こんにちは、産業医の加藤杏奈です。しごとなでしこの皆さんが、健やかに&しなやかに働けるよう健康相談室を開設しています。
婦人科検診について教えてくれた玲奈先生はドクター兼ボクサー
前回、子宮頸がん検診のお話を伺った、産婦人科医の高橋怜奈先生は、実は、世界で初の女医プロボクサーでもあるんです。
なぜプロボクサーを目指したのか。多忙な毎日の中、どうやって健康やプロポーションを維持しているのか、を伺ったら、みなさんにお役に立てそうなことが色々伺えたので、ご紹介させてください。
産婦人科は、数ある科の中でも特にタフさが要求される科。普段の診療に加えて、夜間のお産や緊急手術もあり、日夜問わず忙しいお仕事。診療や手術が立て込むと、食事の時間も不規則になり、当直のある日は睡眠不足になることもありますが…怜奈先生のお肌はとても綺麗。スタイルも美しくて、女性からしても見惚れちゃいます。
忙しい仕事をこなしながらの健康維持をする秘訣は?
「食事、睡眠はしっかりとること。運動をすること。疲れているときは無理をしないこと。この3つを心がけています。仕事がある日が忙しい分、休日はなるべく予定で埋めないようにして、体と心に余裕を作っています」
Point:睡眠中は成長ホルモンが分泌されます。このホルモンは子供の体や脳の発育に重要ですが、大人にとっても大切な働きをするホルモンです。傷ついた細胞の修復を行ってくれるのでアンチエイジング効果があるんです。睡眠不足によってこのホルモンの分泌が不足すると、お肌の調子に影響してきます。疲労回復だけでなく、美容にも重要なのはこのような理由からです。
美容について気をつけていることは何ですか?
「運動をすること。私にとってはこれが一番ですね。ストレス解消にもなります。ボクシング以外には、ベリーダンスもしていて、7年以上続いてます。美容にいいものは人それぞれなので、情報にふりまわされずに、自分にあったものを選ぶことがポイントかな。
あとは、食事はなるべく自炊しています。そして、シャワー浴ではなく、お風呂にきちんとつかることも意識しています」
Point:運動をすると得られる効果。まず、身体的な効果は、
1) 血行が良くなり、肩こりや冷えが改善する。また疲れにくくなる。
2) 筋肉が増え、骨も丈夫になる。
3) 善玉コレステロールが増え、動脈硬化予防になる。
4) 抵抗力が高まる。など。
精神的な効果は、交感神経が優位な状態になり、またβ―エンドルフィンやドーパミンなど“幸せホルモン”が分泌されて、爽快感や多幸感、高揚感などが得られ、心身ともにいいことだらけです。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」によると、1日+1000歩(約10分)の歩行や、息がはずむ程度の運動を週2回、30分以上行うことを推奨しています。いつもより歩幅を広くして歩く、一駅分歩いてみる、テレビをみながらストレッチや筋トレをするなど、簡単なものでいいんです。運動量を今日から少しずつ増やしてみませんか?
プロボクサーになろうと思った理由は?
「ボクシングの試合を生で観て、かっこいい! と思ったから。内山高志選手にあこがれて、同じジムに入ったんです。最初はフィットネス感覚だったけれど、だんだんはまって。何か目標があった方が頑張れると思い、プロを目指しました。今後、試合の予定はわかりませんが、医師であり、プロボクサーであることで、健康に関するアドバイスをしたり、何か面白いことができたらいいなと思っています。また婦人科検診の重要性を知ってもらうきっかけいになればと思っています」
産婦人科医として、みなさんにメッセージをお願いします
「子宮頸癌は早期発見・早期治療ができる病気です。数分の簡単な検査で終わります。信頼できる産婦人科を見つけて、年に1回は受診をしましょう。また検診だけでなくてもちょっとした生理の悩み、セックスの悩みなど、周りの人に聞きづらい相談も婦人科で気軽に聞いてくださいね」
文/加藤杏奈
初出:しごとなでしこ
高橋怜奈 産婦人科医
2009年 東邦大学医学部卒業。日本産婦人科学会専門医。
怜奈先生は、先日行われたサマースタイルアワードというボディビルの東京大会でファイナリストになりました! 7月23日の全国大会に出場予定です。
加藤杏奈 産業医・労働衛生コンサルタント
産業医科大学医学部医学科卒業。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。専門は産業医学、予防医学、メンタルヘルス。産業衛生専門医。現在、某化粧品メーカーの産業医として勤務している。