恐怖のインフルエンザハウスからの招待状
年始明けにすぐその恐怖の招待状は届いた! これです。
そう3億6000万のインフルエンザウイルスが棲む家、その名も「インフルエンザハウス」。
誰がそんな自らを身の危険に追い込むようなところに、行くかっての。ただでさえ、毎日仕事に追い込まれてるってのに。
と、招待状もほっておいたら、担当営業のサトウ君からとうとう連絡がきた。(そう、前回の記事のネタ、脱出ゲームを紹介してくれた彼だ)
サトウ:「もちろん風邪にもインフルエンザにもかかりませんから(汗)、ぜひ来てください!」
クロシマ:「じゃあ、なんで人をそんな菌まみれの場所に連れ込むわけよ???」
サトウ:「それは、来てからのお楽しみなんですよ。だから、風邪にはならないから信じてくださいってば」
…本当だろうな???…
今年のインフルエンザは例年よりずっと早くから全国を席巻し始めている。きっとしごとなでしこ読者もこのネタは興味あるにちがいないと思い、おそるおそる会場へ。
ということで、皆さまのたーめーに(やたら押し付けがましい消費家)、自ら飛び込んで来ました、インフルエンザハウス。 みなさん、クロシマのこと、なでしこ決死隊と呼んでください。(やれやれ)
お招きにあずかったのは、東京は自由が丘にある大きな一軒家。ここがインフルエンザハウスらしい。
玄関で靴を脱ぎスリッパに履き替えると、そこは大きなリビングとダイニング。
案内されたリビングで待つコト数分…お母さんと少年が家に戻って来た。
「ただいまー」
そこで繰り広げられるなにげない親子の日常。
ママ:「外から戻ったからまずは手を洗って、うがいしてね」
少年:「はーい」
さぁてと。お母さんも手を洗って…
ママ:「じゃ、おやつにしましょうか。今日はプリンが買ってあるのよ」
少年:「やったー!僕、プリン大好き!」
ママ:「あ、ちょっと待って。その前にちゃんとテーブルは拭かないとね」
と何気ない会話が続いたその時、「ちょーーと待ったー!」と突然MCが割り込んだ。
「今の行動の中でインフルエンザ予防として、あかんポイントを言ってみてください!」と、急に問題を振られる我々オーディエンス。
えー!? 帰ってきて、きちんと手も洗ったし、うがいもしたし、そしてテーブルまでちゃんと拭いた。何があかんのん!? しっかり手も洗ってたよ。石鹸で。
と、そこで我々は玄関に誘導された。
「では、ここでちょっと照明を消してみましょう」
室内は突然暗転する。ふっと浮かび上がるブラックライト。
うおーっ!
と思わずどよめきが上がった、そのライトに照らされた人の皮脂の青白い痕跡。照明のスイッチの周りまで見事にくっきりと!
こうやってインフルエンザウイルスは皮脂に付着し、いとも簡単に空間を移動しているのであった。
それもよく見てください。ドアノブだけでなく、扉全体にもがっつり! そうです、子供はドアノブに手が届かなかったりするので扉そのものを押したりしているのです。
そうかきちんと汚れを取らないと、ウィルスは残ってしまうのね。そう、キッチンクロスや雑巾で扉やテーブル、蛇口などきちんと水拭きを!
さて、ここでみなさんへ問題です。
実はこの少年、インフルエンザキャリアでした。少年はワクチンを打っていたので、幸いにもかからなかったのに、お母さんは残念ながらインフルエンザに罹ってしまいます。ちゃんと拭き掃除もしていたお母さん。さて、どこでインフルエンザのウイルスが少年から母へ!?
リビングに戻った我々の前で、ダイニングテーブルの照明もまた消された。
うぉおおおお。さらに大きなどよめきが起こる。
さっききっちり拭いたはずのダイニングテーブル。子供のいたずらがきのような抽象柄になって青い部分はますます広がっていた。
ここで今回の担当医師、今津先生がさらに問題の答えあわせを始めた。
「残念ながら、水拭きではインフルエンザウィルスは全く死にません、そしてブラックライトの中で見ていただいたように、クロスやタオルで拭いてもそれはまた、ウィルスのいる範囲を広げているだけなのです」
えええっ・・・
なんと結局、水拭きで拭いたところにはウィルスはまだまだ生き残っているのだ。インフルエンザキャリアの少年が触った、家の中のあちこちに。
お母さんがこまめに拭いた努力も虚しく、インフルエンザウィルスはタオルやクロスを媒介に、逆に増殖していく。蛇口を水で洗ってもウィルスは残るし、テーブル拭きにいたってはウィルス汚染範囲をただ、広げているだけなのだ。
3億6000万ものインフルエンザの住む、いや棲む家はこうやってすぐに出来上がる。
(訳注:データでは1箇所に付着したインフルエンザウィルスがこのような移動を続け、ものの1時間後には3億6000万に増殖するという)
つまり、お母さんがインフルエンザに罹ってしまう可能性のあるポイントはもう、家中そこここにトラップのように仕掛けられていたのであった。
そして、(もちろん)あなたの家でも同じことが・・・起きている・・・ ああ、恐ろしい。
しかし! 救いはあるのです、皆のものよ!
