「子宮力」って一体何?
私たち女性ならではの臓器、子宮。普段はさほど意識することはなくても、毎月訪れる生理のタイミングや、妊娠・出産について考えたときに、その存在をあらためて意識するものです。
とはいえ、子宮ってどうケアしていいのかがイマイチわからない……という人も多いはず。そのアプローチには、どうやら漢方のチカラが有効らしい! ということで、漢方専門店である「ニホンドウ漢方ブティック」に「子宮力」と「漢方」の、切っても切り離せない関係について、いろいろとお話をお伺いしました。
■1:子宮力のこと、知ってる?
子宮は、生理をはじめ妊娠・出産にかかわる女性にとって大切な臓器。子どもを望まなければそこまでケアしなくても大丈夫? というと、決してそうではありません。子宮をコントロールするのは、女性ホルモン。子宮が正常に機能しているからこそ、女性は自分らしく健康で輝いた毎日を送ることができるのです。
女性ホルモンは子宮の左右についている卵巣から分泌され、卵巣は脳からの司令で働いています。つまり、脳と卵巣と子宮の連携プレーによって、女性特有の機能が生み出されている、というわけ。この連携プレーを「子宮力」と呼び、女性が美と健康を維持するうえで欠かせない力なのです。
■2:子宮力を低下させる、やりがちな生活習慣
✔︎無理なダイエット
偏った食材だけで過ごすダイエット法や、極端な体重減少は体の防衛反応が働いて子宮力を低下させます。
✔︎冷え
子宮がある腰から腹部が冷えることで、女性ホルモンの乱れや血行不良で生理トラブルを引き起こします。
✔︎ストレス
過度なストレスによって自立神経の働きが乱れ、心身ともにアンバランスな状態をつくりだします。
✔︎肥満
太り過ぎも体に負担がかかります。とくに血流が悪くなりやすく、生理痛を重くさせます。
現代女性は戦前の女性と比べて妊娠・出産の数が少ない傾向にあり、生涯の生理回数が増えています。そのことから、子宮がお疲れモードになりやすい状態に。これは、意識してケアする必要がありそう!
■3:こんな生理トラブルは危険信号
生理は子宮力を測るバロメーターでもあります。子宮力が低下していると、生理にも影響し、さまざまなサインを発します。次のような状態には注意が必要!
✔︎生理不順
通常は25〜38日周期。生理が月に2〜3回あったり、周期が39日以上だったり、10日以上もズレが生じたりするなど、順調だった生理周期が突然乱れたときは注意。
✔︎経血量と色
通常、生理期間は3〜7日間。初日は鮮血で量も少なく、2〜3日目に量が多くなり、その後は徐々に減り、色もやや暗めの赤色に変わります。しかし、出血が10日以上続いたり、レバーのような血塊があるとき、また経血量がいつまでも多いときは子宮の病気が疑われます。
✔︎生理痛
下腹部の不快感や腰のだるさは誰にも多少はあるもの。しかし、毎回鎮痛剤が必要なほどの腹痛や頭痛、腰痛がしたり、イライラ感や落ち込みがひどいときは、ホルモンのバランスが乱れている可能性があります。
✔︎不正出血
生理でもないのに出血がみられるときは、子宮の病気やホルモン異常のサインかもしれません。
■4:子宮と卵巣の病気を知っておこう!
子宮力の低下は、子宮や卵巣の機能も低下させ、女性特有の病気を招くことがあります。とくに30代以降に増加傾向がある代表的な病気を知っておきましょう。
✔︎子宮筋腫
子宮にできる良性のコブ。ほとんどの場合、がん化はしませんが、筋腫が大きくなると生理時の出血量が増えたり、まわりの臓器を圧迫して頻尿や便秘などが起こります。閉経後は筋腫が縮小するため、女性ホルモンのエストロゲンが関係していると考えられています。30代以降の女性の5人に1人が筋腫持ちと言われています。
✔︎子宮内膜症
子宮の内側を覆っている子宮内膜が、卵巣や卵管、骨盤腹膜など子宮の内腔以外の場所に増殖する病気。生理痛が重いのが特徴で、不妊の原因にもなっています。生理のある女性の10人に1人がかかっているといわれ、エストロゲンが関係していると考えられています。
✔︎子宮がん
子宮内部にできる子宮体がんと、子宮頸部にできる子宮頸がんがあります。子宮体がんは女性ホルモンが関係し、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)にセックスを通じて感染しておこります。いずれも初期には自覚症状がなく、進行すると腰痛や不正出血、膿のようなおりものがあらわれます。
✔︎卵巣機能不全
卵巣が十分に機能を果たさずに、女性ホルモンの分泌が減少したり、まったくなくなったりして排卵が起こらない状態です。生理周期が乱れたり、無月経になることもあります。体のほてりやのぼせ、イライラといった更年期障害のような症状に悩まされることもあります。
プチ不調こそ、漢方の力を借りるべし!
■5:体質&状態を見極める漢方の考え方って!?
漢方では、私たちの体は「気」「血」「水」の3つの要素で構成されていると考えます。
この3要素が充実し、しっかりと巡っている状態は、心身ともにバランスがとれた状態。反対に不足したり、滞ったりするとさまざまな不調があらわれます。漢方ではこの不調に適切な対応をするために、気・血・水をそれぞれ不足タイプと滞りタイプに分類して、見極めていきます。
■6:漢方のチカラで子宮がふわふわに!
漢方では、女性の一生は3要素のなかでも「血」に左右され、女性の体調は7年周期で変化すると考えます。
ライフスタイルが多様化している現代女性。晩婚・晩産化による女性ホルモンの乱れやストレスから、この周期のサイクルが乱れている女性が増え、それが子宮力の低下にもつながってしまっているそう。最近忙しい……という人は、漢方の養生で体の巡りを整え、子宮をケアすることを意識しはじめるといいのかも。
■7:漢方の知識が増えることで、自分のカラダを知れる
今回取材をさせていただいたニホンドウ漢方ブティックを運営する「薬日本堂」が監修している書籍『子宮力を上げる漢方レッスン』(KKベストセラーズ)では、漢方の知識をわかりやすく解説しています。
本書には、漢方の知識を活用しながら子宮力をアップし、自分らしくハッピーに生きるための実践方法が多数掲載されているので、合わせてチェックしてみてくださいね。
自然治癒力を高めるために生活を見直すのが、子宮力を高める漢方のアプローチの第一歩。さらに、それを補うために漢方薬の力を借りるなど、その人の体質&状態をきちんと見極めてケアをすることができるのが漢方。そうと分かれば、早速自分の状態を知りたいところ。漢方薬局に、早速カウンセリングに行ってみては?
今回取材させていただいたのは…
ニホンドウ漢方ブティック 青山店
住所:東京都港区北青山3-3-13
電話:03・5775・6932
営業:11:00~20:00(定休日なし)
文/松崎愛香 トップ画像/Shutterstock.com
初出:しごとなでしこ