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WORK

2018.01.20

外資系金融会社ゴールドマン・サックス勤務の秋元悠里さん(29歳)が働く上で大切にしていること|働く女性ファイル

金融界の変化のスピードに合わせて自分は何に貢献できるのか、常に考えています。新たな考えに触れたり、よりよいコミュニケーションを工夫したりと、常に試行錯誤の連続です。昔は、“今日も何もありませんように”と祈りながら出社していたことも。さすがに6年目ともなると心もタフに鍛えられます。

今を生きる女性にとって「キャリア」とは? 「都心で働くアラサーしごとなでしこ」の仕事人生に迫るこの連載は、友達つながりのリレースタイル。第5回は、ユニリーバ・ジャパンで働く西井さつきさんの学生時代のダンス部の友人、ゴールドマン・サックスで働く秋元悠里さんにお話を伺いました。

外資系金融会社で、心のタフさが鍛えられて

秋元悠里さん(29歳) ゴールドマン・サックス 人事部

秋元悠里さん(29歳)
ゴールドマン・サックス 人事部

PROFILE
あきもと・ゆり/小学1年生からバレエを始め、中高時代はダンサーを夢みる。高校卒業間際の海外旅行で語学力の重要性を痛感。英語力をつけたいと国際基督教大学教養学部に入学、英語ディベートサークルに所属する。卒業後はグローバルに働ける企業を求めてゴールドマン・サックスに新卒入社。オペレーションズ部門(業務統括本部)を経て、現在は人事部で勤務。


―異動されて3か月ということですが、5年在籍した前の部署の仕事内容から教えてください

主に、会社の資金調達と担保の管理をしていました。会社が業務を行うために必要な資金や担保を事前に調達するのが主な仕事です。会社が“体”だとしたら、“動くために必要な血液を必要な場所に循環させる役割”を担っているイメージですね。

たとえば、東京オフィスだけでなくニューヨークやロンドンなど、全世界のゴールドマン・サックスのオフィスでその日に必要となる日本円などの必要額を毎朝試算して、できるだけ安く為替トレーダーに調達を依頼し、1日の終わりにはすべての口座に決められただけの残高があるように管理します。

―おおよそ、1日どれくらいの額を扱うのでしょうか?

全て合算すると日本円で1千億円くらいのときもあります。予想外の支払いがあったり、受け取れない額が出て、会社の銀行口座が赤残(残高がマイナス)になってしまわないように注意して必要額を見積もります。もし口座が赤算になって銀行からその分を借りるとなると、手数料もかかりますし、会社の信用問題にも関わります。

ふだん仕事で扱う額が自分のお財布の感じとあまりに違いすぎるので、それがプレッシャーで、新人時代は「2Billion(ビリオン)足りない…」とか、夢に見てしまったことがありました(苦笑)。Billionはゼロ9個、20億です。毎日正確かつ、迅速に仕事をこなしていかなければならないので、常にタイムプレッシャーを感じていましたね。

―聞いているこちらも手に汗を握ってしまいそうです。就職時に今の会社を選んだ経緯を教えてください

大学時代のディベートサークルでの経験が大きいですね。当初はディベートが何かもわからないまま入部しましたが、いざ入ったら、それまで関心のなかった社会問題や政治に関心をもつようになりました。議論のトピックになる世界情勢や紛争問題について調べ、さらにそれに対してロジカルに意見を述べる訓練を受けるうちに、自分の世界が驚くほど広がりました。

どんなトピックでも、賛成派の人もいれば反対の意見の人もいる。どちらの側にも正当な理由があり、議論していくこと自体に意味があるというのがディベートの本質です。国際大会で海外の同世代の学生と議論する機会も刺激になり、ものの捉え方や考え方に柔軟性や幅が出ました。

その影響なのか、将来は女性が活躍できるグローバルな環境で働けて、長期的なキャリアが築けるような組織で仕事をしたいと考えるようになりました。ゴールドマン・サックスでインターンシップに参加してみたら多くの女性マネージャーの方が活躍されていて、“ああ、自分はこういう人たちになりたいんだ”と、自分が働く姿が見えた気がしたんです。ダイバーシティを大切にする部署で意見を求められたとき、自分が頑張れば認めてもらえる世界だと感じられたことも大きかったですね。

インタビュー

―先輩の中にロールモデルをみつけたんですね。ちなみに今、人事部ではどのようなお仕事をされていますか?

