仮想通貨「ビットコイン」って?
最近、ビットコインをはじめとする仮想通貨が話題になっていますね。当初はインターネット事情に詳しい人か、投資に興味のある人しか知らないようなシロモノでしたが、企業が決済通貨として認めたり、とてつもない価格に上昇したため、新聞やニュースでもその動向が伝えられるようになりました。
ただ、ビットコインの話題が出たとき「ああ、あれねー」などといっておきながら、実はよく知らないという人も意外と多いのではないでしょうか。というわけで、今回は「ビットコイン、これだけ知ってれば大丈夫」という基礎中の基礎についてお話ししましょう。
ビットコインがこの世に登場したのは2009年のこと。ナカモトサトシという日本人あるいは日系人と見られる人物の論文がもとになっています。ちなみにこの人物、未だにいるのかいないのかわからない…正体不明なんですよね。
最初のビットコインは、取引の処理作業にパソコンの計算能力を提供した人に対する報酬として配布されました。2011年頃には1ビットコインの価格が0.3ドル程度でしたが、その存在が広く認知されるに従って高騰。一時は日本円にして55万円近くまで取引レートが上がったことがあります。
前述したとおり、ビットコインは実際の商品やサービスと交換することができます(もちろん相手や国が認めれば、の話です。日本では金融庁が通貨の機能を持つことを認めています)。しかし、ビットコインには普通の通貨のような実体がありません。1ドル紙幣や100円硬貨のような「現物」がないのです。
「そんなもの信用できるの?」と思うのは当然ですよね。通常のお金のように実体がなく、コンピュータ上の記録だけが頼りなのですから。ただ、現在の状況だけでいえば「ある程度は信用できる」といってもいいのです。
信用できる? できない?「ビットコイン」の仕組み
では、ビットコインの仕組みを簡単に説明してみましょう。
現在、世界中に出回っているビットコインは、ドル円、ユーロ円と同じようにその時のレートで「買う」もしくは「交換」することができます。この原稿を書いている時点では、1ビットコインが約44万円。つまり1ビットコインがあって、取引先(店など)がそれを認めているならば、44万円分の買い物ができるということですね。
「偽造できるんじゃないの?」という心配もごもっとも。ただ、理論上はそれができない仕組みになっています。正当に発行されたビットコイン自体に過去にどのような人物がそれを持ち、どのような取引に使われたかという記録が全部残っているからです。これをトランザクションと呼び、記録や検証に世界各国の団体や個人がコンピュータの計算能力を提供していて、さらに暗号化されている上に、中央のサーバーがないので、ハッキングして盗み出すということができない、ということになっています。
ドルや円のような通常の通貨は、それを発行している国(の中央銀行)が、価値を保証してくれますが、ビットコインには中央銀行にあたる主体がありません。信用できない? そうですよね。しかし、「ドルや円のお札は偽造できるが、ビットコインはそれができないし、国家が転覆して紙くずになることもないのでかえって安心だ」という人もいます。
現在は「便利な電子マネー」としての使い道だけでなく、価格が上下する投機対象としての人気が高まっています。安い価格でビットコインを手に入れたら、いつの間にか大金持ち? まあ、たしかにそのとおりなのですが、株や為替と同じように暴落するリスクもあることを忘れてはなりません。
「40万円以上するものは簡単に買えないよ」という人も大丈夫! 1000分の1にあたる「ミリ・ビットコイン」や100万分の1の「マイクロ・ビットコイン」、さらには1億分の1に相当する「サトシ」もあって、取引がしやすいようになっています。
じゃあ「買い」なの? レートが上がったり下がったりすること、国によって使用が認められていなかったり制限されていることを熟知の上、ご自分で判断するしかないんです。また、最近はビットコインに似た新しい通貨も登場していますが、これもまたリスクは伴いますよ。
ただ、極端にいえば「今はビットコインを信用している人が多いから信用してもいいんじゃないの?」という世界の認識があるだけで、ある日突然、無価値になるかもしれない、ということも忘れてはなりません。さあ、どうしましょ?
田中 裕
ライター。学生時代からあちこちに書き散らしてきたものの、売れっ子扱いされたことは皆無。活動領域は政治と最新ファッション以外ほぼ全部。経営ネタも学術ネタもオタ関連も網羅。器用? ゆえに貧乏。