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2017.11.20

【アンガーマネジメント】2018年は怒らない! 怒りをコントロールできれば、自分も周りもラクになる!

女性国会議員の暴言報道が記憶も新しい〝怒り〟が招く悲惨な結果…。怒りは人生を台無しにしてしまう可能性もあります。社会人にマストな「怒りのコントロール法」を学びます。

人生を壊すかもしれない感情=怒り

沙耶 今年は、女性議員が秘書を怒鳴りつけて、謝罪に追い込まれる騒動がありましたね。

安藤 彼女もここまでの騒ぎになるとは思っていなかったはず。でも怒りは自分や人を傷つけたり、人間関係が壊れたり、下手すると仕事を失ったり…。怒りは人生を台無しにする可能性のある感情なので、取り扱いに注意が必要なんです。沙耶さんは最近、イライラしたことはありますか?

沙耶 うーん、最近はないですが、怒るとしたら相手は彼ですね。…そういえばだいぶ昔、彼の携帯の連絡先を見ながら、ひとりずつ「これだれ?」って聞いたことがあるんです。そうしたらある女性のことを彼が「昔の友達」って言って。ただの友達でもなく仕事関係でもなく、「昔の」って怪しくないですか!? イラッとして削除したことがありました。

安藤 おっ、意外と激しい…。

沙耶 あと彼とケンカした日、まだ決着がついていないのに彼が女友達とふたりで出かけたことが後から発覚して、「ケンカの最中に!?」と激怒してキャンドルを投げたこともありましたね。

安藤 めちゃくちゃ怒ってるじゃないですか(笑)。

沙耶 関係が壊れても仕方がない、くらいの気持ちなので…。

安藤 白黒ハッキリつけたいタイプなんですね。でも怒ると自分も疲れるでしょう? 〝アンガーマネジメント〟はそんな怒りの感情と上手につきあう方法として’70年代にアメリカで生まれました。僕も以前は「どうしてこんなことで怒ってしまったんだろう」「いやな怒り方をしてしまった」などと悩んでいましたが、この考え方を知って、ずいぶん楽になったんですよ。

自分の怒りの特徴を見極めることが第一歩

沙耶 アンガー、つまり怒りをマネジメントするということは、怒っちゃダメということですか?

安藤 いえ、怒ること自体が問題ではないんです。敵が目の前にいたら自分を守るために怒りが生まれるのは動物として自然なこと。でも、怒らなくてもいいようなことに腹を立てたり人や自分を傷つけたり、怒りの感情に振り回されたりして後悔するのは避けたいでしょう? アンガーマネジメントはそのためのトレーニングです。

沙耶 トレーニング、ですか?

安藤 はい。体を鍛えるのだって、今の状態をふまえてメニューをつくり、どれだけこなせたか記録していきます。それと同様、自分がどんなことに対してどのように怒ったのか、まずは把握すること。ここで沙耶さんの怒りのスイッチがどこにあるのか、簡易テストで診断してみましょうか。

沙耶 ドキドキ!(チェックテストに取り組む)…できました。

安藤 採点してみますね。…なるほど、沙耶さんは「博学多才」と「天真爛漫」の混合タイプですね。何ごとも白黒ハッキリさせたくて、グレーなことに納得がいかないタイプ。自分の意見が通らないとフラストレーションを感じやすいはずです。自分にも人にも厳しい完璧主義者ともいえます。

沙耶 確かに(苦笑)。

安藤 怒りのタイプはほかにも、曲がったことが嫌いな「公明正大」、プライドが高い「威風堂々」、自分のルールに当てはまらないことが許せない「外柔内剛」、劣等感がイラ立ちに転じやすい「用心堅固」タイプなどがあります。自分の怒りの傾向を客観的に把握できれば、それを直す第一歩になる。感情に振り回されず物事に対処できるようになるんです。まずは怒ってしまった日、手帳に「何に対して、どのように怒ったか」メモする習慣をつけるといいですね。

沙耶 ちなみに、最初に話に出た女性議員は?

安藤 報道を見る限りでは、彼女は「威風堂々タイプ」かな。エリートで優秀だからデキない部下のことが理解できなくてイライラしてしまう。怒るのは構いませんが、怒りの「強度・持続性・頻度・攻撃性」が高いと行きすぎの可能性はありますね。怒りの記録をつけるときは、それも少し意識してみましょう。

沙耶 でも彼女や私に限らず、最近イライラしたり怒ったりする人が増えているような気もします。

安藤 怒る〝環境〟が整ってきているのは確かです。世の中が便利になるほど人は怒りやすくなるので。

沙耶 え? 便利になればイライラが減るような気もしますが…?

