【目次】
・【パワハラ】その定義は?
・【パワハラ】モラハラの違いは?
・【パワハラ】話題の実例
・【パワハラ】だと思ったら、どこに相談するの?
・【パワハラ】上司を訴える! まず何をしたらいい?
・【パワハラ】弁護士がジャッジ! これってパワハラ?
【パワハラ】その定義は?
職場におけるパワハラの定義については、厚生労働省(以下「厚労省」といいます)が、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定めています。
では、具体的にどのような行為がパワハラに当たるのでしょうか?
厚労省が分類したパワハラ行為
1.身体的な攻撃
暴行・傷害
2.精神的な攻撃
脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
3.人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視
4.過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5.過小な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6.個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること
※なお、パワハラはこれらの行為に限られるわけではありません。
【パワハラ】モラハラとの違いは?
職場における人間関係のトラブルというと、まずパワハラやセクハラを思い浮かべる人が多いと思いますが、最近はモラルハラスメント(以下「モラハラ」といいます)という言葉もよく耳にするようになってきました。
職場におけるモラハラは、同僚等、上下関係のない間柄における嫌がらせ等を意味するのに対し、パワハラは上記のとおり、上司から部下に対して等、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に行われるものだというところに両者の違いがあります。
【パワハラ】話題の実例
最近話題になったパワハラの実例といえば、公益財団法人日本レスリング協会(以下「レスリング協会」といいます)のパワハラ問題があります。
弁護士による告発を発端として、レスリング協会の幹部らが、選手等に対してパワハラを行ったかどうかが問題となりました。
レスリング協会が設置した第三者委員会が調査を行った結果、コーチが選手に対して「よく俺の前でレスリングできるな」と発言したことや、大会に出場する選手の選考において、ある選手が選考基準を満たしているにも関わらず、選考から外されたこと等が、パワハラに該当すると認める内容の調査報告書が、平成30年4月6日に提出されました。
【パワハラ】だと思ったら、どこに相談するの?
もし自分や周囲の人がパワハラを受けてしまった場合、主な相談先としては、社内の相談窓口や各地の労働局の相談窓口、弁護士等が考えられます。
【パワハラ】上司を訴える! まず何をしたらいい?
パワハラの被害に遭った場合、パワハラを行った上司への損害賠償請求とともに、会社に対して損害賠償請求を行うこともできます。
会社は、パワハラを行った従業員の使用者として責任を負うとともに、労働契約上、従業員が心身の安全を確保できる状態で働けるよう配慮する義務を負っていると考えられているのです。
パワハラは、どんなものが証拠になる?
パワハラにより精神科等への通院を余儀なくされた場合の治療費の領収書等、診断書、同僚の証言、パワハラに該当する発言がされた際の録音データ、メール等が考えられます。
弁護士に相談するとどのくらいのお金がかかるの?
法律事務所によって料金は異なりますが、初回の法律相談の場合は、30分5,000円~1万円程度の料金のことが多いです。
【パワハラ】弁護士がジャッジ! これってパワハラ?
Q. 営業目標未達を毎朝、部署全員の前で罵倒された
まず、他の社員がいる前で注意するというのは、被害者に精神的苦痛を与えるものです。また、一度だけではなく毎朝続くということは、被害者に大きな精神的苦痛を与えるものです。したがって、どのような言葉で罵倒されたのか、どのくらいの期間続いたのか等にもよりますが、パワハラに当たり得る行為であると考えられます。
Q. 遅刻が治らない部下に「時間を守るのは社会人として1番基本的なことだよ」とお説教したら…
後日上司に「Aさんからパラハラを受けた」と泣きつかれた…というケース。遅刻を注意するというのは、明らかに業務上必要な指導といえます。したがって、注意の仕方や頻度にもよりますが、上記のような言葉で注意するだけであれば、パワハラには当たらないものと考えられます。
いずれにせよ、「この程度で騒ぐのはどうかしら…」「私ひとりが我慢すれば…」など、一人で抱え込まないこと。
また、自分が上司の立場であれば、何気ない言葉や態度の積み重ねが相手に精神的苦痛を与えてないか、今一度振り返ってみることも大切です。
みんなが気持ちよく働けるように、少しでも不安を感じたら相談してみましょうね。
初出:しごとなでしこ
弁護士 松葉優子
2012年早稲田大学法学部卒業、2014年早稲田大学大学院法務研究科修了。2015年弁護士登録。2017年に、現在所属しているプロアクト法律事務所に入所。企業のリスクマネジメント等が専門。