【幸いです】【幸甚(こうじん)です】の違いって?
ビジネスメールでよく見かけるこの二つの言葉。皆様はこの二つを意識して使い分けしていますか?
いずれも
「(相手が)○○してくれたら(自分は)とても嬉しい・助かる・そうしてもらいたい」
「(相手が)○○してくれたことが(自分は)とても嬉しい・幸せだと思っている」
ということを相手に伝える表現です。
【幸甚です】の意味は、漢字のとおり「幸せであることが甚(はなは)だしい」ということ。
甚だしいは普通の度合いを超える、尋常でない程のという意味があります。目上の方やビジネスでの依頼文書などはこちらの表現を用いると「幸いです」より丁寧になります。
ですが先程申し上げたように、〝普通を超える〟幸せの表現なので多用すると文章がしつこくなり、相手が特別に感じられなくなるおそれもあります。用いるときは一か所だけに留めましょう。
【幸いです】は、幸甚ほどかしこまることなく、丁寧に依頼や自分の想いを伝えることができます。「幸いです」の前には、「~していただけましたら幸いです」など、相手に依頼する文章がくることが多いですね。
相手にして欲しいことを伝える時の文末は『です。』の丁寧語で伝えるよりも、「お返事いただけましたら幸いに存じます」など、『思う』の謙譲語『存じます』を付けて伝えると自分をへりくだって相手に伝えることが出来ます。
同じ相手でも正式なビジネスでの依頼文書なのか、会合など親しく会食した後の御礼の文書なのか、など使い分け出来るようになるといいですね。
一文につけ加えるだけで、相手に気配りを感じさせる言葉「ご自愛くださいませ」
なかなか口語表現では使われないかもしれませんが、『ご自愛』とはその言葉のとおり、「(ご自分の)お体を大切になさってくださいね」という意味です。
ビジネスのやり取りが続くなかで、メールの最後の一文に「季節の変わり目ですのでご自愛くださいませ」の一文があったら、相手は仕事の内容だけでなく、自分にも気配りをしてくれていると感じるでしょう。
また、『ご自愛くださいませ。』の前には、
・季節の変わり目ですので
・寒くなってまいりました
・暑くなってまいりました
など季節を感じる表現をいれると、相手に季節感も感じて頂くことが出来ます。
最後に赤名麻由子さんから、今回、編集部にいただいたメールをご紹介します。
今回も最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
何か一つでも皆様のお役に立てる内容がありましたら幸いに存じます。
日々、寒さが増しております。
皆様、くれぐれもご自愛くださいませ。
とても素敵で思いやりが伝わるメールの文章…! 赤名さん、ありがとうございました。
難しい内容、厳しい表現、相手に失礼があってはいけない社会人のメールだからこそ、相手を思いやる表現を一つ入れると、メールもあなたの魅力もグッとアップするはずです♪
取材/サワダユキコ
初出:しごとなでしこ
教えてくださったのは…一般社団法人 日本マナーOJTインストラクター協会認定講師 赤名麻由子さん
東京ガス株式会社に20年勤務 在籍中はガスの科学館、秘書部、総務部、人事部を経験。シニアマナーOJT インストラクター(※)、秘書検定2級、キッズマナーインストラクター、キッズコーチング2級の資格を生かし、現在は企業への接遇研修講師やソーシャルマナー講座、キッズマナー講師として活躍。
(※)一般社団法人日本マナーOJTインストラクター協会認定資格。接客の現場でマナーのインストラクションを行います。