安藤 実は逆で、たとえば携帯電話がなかった時代、外出先での待ち合わせに相手が遅れたら、いつ来るかわからなくても気長に待っていたんです。でも今は連絡が来なかったり既読スルーされたら「なんで?」と思いますよね。電車が1分遅れただけでも、ATMが休止中でもイライラする。不便に対して耐性がなくなっていくんです。

沙耶 忙しくて余裕がないときも、怒りっぽくなりますね。

安藤 はい。それに今は働き方もライフスタイルも〝多様性〟がとても大切にされる時代。そうはいっても自分と違う考え方をなんでも許容できる人は多くはありません。特にOggi世代はさまざまな転換期を迎える年代なので、「自分がこれまで信じてきた価値観が裏切られた」という気持ちが怒りにつながることもあるでしょう。

〝怒らない〟許容範囲はトレーニングで広げられる

沙耶 自分の怒りの特徴がわかると、カチンときたとき「これは要注意」と少し冷静になれるのはわかります。それでも頭に血が上ってしまうことはありますよね?

安藤 そんなときは、気持ちが少し落ち着くのに必要だとされる6秒待ってください。できれば笑顔をつくると、体の力を抜くことができます。また頭の中に〝三重丸〟を思い浮かべるのも効果的です。

沙耶 なんですか、それ?

安藤 自分の許容範囲を示す三重丸(写真)です。

真ん中の青い部分は、自分が「こうすべき」だと思っている範囲。相手の言動が自分の価値観と一致していれば怒りは感じません。外側のピンクの部分は、あなたにとって「許せない」こと。カギになるのは間の黄色の部分で、自分の価値観とは異なるけれど「まあ許せる」という範囲です。ここを広げられれば、イライラは減らせます。沙耶さんは、ここが狭そうですね。

沙耶 そうですか…? どうやったら広げられるんでしょう?

安藤 たとえば彼が女友達と出かけてしまったとき、「せめて」とか「少なくとも」彼がどうしていたら、沙耶さんは許せたと思う?

沙耶 少なくとも事前に教えてくれたら、かな。

安藤 そのように「ここまでは許せる」という境界線を自分なりに引くことで許容範囲が広がり、不用意にカッとならなくなります。人は、理由もなく怒るわけではありません。「つらい」「不安」「理解してほしい」といった思いがコップからあふれてしまったとき、怒りという形で表れるんです。その気持ちを相手に伝えて、「どうしたら、こうしてくれる?」とリクエストできるようになったら、もっと穏やかに解決できるかもしれないですよ。

沙耶 私も「彼をとられるかもしれない」と不安だったから、怒っちゃったんですね。彼には「理解してくれると思ったのに、期待しすぎちゃった」とは伝えたんですが。

安藤 それはリクエストじゃなくて責めてます(苦笑)。

沙耶 そっか(汗)。まずは自分の怒りをちゃんと認識して、うまくつきあえるよう頑張ります!

カッときたら…まずすべき3つのこと

1.笑顔で6秒待つ

2.「〝べき〟の境界線」の三重丸を思い浮かべる

3.相手を責めず、不満は「リクエスト」として伝える

「〝べき〟の境界線」とは?

怒る必要があることと怒らなくてよいことの線引きをして、自分が「○○すべき」と考えること(=青い部分)とは少し異なるが、「まあ許せる」と思える範囲(=黄色の部分)が広がると、ムダな怒りは激減する。

こんな「怒りのクセ」は要注意!

自分の怒りの特徴を冷静に見つめましょう。下記の対処法をマスターして。

攻撃性がある

怒りを相手にぶつけて関係が破たんしたり、怒りを自分に向けて自信を喪失したり、モノを壊してしまったりする人は、まず自分の攻撃性を自覚すること。本来は違う形で伝えるべき気持ちがあるはず。

頻度が高い

せっかちな人や気分転換が苦手な人は、しょっちゅうイライラした状態になりがち。いつでもどこでもストレスをこマメに発散できるよう、リラックス法のバリエーションをもっておくとベター。

持続性がある

怒りを繰り返し思い出していると、恨みなど厄介な感情に発展してしまうことも。過去を振り返らず〝今〟に集中する感覚をつかむため、1日5分だけ利き手と反対の手を使ってみるといった方法も有効。

強度が高い

一度怒り始めると、怒っていることを必要以上に主張したくなり、激高してしまう人も。イラッとしたら怒りが10段階で何点くらいなのか、〝怒りの温度〟を考えることで、適切な強さで怒れるようになる。

モデル着用衣装:ニット¥16,000(ユニバーサルランゲージ ラゾーナ川崎店〈スプレンディーナ〉) ピアス¥3,350・バングル¥5,700(ジューシーロック〈JUICY ROCK Original〉)
2017年12月号「Oggi大学 怒りメンテで自分も周りもラクになる!」より。
本誌掲載時スタッフ:撮影/安井宏充 スタイリスト/角田かおる ヘア&メーク/コンイルミ(ROI) モデル/香川沙耶(本誌専属) 構成/酒井亜希子(スタッフ・オン)

再構成:Oggi.jp編集部

お話を聞いたのは…日本アンガーマネジメント協会代表理事/安藤俊介さん

あんどうしゅんすけ
’71年生まれ。’03年にアメリカでアンガーマネジメントを学び日本に導入。講演や研修の受講者は年間2万人超。『○×まんがでスッキリわかる もう怒らない本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
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