32歳で起業、そして37歳で恋人が出て行って…
20代のころは米国に留学してマイクロソフト社で働いた後、帰国してフリーのテクニカルライターとして働いていました。最初に起業したのは32歳のとき。英国にあった事業の日本版を独占販売する会社で、書籍やアプリなどのオリジナルコンテンツなども制作・販売していました。自分が「イケる!」と思ったビジネスが実際に当たって伸びていく経験は、ほかの仕事や趣味では得られない楽しさがありました。
もちろん、会社を拡大させる過程では資金繰りなど大変なことも多くて、この時期は仕事以外に何かをしていた記憶がまったくありません。従業員が自分に愛想をつかして離れていってしまうんじゃないか、と今より他人に嫌われることを恐れてもいました。
さらに、30代は私生活でも大事件がありました。37歳で事業を手放して私生活を充実させようと思っていた矢先に、7年間一緒に暮らしていた恋人が、突然「田舎に帰る」と出て行ってしまったんです。ようやく仕事が一段落したのに、そう都合よくはいかないものですね(苦笑)。
30代はつらいことが9割
30代は楽しいこととつらいことが、1対9くらいのイメージ。ただ、振り返ってみるとこのときの経験が自分のキャパシティを拡げてくれたと思います。30代を踏ん張って乗り切ると、40代は劇的にラクになりますよ!
そして、これから30代を迎える人たちには「自分のやりたいことをやりましょう」と伝えたいです。40代になってから「あれがやりたかった」と思っても、体力的な衰えや年齢制限で、なかなかできないこともあります。特に、周りの意見を気にしてやりたいことをやらなかったという人は、その後も長い間、後悔を引きずる傾向があります。他人の目やしがらみを気にすることなく、自分で意思決定することが大事ですよ!
前回はブルーカレント・ジャパン代表取締役社長 本田哲也さん(46歳)の30代は自分の強みを確信した時期
Profile
大学中退後、渡米。帰国後、インターネット関連のライターとして20冊以上の本を執筆。’04年に英国企業の独占販売権を獲得し起業、ウェブメディアの編集長などを経て、’16年より現職。
取材・文/酒井亜希子(スタッフ・オン)