パリのマルシェに思いを馳せて…
11月の寒い土曜の朝、私はパリのホテルにいた。セーヌ川に面した小さな部屋。パリのホテルはなぜか絨毯が濃い赤の部屋が多い。
そして、寒い冬を乗り切るセントラルヒーティングはじわじわと熱気を放つ。はめ殺しの窓に近寄ると結露で滲んだ窓からセーヌ川沿いのマルシェが見える。
びっくりするくらいたくさんの大小さまざまのクリスマスツリーが所狭しと並んでいるのが見える。まるで、深い緑の絨毯みたいだ。
土曜の朝早くにも関わらず、分厚いコートにニット帽、そして厚い手袋で重装備したパリジャンがどんどんマルシェに吸い込まれていく。
このために建てられた簡易の建屋の中ではもちろん色とりどりのクリスマスオーナメントや、デコレーショングッズが所狭しと並べられている。
そして、温かいスープやクロワッサンやホットココアのスタンドもあるからだろう、マルシェが朝から大賑わいなのは、白く曇った窓から見ている私にも伝わってくる。
おじいさんに手をひかれ、入っていく小さな女の子。五人くらいでワイワイと浮かれながら吸い込まれていく若者たち。
そう、みんな自分の家のクリスマスツリーを選びに来ているのだ。
パリジャンにとってのクリスマスは年に一度の家族の集い。
毎年ツリーを買いにマルシェにいき、思い思いの大きさ、形のツリーを選び、飾り付けをして皆の帰りを待つ。
そして遠くにいる家族は両手いっぱいのプレゼントと共に家路を急ぎ、クリスマスを迎える。
そんな一年の締めくくりを待ちわびるかのように、マルシェにはどんどん人が引き込まれていくのだった。
旅人の私にはもちろん関係のない光景。でも家族との温かい一瞬がちょっと恋しくなる、そんな光景だった。
日本でもこんなクリスマスマルシェがあったらな…。
と、思っていたら…
しごとなでしこの編集長からインビテーションが転送されてきた。
クリスマスにちなんだマルシェが開催! それも、うちの近くじゃないか!
消費家ブログのスタート直後にも絶賛紹介した太陽のマルシェ@勝どき。
特命係長、クロシマ、早速潜入して参りました。
東京でもクリスマスマルシェを体験♪
キンとした冷たい空気とは裏腹にぬけるような太陽のもと、開催されていた太陽のクリスマスマルシェ。いつもながらに大盛況。
ブースの皆さんがサンタ帽をかぶってさらにクリスマス気分を盛り上げる。
いつもながらのオーガニック野菜やらオーガニックグローサリーとかに加えて全体的に赤いものが多い、更に気持ちが盛り上がる。
やっぱりクリスマスはお菓子ですよね。そう、シュトーレン。シュトーレンがそこここで売っている!
ドイツ生まれの硬いケーキのようなこのお菓子は日持ちするので、クリスマスの定番だ。甘いけど、木の実やスパイスやらすこしお酒とか入っていて、まぶしい感じの大人のお菓子って感じで、小さいころの私は母が買って来ても「えーこんなまずいもの」と敬遠しがちだった。
スパイスは多分、シナモンとナツメグ、そしてカルダモン。ちょっとエスニックでスッとする深みのあるこの味も、今や私の大好物。色々なお店で手作りに近いシュトーレンが販売されていた!
早速味見。
そして、形も包みも素敵だった米粉のシュトーレン。小さい頃の思い出より、スパイスが少し柔らかい気がする。オトナになったからかなぁ? でも、味も気に入り早速購入。
次に見つけたのが、クリスマスやお正月のリース。というか? これ何?
スワッグと言うらしい。
リースより作るのも簡単で、見た目もドライフラワーみたいなしつらえ。ヒバとかモミとか入れてクリスマスらしく、それにユーカリとか加えたら、香りも高く、自分でも作れそう!
やっぱりクリスマスカラー、赤、グリーン、金が気分も盛り上がる。
マルシェの定番はワイン屋さんも多い。国内のオーガニックワインから、クロアチアからのワインやさんまで。
今回、私が1番注目したのがここ。大正の時代からワイン造りをしている老舗のサドヤさん。
店頭で試飲をたくさんさせてくれた。『でも、こんな寒い日はこれじゃない?』とおじさん、が後ろから出して来たのは…
ふふふ…ホットワインです!
辛口の赤ワインに砂糖とブランデーを添加して造る酒精強化(フォーティファイド)ワインがオーナーブというらしい。ちょっと甘くてブランデーの香りがするんだね。そのオーナーブを使ったホットワインでした。
甘くて美味しーい!
身体だけじゃなくて、おもわすほっ、心まで和む。(あ、アルコールだからか?笑)
いやいや、寒いときや疲れた時はやはり頭も身体も糖分を欲しがものなのだ。
おじさんはレシピまで教えてくれた。なんと、午後の紅茶を使って作る方法。
『これが一番簡単で美味しいんだよ』
これなら簡単に家でも試せるじゃあないか! オーナーブ買って、早速お料理レシピに仲間入りです。
太陽のマルシェは、月1回の開催(毎月第一土曜&日曜に月島第二児童公園での開催)。
来年くらいにはクリスマス期間だけでももっと毎日、それもツリーやデコレーションやちょっとした友達へのプレゼントなんかも販売してくれるようにならないかなー。
そんな熱望を持って消費家クロシマのマーケットハントは終わったのだった。
恵比寿ガーデンプレイスではクリスマスマルシェが毎日開催中
えーっ、せっかく気持ちは盛り上がったのに!
クリスマスまでにマルシェ行けないじゃん。。。
と言う東京のなでしこの皆さん!
恵比寿ガーデンプレイスでは毎日開催のクリスマスマルシェ中!
コンテンツはすこし違いますが、プレゼントにぴったりな、ちょっとレトロなギフトのお店があったり、大きなツリーと北欧のログハウスでおのずと気持ちも盛り上がる!
ぜひ! クリスマス気分を味わって、そして家での素敵な“きずな”クリスマスをお過ごしくださいね。
【編集後記】
冒頭のパリの思い出は何度か年末のパリを過ごした中で、かなり記憶が入り混じってほとんど妄想に近くなっていますが、今年は悲しいお知らせも。
パリのクリスマスマルシェはテロを警戒してか、今年は開催がぐっと減っているそうです。2018年、テロや戦争の危機のない(いや、少しでも少ない)、静かで平和な一年になりますよう。
皆さま良いお年をお迎えください!
初出:しごとなでしこ