【目次】
・【夫が浮気】でも…関係を修復したい
・【夫が浮気】やっぱり…許せない! 離婚をするには?
・【夫が浮気】証拠は何がいちばん採用されやすい? 写真? メール? 行動記録? 携帯GPS?
・【夫が浮気】なのに…夫から離婚を切り出されたら?
・【夫が浮気】浮気相手に慰謝料を請求するには?
・【夫が浮気】浮気相手が妊娠していたら? 養育費は?
【夫が浮気】でも…関係を修復したい
まずは納得いくまで話し合いを。第三者を立ててもOK
「浮気されて悲しいけれどやっぱり夫のことは大切」
「夫の方が収入が多いので離婚後の生活が不安」
「子どもがまだ小さいので離婚はためらわれる」
など、様々な事情があり、浮気をされたからといってすぐに離婚に踏み切れない人は多いです。でももし、夫婦としての関係を続けていくと決めたなら、きちんと関係を修復して仲良くやっていけることが理想ですよね。
この場合、2人でお互いが納得できるまで話し合うのが一番良いと思いますが、冷静に話し合うのが難しいという方には、裁判所の夫婦関係調整調停(円満)という制度があります。
円満な夫婦関係を回復するために、第三者である調停委員が夫婦の間を仲介して、問題の原因や解決策を一緒に考えてくれます。
【夫が浮気】やっぱり…許せない! 離婚をするには?
次に離婚を決意した場合についてです。
ステップは3段階。「協議離婚」→「調停離婚」→「裁判離婚」
まずは夫婦間で話し合い、離婚することについて合意ができれば、離婚届を提出して離婚が成立します。夫がなかなか離婚に応じない場合、弁護士を間に入れることも考えられます。
弁護士が離婚を希望する妻の代理人となった場合、基本的には、いきなり裁判所の手続に進むのではなく、まずは夫との間で交渉を行います。
夫婦間での話し合いや、交渉において離婚が成立した場合の離婚の方式は「協議離婚」といいます。協議離婚の場合であっても、後々もめなくてすむよう、財産分与や慰謝料等の離婚の条件について、公正証書を作成しておくことが望ましいです。
仲介役を入れて話し合い、合意による離婚を目指す「調停離婚」
協議離婚が難しい場合は、裁判所の手続を利用することになります。
離婚の場合、法律の定めにより、いきなり訴訟を行うことはできず、まずは調停を申し立てることになります。
調停委員を仲介役として話合いを行い、合意による離婚を目指す手続きのことを、夫婦関係調整調停(離婚)といいます。
調停における離婚は「調停離婚」といいます。
最後の手段は離婚訴訟による「裁判離婚」
調停によっても合意が成立しなかった場合、訴訟を起こすことが考えられます。訴訟によって離婚が認められるためには、民法で定められた法定の離婚原因の存在が必要です。
相手の不貞行為(=浮気)はその1つです。
訴訟では、不貞行為の存在を裁判所に認めてもらわなければなりませんので、夫本人が浮気を認めていない限り、夫が浮気をしたことを示す証拠が必要になります。
【夫が浮気】証拠は何がいちばん採用されやすい? 写真? メール? 行動記録? 携帯GPS?
証拠としては、LINEやメールのやりとり、手紙、ホテルの領収書、調査会社の報告書などが考えられます。
不貞行為とは、結婚している人と肉体関係を持つことを指すので、証拠も、夫と浮気相手が親密な様子だけではなく、肉体関係にあったことが分かるようなものがより有効です。
【夫が浮気】なのに…夫から離婚を切り出されたら?
浮気をしておいて、浮気した側から離婚を切り出すなんてひどいと思う方も多いはず。このようなことは可能なのでしょうか?
この点について、最高裁判所は、下記のように判断しています。
1.夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、2.その間に未成熟の子が存在しない場合には、3.相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等離婚を認容することが著しく社会正義に反すると言えるような特段の事情が認められない限り、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない。
この判決が出されて以降、浮気をした側からの離婚請求が認められるかについては、1~3の事情を総合考慮して、浮気をした側からの離婚請求が、信義則にもとるといえるかという観点で判断されています。
したがって、浮気をした夫からの離婚請求が認められるかは、上記の事情により決定されることになります。
【夫が浮気】浮気相手に慰謝料を請求するには?
浮気相手に故意又は過失がある場合には、慰謝料の請求を行うことができます。
裁判所の手続を利用せずに任意の支払いを求めてもいいですし、浮気相手が任意の支払いに応じない場合等は、慰謝料を請求する裁判を起こすこともできます。
慰謝料の金額については事案ごとの事情により異なりますが、婚姻期間、婚姻関係が破綻していたかどうか、未成年の子の有無、浮気が続いた期間、浮気の態様、夫と浮気相手のいずれが主導的な役割を果たしたか等により決定されることになります。
【夫が浮気】浮気相手が妊娠していたら? 養育費は?
浮気相手が妊娠していた場合、そのことも慰謝料の金額の算定において考慮されることになります。
なお、夫の浮気の前からすでに夫婦の関係が破綻していたような場合には、特段の事情がない限り、慰謝料請求は認められないことになっています。
離婚をするにせよ、夫を許してやり直すにも、人生の大事な決断です。怒りに任せて早まった決断をすることなく、まずは落ち着いて、冷静に考えてみてくださいね。
初出:しごとなでしこ
弁護士 松葉優子
2012年早稲田大学法学部卒業、2014年早稲田大学大学院法務研究科修了。2015年弁護士登録。2017年に、現在所属しているプロアクト法律事務所に入所。企業のリスクマネジメント等が専門。