ しげのり)という電気技術者が、電話の最初の「ハロー」を日本語に置き換える際、「もうし、もうし」としたことが広く受け入れられたという説もあります。
電話とはズレますが、1913年に警視庁の安楽兼道(あんらくかねみち)警視総監が、民衆に対して丁寧に接することを心がけるよう訓示しました。それまでの民衆に対する「おいおい」や「こら」という呼びかけ言葉に代わって、「もしもし」が警察官の間で使われるようになったとも言われ、このことからも「もしもし」は丁寧な呼びかけ言葉として認識されていたことがわかりますね。
◆「もしもし」がNGな理由は?
いくつか「もしもし」の由来がありましたが、どれも「申す」「申し上げる」が変化したものでしたね。「申す」「申し上げる」は言うの謙譲語であり、目下の人が目上の人に使う表現です。由来を見ている限りは、ビジネスシーンで使用しても問題ないように思えますよね。
しかし、「もしもし」は「申す」を略しています。言葉を略すことは相手を見下しているとする見解があることや、略語は若者が多く使うことから若者言葉とカジュアルな印象を与えてしまうことから、目上の人に接することが多い、ビジネスなどの改まった場面では、使わない方が良いとされているのです。
◆電話の第一声は「はい」「お電話ありがとうございます」が正解
それでは、ビジネスシーンでの電話の第一声はどのようなものが相応しいのでしょうか。
会社で電話に出る際は、「はい」や「お電話ありがとうございます」などが適切です。取り次いだ電話に出る際は「はい、お電話代わりました」や「お待たせいたしました」、こちらから電話をかける際は、「お忙しいところ失礼します」などが良いと思います。第一声のあとには会社名と所属そして名前を名乗るのをお忘れなく。先方が「もしもし」を使った場合も、つられて「もしもし」と返答しないように気をつけましょうね。
当初は対外的に使う丁寧な言葉だった「もしもし」が、今は対外的に使わない方が良いとされる言葉になるなんて、面白いですよね。言葉は時代や状況に応じて変化していくもの。その時代時代に合った適切な言葉を使えるように気をつけていきたいですね。
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鶴田初芽
都内在住のOLライター。日本語教師の母からの厳しい指導や幼少期より読書好きだったことが影響し、現在マナー、教育、ライフスタイルなどの執筆に携わっています。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!
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