現在は東京オフィスの新卒採用チームに所属し、就活イベントでのマーケティングや社内のインターンシップの開催など、新卒採用活動に関する一連のイベントを管理しています。

私自身、新卒から業務部で5年間働きましたが、会社のカルチャーや一緒に働くプロフェッショナルな社員、また社内でできる経験すべてが、仕事上だけでなく人間的にも自分を成長させてくれたと思っています。まったく新しい業務内容ですが、自分が大好きな会社の魅力を伝えて、将来社内で活躍する人材の入社につながればいいなという気持ちで働いています。

―この会社で働いてきたことで、何かご自身の中で変化したことはありますか?

ポジティブであることは大切だなと。何か問題が起きたりミスがあった場合、それを処理して終わりなのではなく、今後同じことが起きないためにはどうやってもっといいプロセスに変えて行くのか。問題点を洗い出してより良くしていこうという考え方が身についたと思います。若手のころは毎朝、出勤時に日比谷線のエスカレーターを登りながら“今日も何もありませんように”と祈りながら出社していました。でも、さすがに6年目ともなると心もタフに鍛えられます。

最近では、金融界の変化のスピードに合わせて自分は何に貢献できるのか、常に考えています。新たな考えに触れたり、よりよいコミュニケーションを工夫したりと、常に試行錯誤の連続です。小さなミスが深刻な結果につながってしまう仕事なので、年次関係なく誰もが自由に意見を言い合えるチームづくりも課題だと捉えています。

仕事のマストアイテムは、お茶のティーバッグと両親からの名刺入れ

ティーバッグ 名刺入れ

仕事柄、お腹がすいてもなかなか席を立てなかったり、何か問題が起こった際の対応に追われて忙しいときも少なくありません。そんなときは、カップにお茶を入れてごくっと飲んで、気持ちをできるだけリラックスさせるようにしています。今もっているのはルイボスティのティーバッグ。お茶はいつも何種類かデスクの中に常備してあります。

また、ふだんあまり名刺交換をしないのできれいなままですが、新入社員になる前に“社会人になったら必要だ”と、両親が旅行先で買って来てくれたPRADAの名刺入れも大切にしています。これは精神的支柱のようなものですね。

自宅では、“Netflix”の海外ドラマやテレビのバラエティ番組を見てリラックスしています。休日はジムに行ったり、観劇したり。ハワイ旅行も好きですね。去年も2回行きました。ショッピングよりは海でのんびり派。ハワイに行ったら海でぷかぷか。現地では日焼けを気にせず焼いちゃいます。

私にとって、働くことはとても大切。これからも仕事を通じて自分を成長させていき、でもプライベートも両立できる女性を目指したい。将来自分の子供に“カッコイイお母さん”だと思われるような人になれたらうれしいですね。

撮影/与儀達久 取材・文/谷畑まゆみ

初出:しごとなでしこ

谷畑まゆみ フリーランスエディター

編集プロダクションで女性誌編集者としてキャリアをスタート。Oggi、Domani、Preciousなどで読み物企画を担当。働くこと、産むことにまつわる30代女性の本音を掘り下げる連載を担当して以来、「女性の生き方」企画がライフワークに。
心理学を学ぶために40代で会社を離れて大学院へ。目白大学大学院心理学研究科にて「30代女性の主観的幸福感」について論文を執筆。修了後はキャリアコンサルタントや産業カウンセラー資格を取得し、心理学の知識をもつエディターとして始動。現在は女性誌やWebメディアでの編集・執筆に加えて、国際NGO法人のオウンドメディアにおける編集コンサルティングのほか、心理援助職としても活動中。

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
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