楽しいお酒を楽しんだ翌日に突如襲ってくる二日酔い…。
そのつらい症状に苦しんだ経験のある女性も多いでしょう。ある調査によると、女性は年齢が若いほど二日酔いになる人が多く、20代では45%、30代では35%が二日酔いを経験していることが分かりました。
では、二日酔いにはどんな治し方があるのでしょうか?
【目次】
・【二日酔い 治し方】頭痛があるとき、どうすれば?
・【二日酔い 治し方】一発で治る薬はある? ドラッグストアにあるもので買うなら何?
・【二日酔い 治し方】効果的なお風呂の入り方って?
【二日酔い 治し方】頭痛があるとき、どうすれば?
二日酔いには様々な症状があります。吐き気、ふらつき、眠気、倦怠感、頭痛…。人によって症状の現れ方は異なりますが、頭痛は二日酔いの代表的な症状の一つです。
頭痛の原因は「アセトアルデヒド」と呼ばれる有害物質
アルコールは体内に入ると、胃や小腸の粘膜から血液中に吸収され、肝臓にたどり着くと様々な酵素の働きで二酸化炭素と水に分解されます。二酸化炭素と水は人体に無害な物質のため、適量のアルコール摂取であれば不快な症状を引き起こすことはありません。
一方、アルコールを多量に摂取すると、肝臓での分解が追い付かずにアルコールの分解が滞るようになります。その結果、アルコールの分解過程で生じる「アセトアルデヒド」が体内に蓄積することとなり、様々な不快症状を引き起こすのです。
「アセトアルデヒド」は、血管を拡張させる作用があります。拡張した血管は周辺を走行する神経に刺激を与え、頭痛を引き起こすと考えられています。
また、アルコールには脱水作用があり、多量のアルコールを摂取した翌日は身体から水分が失われて脱水状態となっていることが多々あります。脱水は動悸やめまいなどと共に頭痛を引き起こすこともあり、「アセトアルデヒド」による頭痛に拍車をかけていることも少なくありません。
以上のように、二日酔いによる頭痛は、「アセトアルデヒド」の蓄積と水分不足が主な原因となります。このため、二日酔いによる頭痛を改善するには、「アセトアルデヒド」の分解・排泄を促し、十分な水分を補給することが大切です。
「アセトアルデヒド」の分解・排泄を促すには、多くの水分を摂ることが大切
二日酔い症状をより早く改善するには、アセトアルデヒドの分解をサポートするビタミンCが多く含まれた飲み物や、水分と共に失われた電解質を補給できるようなスポーツドリンクがおすすめです。
二日酔いで吐き気や嘔吐などの症状がある場合でも、十分な水分を補給しないと回復が遅くなり、つらい症状に長く苦しむことになりますので、摂れる水分をとにかくたくさん飲むようにしましょう。
また、頭痛がひどい時には、ズキズキ痛む部位をタオルや氷水で冷やす、ゆっくり休む、過眠をとる、などの対策も効果的です。
二日酔いの症状には個人差があるように、改善方法にも個人差がありますので、自身に効果的な改善方法を見つけておくと安心ですね。
【二日酔い 治し方】一発で治る薬はある? ドラッグストアにあるもので買うなら何?
二日酔いは、上で述べたように「アセトアルデヒド」が体内に蓄積することが最大の原因となります。このため、二日酔いによる諸症状を改善するには、とにかく水分を多く摂ってアセトアルデヒドの分解・排泄を促すことが大切です。
しかし、どんなに水分を多く摂ってもアセトアルデヒドが分解されるにはある程度時間がかかりますので、即座に症状を改善できるわけではありません。中には、1日以上二日酔い症状に苦しまされるケースもあります。
そこで、多くの人は「二日酔いに効く薬ってないの?」と疑問に思うことでしょう。
二日酔いの症状を根本的に改善する薬は存在しない
頭痛や吐き気がひどい時に、市販の鎮痛剤や制吐剤を服用する人もいますが、胃や腸の粘膜にダメージを与えてかえって症状がひどくなることも少なくありません。
二日酔いの時は安易に市販薬を使用せず、どうしても耐えられない様なつらい症状がある場合は、病院を受診して点滴による補液治療を受けるのがおすすめです。血液中のアセトアルデヒド濃度が低下し、水分補給効果も高いため早く症状を改善できるケースが多いでしょう。
また、人によって効果は異なりますが、ドラッグストアでも購入できる漢方薬や漢方由来成分の含まれた薬が二日酔い症状の改善に役立つことがあります。
具体的には、五苓散、補中益気湯、大柴胡湯などの漢方薬やアルピタン®などの薬が挙げられます。漢方成分のため、副作用の心配はほとんどありませんので、薬剤師に使用法などを確認した上で試してみるのもよいでしょう。
【二日酔い 治し方】効果的なお風呂の入り方って?
二日酔い対策として、「お風呂で汗をかくとアルコールが排泄されて二日酔いが早く治る」という迷信を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? しかし、これは大きな間違いです。
二日酔いの症状がひどい時は、湯船にゆったり浸かるのは控える
入浴による多量の発汗が脱水状態を助長し、急激に血行が良くなることでかえって吐き気や頭痛などの症状が悪化することも少なくありません。また、ただでさえ頭がフラフラしやすい二日酔いの時に、ゆっくり入浴して脱水が加速するとめまいが生じて転倒し、思わぬケガを引き起こす可能性もあります。
しかし、外出前の朝風呂は必須と考える女性も多いでしょう。そこでおすすめなのは、40度以下のお湯での半身浴です。ポイントは、汗をかかないぬるめのお湯にすること、脱水を防ぐために入浴前にたっぷりの水分を摂り入浴中もこまめに水分を補給することです。
ただし、入浴途中で気分が悪くなったときはすぐに入浴を中止しましょう。また、二日酔いの症状が強い場合は、無理に湯船につからず、シャワー浴にすることも大切です。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。