30歳にもなれば、だれでも「自分の得意分野」は本当はあるはず
29歳で異業種からPR業界に転職してから35歳で起業するまでの数年間は、自分の専門性が少しずつ形になるのがおもしろい時期でした。最初は「自分の得意な分野じゃないか?」という直感で飛び込んだんですが、徐々に確信がもてるようになり、起業するまでには自分オリジナルの「戦略PR」という方法論に行きつくことができました。
30歳にもなれば、だれしもそのような「自分の強み」や「本当にやりたい何か」はあるはずなんです。それに自分では気づいていなかったり見ないふりをしてるだけ。人間って深層心理的に、いちばん大事に思っていることは「本当のことを言ったら大笑いされるかもしれない」「難しいと言われるのが怖い」と、無意識のうちにフタをしてしまう傾向があるので。
でも、キャリアのことを考えたら、それは「早く気づけた者勝ち」。自分でモヤモヤ考えるより客観的なアドバイスをもらったほうが手っ取り早いので、親友ではない適度な距離感のある友達や、10年くらい離れて暮らしている家族などに、ダミーの選択肢でもよいので「AとB、どっちが私に向いてると思う?」と聞いてみたらよいのでは? その会話から、「自分はこんなふうに見られているんだ」という気づきがあると思います。
(写真は35歳の創業当時)
出会いがないのは、自己PRを間違っているから
アラサー世代の女性からは、恋愛で「出会いがない!」という相談も受けるんですが、これもよくよく聞いてみると、自分のことをよくわかっていない人が多いんですよね。「男性を紹介してください」と言うから、「どんな女性だって紹介すればいい?」と聞くと黙ってしまうことが多いんです。紹介する男性に「どんな子ですか?」って聞かれるのはあたりまえでしょう? そこを掘り下げず、やみくもにたくさんの男性に会って「あり、なし」を決めるのは、遠回りな気がします。
近い将来、自分がだれとどんなふうに働き、暮らしていたいのか。寝る前にベッドに寝ころびながら「妄想」することから、今自分がすべきことは見えてくるはず。思わずニヤッとしてしまうような、楽しい未来に向けて行動してみてください。
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Profile
セガを経て’99年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラード日本法人に入社、‘06年にブルーカレント・ジャパンを設立、代表に就任。著書に『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
写真/為広麻里 取材・文/酒井亜希子(スタッフ・オン)