Vol.1 「ネット上に悪口を書かれた! 消す方法はある?」
Vol.2 「これってネットストーカーなの?」
vol.3 「許せない! 挙式3か月前に彼氏から婚約破棄された…慰謝料はとれる!?」
vol.4 「貸した100万円返して! フリーターの彼と破局したからお金を返して欲しいんです」
vol.5 「女癖の悪い浮気夫と離婚を決意! どんな手続が必要?」
今回は職場の上司と不倫中の31歳のOLなでしこさんからのご相談です。
相談:奥さんが「私に慰謝料を請求する」と言うのですが、支払わないといけない?
「私は31歳のOLです。職場の上司(40歳。妻との間には10歳の子どもがいる)とかれこれ3年程不倫関係にありましたが、先日ついに奥さんにバレてしまいました。奥さんは激怒していて、私に慰謝料を請求すると言っているそうです。交際中、彼からは、奥さんとは喧嘩ばかりだと聞かされていましたが、実際には夫婦関係は円満だったようです。私は本当に慰謝料を支払わないといけないんでしょうか?もし請求された場合、金額はどれくらいなんですか?」
不倫の慰謝料請求
ドラマ『あなたのことはそれほど』で描かれているカジュアル不倫が最近話題ですが、現実の不倫の代償は重いもの。あなたが既婚男性と肉体関係を持った場合、その男性の奥さんはあなたに慰謝料を請求することができます。
例外として、不倫が始まる前から夫婦関係がすでに破綻していた場合には、慰謝料請求が認められないこともあります。もっとも、今回の場合、彼は相談者には奥さんとはあまり上手くいっていないと話していたものの、実際のところ夫婦関係が破綻していた事情はないようなので、奥さんの請求が認められる可能性が高いでしょう。
不倫相手の気を引くために、奥さんとはうまくいっていないなどと嘘をつく男性は多いようです。
慰謝料っていくらくらい?
ケースによって事情が異なるので、認められる金額には幅がありますが、200~300万円程度の場合が多いようです。慰謝料の金額を決定する際に考慮される要素としては…
・婚姻関係が今回の不倫と関係なくすでに破綻していたかどうか
・婚姻期間の長短 ・夫婦生活の状況 ・不倫関係が続いていた期間の長短
・不倫の態様
・不倫関係にあった男女のうちどちらが主導的な役割を果たしたのか
・夫婦の間に未成年の子どもがいるか否か
・訴訟中の態度
などが挙げられます。
今回の相談者の場合、夫婦関係が円満であったこと、夫婦の間に10歳の子どもがいること等は、相談者の方の不利な事情として扱われることになります。
慰謝料請求の流れ
奥さんが弁護士に相談した場合、慰謝料請求の一般的な流れとしては以下のとおりです。
慰謝料を支払うよう記載された内容証明郵便が送られてくる
▼
弁護士と交渉をして、慰謝料の支払いに応じるのであれば、示談成立
▼
支払いに応じないのであれば、訴訟を起こされる可能性あり
もし相手が既婚者であることを知らなかったら?
落ち度なく、男性が既婚者であることを知らずに付き合っていた場合や、既婚であることを知ってすぐに不倫関係を解消したという場合には、故意・過失がないとして、慰謝料の請求は認められません。
もっとも、今回の相談者の場合、彼が既婚者であると分かって付き合っていたので、慰謝料請求されることには変わりありません。
慰謝料請求の時効
なお、不倫の慰謝料請求をする権利は、奥さんが、
1:不倫の事実を知ってから3年間
2:不貞行為の時から20年間
を経過することで、時効により消滅します。
逆に言えば、時効が成立するまでの間は、慰謝料請求をされる可能性があります。
以前不倫をしていたけど、もうキレイさっぱり関係を解消したから大丈夫!と思っている人でも、この期間中であれば、慰謝料請求される可能性があるのでご注意を。
初出:しごとなでしこ
弁護士なでしこ
有名大学ロースクールを修了後、司法試験に合格。
都内法律事務所で働くアラサー弁護士女子。
業務分野は企業法務から一般民事まで幅広い。
趣味は旅行。今は『東京タラレバ娘』にハマり中。