4月に新入社員を迎えて、あっという間に5月になろうとしています。自分の仕事に加えて、新入社員への指導、教育をしていると時間も労力も倍かかりますよね。「こんなこともわからないの?」とイライラしてしまったり、一生懸命教えても思うように動いてくれずに疲れてしまったりしていませんか? そんな中、新入社員が「もう辞めたい」なんて言ってきたらかなりショックですよね。今回は新入社員がスピード退職しない上司と部下のコミュニケーションのポイントをお伝えします。
新入社員へのコミュニケーションポイントその1
自己開示で相手の不安を取り除き、安心・安全・ポジティブな場づくりを!
例えばあなたが新しく習い事を始めるとき、既にできている輪の中にひとりで飛び込むのは、とても勇気が入りますよね。「既に学んでいる人たちと馴染めるのだろうか?」、「雰囲気は自分に合っているだろうか?」、「初心者の私でもできるだろうか?」など、始める前はいろんな不安があるはずです。
新入社員はまさにそんな心理状態。覚えることがどんどん増えて不安を感じたり、人間関係にも気を遣ったりと緊張が続きます。仕事ができる先輩社員を見て、ますます焦っているかもしれませんね。
このとき、自分が新入社員だった頃の気持ちや失敗談を話して、どんな風に乗り越えてきたのかを話してみましょう。信頼関係を築くコミュニケーションとして「自己開示」というのががあります。自分のプライベートな情報を相手に伝えることで、相手が心を開きやすくなり同じように話をしてくれ、親密度がアップします。
「仕事がバリバリできる先輩社員にも、そんな時代があったんだ」「私も頑張れば今の先輩社員のようになれるかも」と、未来のイメージを持たせてあげると彼らの不安が減ります。緊張状態が続くと、本来の力は発揮しにくいので、安心・安全・ポジティブな場づくりが必要です。
新入社員へのコミュニケーションポイントその2
「褒める、直す、褒める」の3点セットが大切
自分にとっては当たり前のことでも、新入社員にとっては当たり前ではないことはたくさんあります。「こんなこともできないの?」と言うのは、ちょっと待ってください。注意ばかりされていると、誰だって萎縮してしまいますよ。
新入社員を指導する際には、まずできたことを褒めることから始めてみましょう。「慣れてきたね」とか「頑張っているね」などと認めることでもOKです。いきなり注意や指摘から入るより受け入れられやすくなります。注意された瞬間は、自分のために言ってくれているとわかっていても、人間はムッとしてしまうものです。
問題点を注意したら、改善案もセットで指導します。自分で気がつくように考えてもらうとより効果的です。そして、できなかったことができるようになったら必ず褒めましょう。認めてもらえた嬉しさと、できるようになったことが自信となって、伸び伸びと力を発揮し始めます。指導の際は「褒める、直す、褒める」の3点セットが大切と覚えておいてくださいね。
新入社員へのコミュニケーションポイントその3
相談しやすい上司になる
新人教育をしながら自分の仕事を進めていくとき、やってしまいがちな「話しかけるなオーラ」。忙しいときに相手の顔を見ずに適当な返事をしたり、溜息ついたり、大きな物音を立ててイライラを出してみたり…。
これでは新入社員は相談どころかあなたに寄りつかなくなってしまいます。人の話を聞くときは、相手の方を見るのが基本です。相手を見ないという行為は、「相手の存在を認めていない」というように映ります。
また、溜息が多いと「今話しかけると迷惑かな…」という思いを新入社員に抱かせてしまいます。ただ疲れていたので出てしまう溜息でさえ周囲への影響を考えましょう。イライラを態度で出してしまうのも相手に過剰に気を遣わせてしまう原因となります。どうでしょうか? この機会に自分の態度についても振り返ってみましょう。
以上、3つのコミュニケーションのポイントをお伝えしました。
人は何かしてもらったとき、相手にお返ししたくなる返報性の法則というものがあります。
上司が部下に対して心を開けば、部下も上司に対して心を開きます。上司が部下のいいところを見つければ、部下も上司のいいところを探し始めます。逆に、いつもけなしてばかりいると、相手だって欠点ばかり見つけてしまいます。全てはまず自分から与えること。見返りを求めずに相手のために動いていけば、お互いに支え合い、素晴らしい人間関係が築けます。
初出:しごとなでしこ
古岡めぐみ 現役ホテルマン・マナー講師
沖縄「カヌチャベイリゾート」や、大阪「大阪マルビル大阪第一ホテル」など、名だたるホテルでの勤務経験をもつ現役ホテルマン。お客様からの多くの支持を集め、また後輩育成にも力を注いできたことを認められ、過去に社内表彰されること多数。
現在は富山県内のホテルフロントスタッフとして勤務しながら、これまでの自身の経験をもとに接客マナーやホスピタリティなどのセミナー講師としても活動している。