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LIFESTYLE

2018.10.05

「自然に背くことはできない」農作業で感じた、私たちの未来の暮らし方

私たちはこれからどのようにして暮らしていくべきなのか…!? 世界各地を駆け巡りマーケティングを行う黒島美紀子さんによるコラム連載。

農作業って…やっぱりとても大変だ

暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったものだ。

8月の酷暑はどこへやら、急に秋がどんどん深まった日本。しかし、台風や地震、まったくもって災害大国になってしまった日本、各地の被災された方々、深くお見舞い申し上げます。

この原稿を書いている今日も外は雨が降っている。小雨がぱらついたり、止んだり、雲間が見えたかと思うとでもどんよりとした低い雲が空を覆う。道すがらの彼岸花もしっとりと雨に濡れて、赤味が一層深く増す。

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そう今回も、前回に続く鴨川での有機米作りの話をしようと思う。

私が参加している「自然酒の会」とは、有機米を栽培し、その栽培した米で美味しい日本酒を作るというイベント。

このイベントに参加するために、3か月ぶりにここ鴨川に戻ってきたのである。

見てください、この棚田!

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すでに一部、刈り取られている稲が綺麗に天日干しされている!

ゆったりとしたこの日本の原風景。湿気を含んだ青い香りのする風を思わず、胸いっぱいに吸い込む。自然と心臓と肺が膨らむ感じ。

さて、今回も林さんの古民家に有志たちが続々と集まってくる。

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そう、今日は待ちに待った稲刈りなのだ。

挨拶もそこそこに、「お天気もつといいね」なんて言いながらみんなで棚田へと山道を下りていく。

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あれ…!? なんかイメージしてたのと違う感じの稲田。なんか寝そべってないか? 実るほど頭を垂れすぎ稲穂かな(若干不安がただよう)。

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あ、でも近くに行ってみるとしとどな濡れているものの…豊作♡

嬉しい!! 実も程よく膨らんでいる感じがする(あくまで素人観点ですが)。

早速、林さんの稲刈りのお作法レクチャーが始まる。「こうやって縄で自分の腰にすがい縄を巻きつけてくださーい」

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ん? どっかで聞いたような!? すがい縄? おーっっっっつ!!!!

これは、6月に苦労して作ったやつ! そうこれですよこれ!

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そうか、これで刈り取った稲を束ねていくのだった。やっとやっとすがい縄の使い道がわかった瞬間である。

こんなカマも渡され。。(恐)

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一連の作業のお手本をまずは見守る。

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稲の根元を持ち、根元をカマでひとつかみずつ刈って、バッテンにしながら重ねていく。トントン揃えて…

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3回くらい交差させて、束ねたところをすがい縄で八の字を描くように結ぶ。

あとで干すときに棒に引っ掛けるので崩れないよう、バランスもあまり上に重心がこないよう(下が軽いと風で舞っちゃうからです)。

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できあがり!

しかし、カマなんて持つの…はじめて。緊張感も漂いながら、なにかこう、人間の本能が研ぎ澄まされていく。

「自分側に引くので間違っても足まで切らないでください!」

おぉ。。。

「そしてもうひとつ。マムシが動物を狙って稲の下にひそんでいる可能性があります! 手を直接入れず、まずはカマでかき分けてみてから手を入れるように!」

軍手はしているけど、おそろしやー。でも文句は言ってはいられぬ。早速フル装備で勇ましく稲穂に向き合うクロシマ。すがい縄もいい感じ!

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が、何かがイメージと違う。みなさんお気づきですか? そう、足場。

また、6月に続き今回もドロドロなのだ。

普段の稲刈りだとこの時分には土からはすっかり水も抜け、硬い地面をさっさと刈っていく(らしい、伝聞。なにせ今回が初めてなもんで)。なのに、秋の長雨と台風で、足元はずぶずぶ、粘土質の土に足はどんどん30cmくらい埋もれていく。

よろよろと尻餅をつきそうな消費家クロシマに見かねたオザキさんが秘訣を教えてくれる。

「刈った稲穂の後を踏むと少しは歩きやすいよ!」ふむふむ確かに。。。

そして、シャガシャカシャキ…手で思いきり稲穂を掴み、ザクっと刈り取る。刃の入りが鋭く、気持ちが良い。

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やったー刈り取り!

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まとめて、ひとつできあがり!

