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LIFESTYLE

2017.12.07

オーストラリアで「スタバ」が流行らない理由

消費家・商業マーケティングコンサルタント黒島美紀子さんによる連載「消費家ブログ」。今回は、オーストラリアのコーヒー事情について。なぜ、オーストラリアはスタバは流行しないのかについてを考察。

オーストラリアはなぜスタバが流行しないのか

サードウェーブコーヒーが米国西海岸から大きな波に乗って日本に到来してから、結構な時間が経過し、着実に日本に定着していっている。

そして、小さなコーヒー屋さんが日本の各地域でちょっとしたコミュニティのハブになってきている。

自分の好みに豆を焙煎し、そして小さなマシーンを手に入れ、いや、マシーン無しにハンドブリューで全部やってもいいし、お客様に素敵な自分の世界観と小さな文化を提案できる。

焙煎はあっさりか、はたまた深くか。
豆はどこの国のがいい。
落とすには何分かけるのが良いのか。

そんなサードウェーブコーヒー

しかしである。おおまかにいうと、なでしこ女子たちはそんなことは気にしないのだった。

むしろ…
苦いのは、いやー!
酸っぱいと、ちょっとニガテー!

となり、結局…
近くにあるとこが結局いちばんー!

みたいな、かなりあっさり風味で現実的な人種なのだよ。
女子っていうのものは。

ということで、女子にとってのコーヒー屋は、うんちくや味というより、コンビニエンスとコミュニティ

みんなの知っているところで簡単に済ます!
となっているのが現実だ。

ところがですよ。
今回、スタバが全然流行らない国! に行ってきました。え、そんな国あるの? どこなんだ?

はい。
それが、オーストラリアなんです!

シドニーに到着、真っ先に出向かえてくれた、現地に移住したミキちゃん。
手始めに連れていってくれたカフェで、まず初めに彼女がこんなことを教えてくれた。

「黒島さん、ここシドニーは本当に地元のコーヒーが美味しいんです。だからみんなスタバに行かないの。スタバが全然浸透しない国なんです、オーストラリアって」

なにー、とあたりを見回すと、たしかに。
小さな道の四角の一つは、必ずおしゃれなコーヒー屋と言っても過言ではない。

コーヒー屋1コーヒー屋2コーヒー屋3コーヒー屋4コーヒー屋5コーヒー屋6コーヒー屋7コーヒー屋8

それくらい、それぞれに個性豊かなコーヒー専門店がそこここに。

とりあえず、初めのコーヒーは素敵な海辺の施設に入っているコーヒースタンドで頼んでみた。

うまい!

なんでなんだ? ということでいろんな人に聞いてみる。

これは、シドニー(オーストラリア全体にそうだと思うけど)のコーヒー文化が、イタリア系のコーヒをベースとするからなのだそうだ。

そうなの?

イタリア系コーヒーというのは、エスプレッソマシンを使うエスプレッソコーヒーをベースとするもので、ものすごく「濃い」のだけど、コーヒーのツンツン、イガイガしたトゲが少なく、丸みを帯びつつ香りが高い。

もともとイギリスの支配下にあったオーストラリアは伝統的には紅茶文化がメインだったのだが、食の大国イタリアをはじめとして、色々な国からやってきた移民達が徐々にオーストラリアの食生活を塗り替えていったそうだ。

だからイタリア系のコーヒーがメインになったのだ。

そうか、日本のコーヒーは基本的にはアメリカからの文化、ちょっと味も製法も違う。

だからこんなにコーヒーの味にオンチな私でも、日本で飲んだ時に感じる酸味とイガイガをここでは全く感じずにすんなり美味しいと思ったわけなのね。

コーヒー屋2

そんな目で街を歩くと、いやいや、本当におしゃれな個人経営のコーヒー屋さんがたくさんある。
街でもたくさんの人たちが友人や会社の同僚とかと、早朝からコーヒーを楽しんでいる。

4

どうやら、オーストラリアの人って本当に早起きで朝を楽しむのが好きらしい。

そう、朝食の街、ここシドニーでは朝は早くから家をでて、朝食とコーヒーをカフェで嗜むのだ。

3

しかし! メニューを見ると…なんだこのコーヒーの種類の多さは!

5

ギブアップ、こりゃ、わからない! とガイドブックを見てみる。

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最初に「?」と思うのは、ショート&ロングブラック&ホワイト

ショートはエスプレッソコーヒーそのままの濃いやつで、ロングはこれにお湯を足した、いわゆる日本でいう普通のコーヒーらしい。ブラックとホワイトは、コーヒーの中にミルクを入れるか入れないかの差。

んー。

とにかく、私は普通のブラックコーヒーが飲みたい! と主張。聞くと、それは「ロング・ブラック」

おし、これからずっとそれで通すぞー!

日本からのツレのキタガワはラテっぽいのが良いということで、「フラット・ホワイト」にすることに。

これで牛乳をソイミルクにしたりアーモンドミルクにしたり、バリエーションが無限に広がっているのであった。

聞くところによると、バリスタは大人気の職業

バリスタの店舗の移動によって、そのファンもご贔屓のお店を変えることもあるそうだ。

ビーチに行っても、街中でも、

軒先が2メーターくらいしかない小さなものから、大きな焙煎機を抱えているおしゃれさんまで。

自転車やさんの1階もバーバーの軒先もまずはコーヒースタンド。
まぁ、コーヒーを飲んで、まずは話そう。

街の人はみなコーヒー片手に笑って話している。

そんなコーヒーから始まるコミュニケーション文化がすっかり浸透している国。それがオーストラリアだった。

歴史を紐解けば、キャプテンクックの上陸から始まって、今のオーストラリアは欧州から自国を離れ、新しい境地を求めて長い船旅を経てきた移民(とアボリジニー)の国だ。

そこには彼らの不退転の意思や悲しいつらい開拓の記憶も脈々とあるにちがいない。

そんな中だからこそ、オーストラリアの人たちは「○○国からの移民」ではなく、「オーストラリア人」として、自分や自分の国の生き方、在り方をすごく大切にしているだろう。

別の国からの新しい大手チェーンの流入より、個々の味やテーストを尊重した個別のお店やバリスタを愛するのもそういった「ダウンアンダー」の人々のひそかなレジスタンス精神の現れなんじゃないかな、なんて、200年ちょっとの歴史の変遷を感じたシドニーだった。

ちょっとは日本も見習わないとなー…。

【編集後記】
最後に入ったコーヒー屋さんでたまたま見つけた、タンブラー。

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日本のタンブラーは背が高いものが多いけど、これはなかなかないコンパクトさ。可愛いー! そしてスモーキーなパステルもシャレている。

思わず消費家の本領発揮。早速購入。230mlしか入らないサイズだけれど、持ち運び便利です。

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街で前を歩いているお兄さんもポッケに入れて愛用しているのを発見。
この大きさ便利です。(日本でも普及するといいのにね)

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初出:しごとなでしこ

黒島美紀子 MKシンディケイツ代表

消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。


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