新井見枝香さんってどんな人?
今回ご紹介するのは、三省堂書店神保町本店に勤める書店員・新井見枝香さん。
読書好きの両親に育てられた新井さんは、幼い頃から本が好きだったそう。
10年前、軽い気持ちで三省堂書店にてアルバイトを始めたところ、次第に書店員の仕事に魅力を感じることに。
作家を書店に招いて本音を聞き出す「新井ナイト」というイベントを定期的に開催するなど、アルバイト時代から本を売るための企画に積極的に取り組んだという新井さん。
その働きぶりが店舗の売り上げ向上に繋がり、アルバイトから正社員となり、1年ほど前に神保町本店・営業本部に抜擢されました。
現在では、一会社員でありながら、出版業界紙やWebメディアで連載を執筆し、文庫の解説や帯コメントの依頼も多いそう。
また、全国の書店員がその年もっとも売りたい本を決める「本屋大賞」の実行委員を務めています。
さらに、2014年からは独自に選考する「新井賞」を設立。同日発表の芥川賞・直木賞作品より売れることもあるのだとか。
新井見枝香さんの「7つのルール」
さて、そんな新井さんが「いつもしている7つのこと」=「セブンルール」とは…
1.ポップに感想は書かない
書店のポップには、掴みだけを書くのだそう。本を読んだ後に感じることは千差万別なので、感想は絶対に書かないという徹底ぶり。
2.芥川賞・直木賞と同時に新井賞を発表する
おもしろい本でも芥川賞や直木賞から落選することもあるが、「落選のマイナスイメージから救いたい」という思いで「新井賞」を設立。今まで売れていたかなどの先入観はなく、自分がおもしろいと思った本を拾っていきたい。
3. 毎日本を買って帰る
仕事後は、本を買って帰るのがお決まり。毎日買って帰るので、本がたまり「一生かけても読みきれないかも…」というほど。
4.残高は気にしない
かなりの大食いだという新井さん、給料は日々の食費に消えていくのだとか。1日に数軒のアイス屋さんに行くこともあるというのは驚き。「自分がいくら使っているのか、給料がいくらなのかも把握していない」という豪快なところも魅力ですね。
5.本は雪崩が起きたら捨てる
年間に数えきれないほどの本を読んでいるので、自宅の本棚は本が山積みに。本を捨てるタイミングは、雪崩が起きたとき。本を読み終わって中身が自分の中に入ったら、捨ててもかまわない。
6.会社に縛られない
自身初のエッセイ集の発売イベントは職場とは別の書店で開催。また、「この本はこの書店で買ったほうがいい」と、近くのライバル書店で本を購入することも。入社当初は恩義を感じていたが、途中から会社に縛られたくないという気持ちに。「どこかで自分の好きな本が売れてくれたらいいな」という思いが強く、“フリーの書店員”のような立場が理想なのだとか。
7. 売り場仕事をやり続ける
本店の営業本部に出世した直後から、「売り場に戻りたい」という思いが強かったそう。その思いが届き、昨年12月、売り場仕事に戻れることに…!
新井さんの「おもしろいと思った本を売りたい」というブレない心意気と、周囲を気にせず自分の信じた道を貫き通す芯の強さが魅力的です。働く女性にとって励みになるところがありそうですね♡
文/かわはらりな
次回の「7ルール」の放送は、2月6日(火)よる11時~11時30分です。主人公は、フードエッセイストの平野紗希子さん。
しごとなでしこでは、様々な分野で輝いている女性たちに密着! 番組を振り返り、仕事をする女性たちへのヒントを見つけていきます! ぜひチェックしてみてくださいね♡
初出:しごとなでしこ
書店員 新井見枝香
1980年生まれ 東京都出身 37歳。三省堂書店で文芸書とくいしんぼうを担当するカリスマ書店員。アルバイトで入社後、契約社員を経て正社員に。店頭やイベントでの独自の取り組みが業界で大きな注目を集め、「プッシュする本は必ずヒットする」と話題になる。2014年から独自に選考する「新井賞」を設立し、芥川賞・直木賞と同日に発表。コラム連載を持ち、文庫解説や帯コメントなどの依頼も殺到し、テレビやラジオにも多数出演。昨年12月に初のエッセイ本『探してるものはそう遠くはないのかもしれない』を出版。