職場のコミュニケーションで最も困るのは、「言いたいけど言えない」ニオイの話題。職場を退職する理由のひとつとしてスメハラもあがるようになり、社会問題として大きく取り上げられるようになってきました。スメハラとは、スメルハラスメントの略で、ニオイが原因で周囲を不快にさせることです。
「言うと相手を傷つけてしまうのではないか?」とデリケートな問題だからこそ、我慢し続ける人も多い現状。まずは、自分が知らずに加害者になっていないかチェックしてみましょう。
いい香りも過剰になれば不快なニオイに
冬になるとたくさんの種類が店頭に並ぶハンドクリームやボディクリーム。保湿成分はもちろんのこと、香りも楽しみたくて、どれを選ぼうか迷う女性も多いはず。ふたを開けて香りを確かめては閉めて、また開けて閉めて・・・と繰り返しながら、自分好みの香りを選んでいきますよね。その中には、好きな香りもあれば、ウッとなる苦手な香りもあって、その感覚は人それぞれ違います。
好きな香りに包まれているとリラックスできたり、幸せな気分になったりするので、一人で楽しむ分にはどれだけ身にまとっても構いません。でも、オフィスなどで複数の人と関わる際は、注意が必要ですね。自分が好きな香りでも、誰かにとっては苦手なニオイの場合もあります。特に空気の入れ替えが難しい密室の場合は、気分が悪くなったり頭痛になったりする人もいるので、香りの気遣いも忘れずに。ハンドクリームやボディクリーム、香水、柔軟剤などはフワッと香る程度が女性らしくていいですね。過剰につけてしまうと、こういった香りだってスメハラになる可能性大です。
気になるタバコのニオイ
今では分煙オフィスが主流となり、喫煙者は採用しないという企業まで出てきました。ニオイ云々ではなく、作業効率や職場環境、健康という観点から禁煙になっているようですが、お客様と接する仕事であれば、ビジネスマナーとしても整えていきたいところですよね。特に喫煙後の口臭や衣服についたニオイは、意外と残ります。マウスウォッシュで口臭予防をしたり、消臭スプレーを衣服にシュッと一吹きしたりとエチケットとして行っているビジネスマンも増えました。
タバコの煙やニオイが苦痛な人もいます。でも、喫煙者に改まって「タバコやめてほしい」とはなかなか言えないもの。上司や取引先ならなおさらですよね。同じ空間でお互い気持ちよく過ごすなら、一言「タバコいいですか?」と声を掛けるとか、煙が相手の顔の前に行かないようにするといった配慮をしましょう。というと、喫煙者ばかりが我慢しているように感じるかもしれませんね。でも、喫煙者も非喫煙者も多少は我慢している部分あるので、お互い様なのです。
冬の蒸れた足のニオイに注意
女性は体臭や口臭といったエチケットに対する意識は高いですが、冬に気を付けたいのが足のニオイ。宴会で座敷に通されたときに「しまった…」と冷や汗をかいた経験もあるのではないでしょうか。(そうだとしても、うんとは言えませんね。笑)女性はストッキングを履くので足が蒸れやすい上に、ブーツを履くとニオイがこもりやすくなります。絶対に指摘されたくないニオイだからこそ、靴を1日置きに履き替えたり、普段からフットケアをこまめにしたりして、清潔な足を保ちましょう。
以上、ニオイのマナーについてお伝えしました。もしかして私、知らないうちに加害者になっていたかも?と思われたなら、気をつければすぐに改善できることばかりです。デリケートな問題で指摘しにくいことだからこそ、自己管理していくことが大切です。
そして気遣いも香りもさりげなく。過剰な気遣いは相手に気を遣わせてしまうので逆効果ですし、過剰な香りは不快なニオイになります。相手に気づかれるか気づかれないかくらいのさりげなさがちょうどいいのです。
初出:しごとなでしこ
古岡めぐみ 現役ホテルマン・マナー講師
沖縄「カヌチャベイリゾート」や、大阪「大阪マルビル大阪第一ホテル」など、名だたるホテルでの勤務経験をもつ現役ホテルマン。お客様からの多くの支持を集め、また後輩育成にも力を注いできたことを認められ、過去に社内表彰されること多数。
現在は富山県内のホテルフロントスタッフとして勤務しながら、これまでの自身の経験をもとに接客マナーやホスピタリティなどのセミナー講師としても活動している。