驚異のマッチング率が物語る「本と恋愛」のいい関係
知らなかった本が、知らなかった2人を繋ぐ
「読書会を開催します」そんな内容のSNS投稿を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか? じわじわとブームがきている読書会ですが、なにをするところなのか疑問に感じている方もいらっしゃると思います。ざっくりいうと本好きが集い、交流する場なのですが、参加者がおすすめの本を紹介する会があったり、課題本を読み、その感想を話し合う会があったり…と、その形式は様々です。
参加者の年齢層は若者から50代までと幅広く、ふだんの生活では出会えないような年齢・職業の人とコミュニケーションをとれるという点も読書会の魅力です。
わずか3分で意気投合
そのようにいろいろな人たちが集まる読書会では、当然ながらカップルもたくさん誕生しています。特筆すべきは、そのカップルの多くが、結婚までいき着いているという点です。実際に読書会で出会い、結婚に至ったOggi世代真っ只中の山岡信介さん(仮名)・有里子さん(仮名)ご夫婦にお話を聞いてみました。
Oggi編集部(以下、O)「おふたりが読書会に参加した時期と、参加を決めた理由は?」
山岡信介さん(以下、信)「参加したのは5年前。Facebookに日曜の朝に読書会が開催される旨の投稿があり、目に留まりました。当時、今まで付き合いのあった人たちが退職したり、転勤になったりして疎遠になってしまい、コミュニティが広がればいいな…という気持ちで参加を決めました」
山岡有里子さん(以下、有)「私もFacebookです。読んでいた本がおもしろくて、だれかと共有したかったんです。いきなり職場ですごい名作を読んだんだよね…なんて話すわけにもいかないじゃないですか(笑)。それで“読書会”で検索して、出てきたものに参加しました」
O「こんな出会いがあることを予測せずに参加されたんですね」
信「そうですね。こういう出会いがあるとは思っていませんでしたね」
O「もともと読書はお好きだったんですか?」
有「多読家ではないですが、それなりに。なにか折につけて読むといった感じです」
信「私も読む量はそんなに多くないですが、子供のころに母が家で本を読んでいたのを見て育ちました。大学に入ってから、自分自身でもいろいろな本を読むようになりました」
O「参加された読書会は、どのような内容だったのですか?」
信「ビジネス書を紹介する会でした。人数も20~30人くらいいたと思います。そこで、3グループに分かれて、ひとり3分間くらいで本を紹介するというスタイルでした」
有「その時、同じグループだったんです。本について語った内容に興味を持ってくれた同じ班の別の方がご飯に誘ってくださって、3人で食事しました。そこで意気投合して、自分たちでも読書会を開いてみようということになり、私たちもサポートすることになったんです」
信「それから開催する読書会のコンセプトを話し合うために、3人で集まることが増えました」
有「一緒に読書会を開催してみると、すごく楽しくて。社会人になると家と会社の往復生活になりがちですけど、ちょっと非日常な時間を過ごすことができるのは、いい刺激になりました」
そうして自分たちでも読書会を開催するようになった、信介さんと有里子さん。自分たちが開く読書会で大切にしていたことは、「本を通じて、その人がどういう人間なのかがわかる会」であること。そのため、課題本を決めずに、自分が好きな本を紹介するという形式の読書会が多くなったのだそう。
有「まず、自分が知らない本を知ることができるのもおもしろいですよね。さらに、その人がどうしてその本を選んだのか理由を聞くと、その人のバックボーンが見えてくるんです。本がその人のことを教えてくれるって素敵じゃないですか?」
そうして、ともに過ごす時間が増え、徐々に距離を縮めたふたり。交際をスタートさせる決定打を放ったのは、なんと有里子さんの方だったとか。
本がお互いの本質を代弁してくれた
有「個人的にお話ししたいなーと思って、ご飯に誘いました。ふたりでカフェに行ったり、主人が出ているテニスの試合を見に行ったりするようになりました」
お付き合いが始まってからは、お互いの本を貸し借りしあったりすることも多くなったおふたり。
O「有里子さんがすすめてくれた本を読んでみて、いかがでしたか?」
信「同じ本を読んでも、着眼点や感じかたが違うからおもしろいなと思いました。私たちの場合は、話せば話すほど相違点が明確になってくる感じです(笑)」
有「でもその相違点は決して悪いものではなく、お互いの知らない一面の発見になりますから。お付き合いを始めてから間もないころ、ずっと以前から夫のことを知っているような錯覚に陥ることがあったのですが、本を通して自分を開示しやすくなったからだと思うんです」
O「大人になると、自分をさらけだすのは難しいですよね…」
有「自分のパーソナリティを本が代弁してくれるという感じでしょうか。本を介して、本質の部分が垣間見えてきますから」
こうして、本を通してお互いの人となりを知り、理解し合うことができたおふたりは、交際から1年でめでたくゴールイン。結婚に向けて舵を切ったのも、やはり妻の有里子さん。
有「お付き合いするときから、結婚を前提にした方と…と思っていたので、私の中では自然な流れでした。あなたはどうでしたか?(笑)」
信「あれ、なんか妻からインタビューされてますけど(笑)。出会ったときまだ28歳だったので、正直なところ、まだ結婚と言われてもピンとこなかったのですが、妻の気持ちを知って、交際は結婚を前提として始めました。必然的な流れで結婚に至ったという感じでしょうか」
「読書会」で出会った山岡夫婦。おっとりマイペースな夫としっかり者の妻。結婚4年目を迎える相性ばっちりなおふたりの幸せオーラが、とても眩しかったです。
おふたりのお気に入りの本
左から/信介さんが読書を再開するきっかけとなった伊坂幸太郎著『オー!ファーザー』、読書会での課題本に取り上げられたこともある武者小路実篤著『友情』。読書会では、主人公に対する評価が人によってまったく異なり、そこに人生観を垣間見ることができるのだとか。有里子さんがお父様から譲り受けたカミュ著『ペスト』。この本のすばらしさを共有したいと思ったことが、読書会参加のきっかけに。
撮影したのはこちら
【森の図書室】
渋谷の喧騒を感じさせない静かで穏やかな空間。お酒やコーヒーを楽しみながら、1万冊の中から自由に本を読むことができる。読書会などのイベントも開催されているのでHPを要チェック。
所在地:東京都渋谷区円山町5-3 3F
TEL:03-6455-0629
HP:森の図書室
6/9(日)13:00~/16:00~「読む活!」開催♡
山岡さん夫婦が知り合うきっかけとなった読書会が、6/9(日)に上記「森の図書室」にて開催されます。本好きな方ならどなたでも参加できるリアル読書イベントに、あなたも参加してみませんか? 日曜午後、奇跡体験が待っているかも…?