この先生がお持ちの貴重な臨床データ。そうです我々が生き抜くための本当の答えがついに開かれた。
その答えとは、「インフルエンザウィルスは99.9% までアルコール除菌で死ぬ」。
水であれほどキチンと拭いても死なずに拡がるだけだったウィルスも、それがアルコールとなるとそのほとんどがすぐに人間への感染力を失うというのだ。
あれですよ、あれ。スーパーで売っている、「食器に吹きかけても大丈夫」なアルコール除菌剤。
食器や手を水で洗った後、最後にアルコールをしゅっしゅっすればいいのです。扉や蛇口はアルコールを吹きかけたクロスで拭けばいいのです。(ちょっとくらいなら食品にかかっても、もちろん大丈夫だそうです)
ウィルスで汚染された頭の中のどす黒いドロドロなイメージに、アルコールをしゅっと撃ち放つ。すると、あれよあれよ。ドロドロはみるみる萎み、しぼんで出来た隙間からきらきらと光が差し、その後は晴れやかな青空が見えてきた。
3億6000万ものインフルエンザウィルスにまみれた家で(いや本当には居ないんですけどね)、救いの答え合わせ(予防法)を聞いた我々はみなほっと胸をなでおろしたのであった。
そして、心の中で呟いた。(早速帰りにアルコール除菌剤を買わなきゃね)
【編集後記】
ところで“免疫力”というのは今、医学業界では注目ワードらしい。そう、ウィルスが襲ってきても、”かからない力”、それが免疫力。それを高める方法とは!?
なんと古来からの日本人の健康法、“乾布摩擦” (ふるっ)なのだそうだ! 大正とか昭和の初め、おじいちゃんとかがフンドシ一枚で冬の寒空、家の庭で“ハッ”とか言いながら手ぬぐい片手に体を拭いている、そんなフラッシュバックな光景が目に浮かぶ。
しかしこれにはきちんと裏付けがある。人間の皮膚をこすると副交感神経が刺激され、自律神経を整えられるし、体温が上昇し、免疫細胞の増加につながるらしいのだ。(まぁ、人間の体ほど、不思議で解明できてないことも多い)
洋服の上からでもいいので、柔らかいタオルでこするといいんだって。手足の先端から始め、体の中心に向かってゆっくり。太陽を浴びながらが、一番いいらしい。
同じようにランニングとかをしていると免疫力は高まるという説もある。たしかに走っている時って、いろいろ擦れるし、乾布摩擦してるようなもんだものな。運動は免疫力アップにはとても大切なのだ、やっぱり。
ところで、こんな様々な情報をインフルエンザハウスで学んできた消費家クロシマだが、、、実はインフルエンザに罹ったことがない! 多少の風邪はあるけれど、インフルエンザとかノロとか感染系にめっぽう強いのだ。そんなクロシマの持論は「普段から雑菌にまみれること」(ええーっつ)
マザコンの純粋培養の男子がちょっとした喧嘩やトラブルですぐに心が折れやすいのと同じで(笑)、やっぱり人間には日頃からの「慣れ」が必要である。汚くしておくわけじゃないけど、ある程度はおおらかに気にせず気にせず!
手なんかも結局水でちょっちょっと洗うのみ。ご飯やお菓子も3秒ルールは適用!(ちょっとお皿から落ちたりしても3秒は…ていうアレですアレ)
これがクロシマ流“インフルエンザに罹らないコツ”。てへへへ。
あ、それにアルコールか!? 毎日アルコール摂取してるのがいいのか?(訳注:全く関係ないそうです)
と、いうことで、 今回のインフルエンザハウスでの講習、全く役に立ってないやんかー!!!
なでしこの皆さんはぜひこの貴重な情報をお役立てくださいね。
初出:しごとなでしこ