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隊列を組み、時分の持ち場の稲を刈っていく。あぜ道にはまとめた稲穂がどんどん積み上げられて。

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ここにも収穫を楽しんでいる、小さくて鮮やかな友達が。

午後も引き続き稲刈り。雨も時々小雨が舞い落ちる程度だが、なんとか持ってくれ! 最後まで。

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刈る。

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刈る。

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ひたすら刈る、刈り続ける。もくもくと全員で言葉も少なく、作業を続ける。

志の高いメンバーとは言え、何時間もの下を向いての同じ作業。そしてこのずぶずぶの泥のぬかるみとの戦い。

終わらない!!

疲労が色濃く出てくる。空を思わず仰ぐ(まだやるのかな…)。

ひとり、またひとりと痛む腰をストレッチするかのように上を向き伸びを始めた時、時刻はもう夕方に近かった。これからすぐ日が暮れる。

でも棚田にはまだ3分の1の稲穂が水田に浸かりそうになっている。終わらない。

ここで林さんが悔しそうに空を見上げながら呟いた。「今日はここまでにしましょう」そう、我々の疲れもマックスに到達していた。

時間切れ。涙。

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我々は暮れ行く太陽に負けまいと刈り取った分の稲穂だけをフルスピードで干し、今日の作業を終えたのだった。やれやれ、本当に大変だ。。。。農作業。

天候との戦い、これが一番やるせない。

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1週間後、作業報告として、いただいたこの1枚。

この後も雨は頻繁に降り続き、1週間かけてやっと残りの稲穂を刈り取った林さん。ハザ架け(刈り取った稲をこうやって天日干しすること)をすると稲の油分やアミノ酸がお米に下りて、より美味しくなるという。

が、今回せっかくハザ架けした稲。雨が降り続くと乾燥せず、脱穀もできない。

手をこまねいていたら、村の長老が見かねて乾燥機を貸してくれたそうだ。
稲穂を機械の力で乾燥させて、無理やり脱穀までたどり着いたのが2週間後のつい最近(大変だ)。こんな秋の収穫は前代未聞だっただろう。

自然という大きな生態系の循環から外れずに生きていくことの重み

9月最後の週末も結局台風が吹き荒れた、日本列島。全くこれからどうなっちゃうのか? 温暖化の波、日本。今年、これからはあまり大きな災害がないといいけれど。これからはこんな天候が日本の基本だと思って我々は対応していくしかないのだろうか。

何億年も前に地球は氷河期を迎え、それまでの営みはすべておじゃんになった。その時は大きな隕石が地球にぶつかったという不運が原因だった。

そして、今迎えているこの急速な地球の変化。数年単位でここまで地球の変化が目に見えてわかる、なんて、45億年の歴史の中で、氷河期と今くらいかもしれない。その原因がここ地球の住民、私たち人間だった、なんて言われるようなことになるのは絶対に避けたい! 人災だった、なんて地球の歴史の中で言われるような恥ずかしいことはしたくない。

林さんのやっていることは自然と歩み寄って生きること。自然を大切にし、敬いながらの人間生活。かつての人間の暮らしだと、人がつくったものでも、風化すると家も土間も鉄鍋もすべてが地に還る。循環型の暮らし

でも、今は違う。

人間が作り出したもので、土に還らないものがたくさんでてきた。放射能、プラスチック製品。そんな人間の少しの利便のために、このところ目に見えて壊れていく地球や生き物たち。それを拒む地球が、災害という形で警鐘を鳴らしているのか?

ここでの活動は、大きな地球の中の小さな日本、その中のひとつの集落でやっている小さな取り組みでしかないが(あ、林さんごめんなさい)、私たちは少しずつでも、自然という大きな生態系の循環から外れずに生きていくことの重みを学ぶ。それが今私たちひとりひとりに問われている。

やれやれ、そんなことを重く受け止めざるを得ない2018年夏、だった。

#美しい地球のまま未来にのこしておかないとね
#自然に背くことはできないってつくづく感じたこの夏

【編集後記】
毎年無印良品のサイトからこの「自然酒の会」は申し込めます。1年通してでも、1回かぎりの参加でも。

そして、鴨川にはこんな素敵な道の駅まで。そう、無印良品が運営する道の駅。

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すべて地の野菜や果物、加工品で成り立っている道の駅とMUJI Cafe。こんな田舎でも(失礼!)フルに揃う無印良品の店舗まで。すごいとこだよ! 鴨川は。

農作業体験の後はここにきて、ひと休み、そしてお土産。楽しい1日になること間違いなし!(天気が良いことを祈ります、、皆さんために)

初出:しごとなでしこ

黒島美紀子 MKシンディケイツ代表

消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。


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