仕事もプライベートも頑張るしごとなでしこ女子が、不安に思っていることを解消するお手伝いがしたい!
しごとなでしこ女子が毎日をさらに充実させられるよう、ちょっとした法律知識をお伝えしたい!
現役のアラサー弁護士なでしこが解説する、今知っておきたい法律問題や相談内容にお答えする連載がいよいよスタートです!
相談1「ネット上に悪口を書かれた! 消す方法はないの?」
「私はブログが趣味のOLです。ブログでは、私のメイク方法を紹介したり、話題の美味しいお店を紹介する記事を載せていました。私のブログは結構人気で、読者の数も順調に増えてきていました。
…それなのに、最近ネット上で、“ブログの記事の内容が嘘ばっかり”とか、
“ブスのくせに調子に乗ってる”とか、“男グセが悪い”とか、
いろいろとひどいことを書かれてしまって、とてもショックを受けました。
ネットに書かれたことを削除してもらう方法ってないんでしょうか?」
まずは情報の削除請求を!
すぐに情報が出回ってしまうインターネット。そんなところで悪口を書かれたら困ってしまいますよね。
「でも、誰に対して連絡したらよいのかわからない…」という人は多いはず。
ネット上で自分を中傷する内容の情報が記載された場合、その情報の削除を請求する相手としては、以下が考えられます。
1.情報を記載した本人
ブログなどであれば、実際に記事を書いた管理人のメールアドレス等の連絡先が記載されている場合があります。このような場合、その連絡先に直接メールを送信するなどして、削除を請求することが考えられます。
ただし、削除請求に対する相手の対応は本当にそれぞれ。連絡を受けた時点ですぐ削除に応じてくれる人もいれば、無視される場合や、こちらが送信したメールの内容を、ネット上で公開されることもあり得ます。
2.サービスを提供する会社やサーバ会社
誰が自分を中傷する情報を記載したのかわからない場合、記載されたページが含まれるサービスを運営する会社(たとえば、ブログのサービスを提供する会社や、まとめサイトを運営する会社等)やサーバ会社に対して、その情報の削除を請求したり、その情報を記載した人が誰か開示請求するという方法があります。
なお、サービスを運営する会社やサーバ会社がどこなのかわからない場合、サイトのURLのドメイン(※)を確認して「Who is」というサービスを利用し、ドメインの登録者が誰なのかを調べるという方法があります。「Who is」は最近よく利用されているので、使ったことがある方もいるのではないでしょうか。
※ドメインとは、http://www.〇〇〇.comの「〇〇〇.com」の部分
まず第一歩としては、上記1、2のいずれかの相手に削除請求をまずしてみること。
ただし、この請求には、相手に削除を強制する力はなく、結果はあくまでも相手が削除に応じてくれるかどうか次第です。
では、削除請求に応じてくれなかったら?
裁判所に判断を求めたらどうなるのでしょうか?
実はこの件について、つい最近、2017年の1月31日に最高裁判所が初めて判断基準を示しました。
インターネットの検索サイトに、自身の過去の犯罪歴が表示される人が、検索サイトに対し、当該情報の削除を求めた事案において、最高裁は、表示される側のプライバシー権の保護と、検索サイトの表現の自由を比較し、その事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、削除が認められるとの基準を示した上、この事案では、検索結果の削除を認めない決定をしました。
最高裁がこのような判断基準を示したことにより、犯罪報道についての削除は今後認められにくくなるのではないかとの見方が強いです。
もっとも、今回のしごとなでしこ女子さんの相談のような、犯罪報道とは異なる、単なる誹謗中傷などは、公益性がなく、そのような記載をする意義が乏しいため、この限りではありません。
気軽に弁護士に相談を!
裁判外の請求であっても、自分自身で請求するのと、弁護士の名前で請求するのとでは、相手に与えるインパクトがやはり異なります。
ここ数年、ネット上の情報を削除したいとの依頼は非常に多くなっているので、このような事件を扱う弁護士も増えてきています。お困りの方は、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
初出:しごとなでしこ
弁護士なでしこ
有名大学ロースクールを修了後、司法試験に合格。
都内法律事務所で働くアラサー弁護士女子。
業務分野は企業法務から一般民事まで幅広い。
趣味は旅行。今は『東京タラレバ娘』にハマり中。