捨てたいけれど、そもそも何が必要なのかが選べない、わからない…
断捨離を前に立ちすくむOggi世代に、ベストセラー『服を買うなら、捨てなさい』の著者・地曳いく子さんが喝!
スタイリスト 地曳(渡辺)いく子さん
『Oggi』をはじめ『FRaU』『éclat』など数多くのファッション誌でキャリア30年超を誇る人気スタイリスト。女優のスタイリングや、テレビ番組でのコメンテーターなども務め、多方面から引っ張りだこ。最新の著書『服を買うなら、捨てなさい』(宝島社)がヒット中。
『服を買うなら、捨てなさい』(宝島社)理想のワードローブをつくることに向けてのわかりやすい「捨てる」指南で、大ベストセラーに! 定価:本体1,200円(税抜き)
新刊『着かた 生きかた』も必読です!
服を捨てるということ
「捨てる」ということに罪悪感をもつ人も多いと思います。中には「売りたい!」と思う人もいるでしょう。もちろんその行為自体は否定しません。が、売るときに送料を払わなければならなかったり、手間がかかったりする場合、それに見合うだけの満足感があればよいですが、ないなら思いきって捨てることも大事。その浮いた送料分で募金したり、ちょっといいリップクリームやバスソルトなどを買ったり、、空いた時間を趣味に費やしたりすれば、気持ちもずっと満たされると思います。
なぜ捨てることになったのか? それは単純に、買ったから。「買う」という行為には、必ずいつか「捨てる」という行為がついてきます。だから、捨てることにあまり罪悪感はもたないでほしいのです。あまり着なかった服は、お勉強代と思ってごめんなさいの気持ちでごみ袋へ。たくさん着てボロボロになった服は、ありがとうの気持ちでごみ袋へ。いらない服を捨てて好きなもの、似合うものだけを残しましょう。見やすくすっきり整理されたクローゼットは見ていて気持ちのいいものです。似合う服しか着ていない毎日はずっと気分がいいはずです。何かを手放さないと得られるものはありません!
お買い物の仕方からまずは注意
買うときにまずは気をつけたいのは、本当に必要なものなのか、一度冷静にジャッジするということ。また、「手ぶらで帰る勇気」も大事! 今持っているものよりいいものがあれば、それは買い替えのタイミング。前のものは捨てて、新しく買い替えたいいもので、気分よくお出かけしましょう。
Facebookの友達リストを思い浮かべてみてください。「これだれだっけ?」という人はいませんか? 服も同じ。「こんな服買ったっけ?」という謎の服はありませんか? そんな服は今すぐ捨てましょう。
ひとつ買ったらひとつ捨てる、が理想ですが、なかなかそうもいかないのが現実。日本は海外より服が買いやすい環境。遅くまでお店もやっているし、気軽にショッピングができます。でもそれが、服が増える原因のひとつだと思います。また、服のプライスも2極化している最近。ファストファッションをどんどん買うのもいいですが、そのツケはあとでやってきますよ。だって捨てなきゃいけなくなるから! 若いころはスタイルもいいし着こなせていたファストファッション。もちろん全否定はしませんがOggi世代はむやみやたらに買うのではなく、もう少し考えて買いたいところですよね。私にとってファストファッションは、ハンバーガーと同じ感覚。その場を満たせればいいものだと思っています。賞味期限はワンシーズン。今季のはやりのアイテムはファストファッションを活用してOK。ですが、シーズンが終わったらその服は潔く捨てて、次のシーズンは次のシーズンのトレンド服を買いましょう。
働くアラサー世代に向けて―
20代後半〜30代は、これから人生の変化をたくさん迎える大事な時期。今「服を捨てる」ということを習慣づけておかないと、10年、15年後、大変なことに。部屋が服で溢れかえるし、物もどんどん捨てづらくなるでしょう。家族も増えて、片付けどころじゃなくなるかもしれません。だからOggi世代の皆さんには、今から「服を捨てる」ということをクセづけておいてほしいんです。「買う前に捨てる」を忘れずに。
また、「毎日違うイメージの着こなしで」と考えるのもそろそろやめてもいいと思います。バリエ恐怖症のようになっていませんか? 私は服の組み合わせって変えなくていい、と思っています。似合っているコーディネートはどんどん着てOK! 自分の得意分野を見極めるのも、30代から考えたいことのひとつ。何が似合うのか? 20代のころと似合うものも変わってきていませんか? 今のあなたに似合うもの=好きなもの。それがあなたの〝スタイル〟です。そのスタイルを極めればいいのです。流行に左右されない着こなしをしている人って、とっても素敵だと思いませんか?
「捨てる」名言がたくさん!
服は男と同じ
「昔好きだったけど、今はもう気分じゃない…。そんな〝元カレ服〟はいりません! 電話帳を整理するように、服も整理しましょう」
迷ったら鏡の前でファッションショー!
「一日時間をとって、鏡の前でファッションショーをしてみましょう。新聞紙を敷いて、普段よく履いている靴とのバランスもちゃんとチェック。似合わない服がきっと出てくるはず。それこそ捨てるべき服です」
かわいいけど痛い靴は、だめんずと一緒!
「痛くて苦痛な靴。でも見た目はかわいい。2時間履いていられますか? 大丈夫ならあとで履き替えること前提で残してもOK。でも、ちょっとの時間でも痛いなら…。もう捨ててしまいましょう」
年数より回数
「何年持っているか、ではなく、何回着たか、が重要です。シーズンにたった2回しか着ないプリプラ服。週に3回以上着るカシミアの高級ニット。選ぶなら後者です。さんざん着倒してボロボロになったら、それはそれできっとそのアイテムも本望!」
捨てるのはかわいそう…。そんなぶりっ子はナンセンス(笑)
「売れるかも、と思った服、山積みになっていませんか? それがなくなればお部屋がキレイになって心もスッキリして、もっと趣味のものに費やしたりできますよね? 買ったのはあなた。それを捨てるのもあなたです」
実は着ていない服、思いきって捨てて!
「気づいたら月に1回も着ていない服、眠っていませんか? クローゼットの場所を取るだけのそんな服はいりません!」
〝たられば〟はやめましょう!
「やせたら、流行がまた来たら、カレ氏ができたら…。そんな〝たられば〟条件の服はいりません。今のあなたに似合う服だけあればいいのです」
スタメン服だけあればいい!
「プロ野球のオールスターと一緒。選抜されたいい服だけあれば、素敵なコーディネートはできます。目安は「今週2回以上着たい服」。それが残すべきスタメン服です」
2016年Oggi2月号『30歳のワードローブ、「捨て方」「残し方」』より。
【本誌掲載時スタッフ イラスト/村澤綾香 構成/佐々木陽子】
初出:しごとなでしこ