10月は「乳がん月間」です。検診はもう受けましたか?
乳がんは日本人女性の約11人に1人がかかると言われています。しかし、乳がんは、早期発見・早期治療をすれば治癒率が高いがんでもあるんです。ですので定期的な検診を心がけたいですね。その乳がん検診の早期発見に欠かせないのがマンモグラフィ検診です。マンモグラフィとは、乳房のX線撮影のこと。乳がんの初期症状のひとつである石灰化や腫瘍などを発見することができます。ごく小さな石のような石灰化も鮮明に写し出せるのが特徴です。私の知り合いでもこのマンモグラフィで石灰化を発見して、今でも元気に生活をしている人がたくさんいます。世界的にもエビデンス(信頼性)の高いマンモグラフィ検診ですが、この間、このような新聞記事を発見してしまいました。「高濃度乳房」。乳腺濃度によっては、しこりが見つかりにくい乳房があるみたい。えぇぇぇぇぇ、もし自分が「高濃度乳房」だったら、せっかくマンモグラフィを受けても、乳がんは見つからないの? 心配になってしまった担当M、医療ジャーナリストで、自らも乳がんのサバイバー(経験者)である増田美加さんにお話を伺ってきました。
マンモグラフィに向いていない乳房がある!
「『高濃度乳房』とは、乳腺が乳房内にどれだけ存在するか、その割合のことです。密度の高い乳房では脂肪組織が少なく、より多くの繊維や結合組織からなりたっていて、マンモグラフィでは白く見えます。がんも白く写るので、乳腺濃度が高いと隠れてしまうことがあるのです。この乳腺濃度が高い『高濃度乳房』は、『デンスブレスト』と言われ、実は、私たち日本人を含むアジア人に多い乳房です」(増田さん)。
「高濃度乳房(デンスブレスト)」は、マンモグラフィでは見つけにくい
※画像提供/NPO法人乳がん画像診断ネットワーク
「上の画像はマンモグラフィで撮影した乳房の写真です。右のふたつは乳腺濃度が高い『高濃度乳腺』もしくは『不均一高濃度乳腺』と言われる人の『高濃度乳房(デンスブレスト)』。乳房全体が乳腺で覆われて真っ白ではありませんか? 先ほども言ったように、乳がんも白く写ります。ということは、ここから乳がんを見つけ出すのはプロでも難しいですよね。アメリカでは、マンモグラフィ検診で乳腺濃度が高いことがわかった場合、本人に知らせることを法律で義務づける動きが広がっています。では日本はどうでしょう? 答えはほとんどが『No』です。例え乳腺濃度が高いためにマンモグラフィに向いていない乳房だったとしても、そのことを本人に知らせている施設はほとんどありません。ということは、検診に行って乳がんではないと診断されても、それが本当に『異常なし』だったのか、乳腺濃度が高くて『見えなかった』のか、私たちにはわからないのです。検診結果が送られてきて、異常の有無しか書いていない場合は、一度、医師から直接結果を受けられるような施設で検診を受けて、自分の乳腺濃度の状態を尋ねてみると安心です。その際、ぜひマンモグラフィで撮影した自分の乳房の画像を見せてもらってください。もしマンモグラフィで『高濃度乳腺』か『不均一高濃度乳腺』と言われたら、デンスブレストですので、超音波検査(エコー検査)も併せて受けることをおすすめします」(増田さん)。
増田さんは、『高濃度乳腺』によって発見できない乳がんがあることを私たち自身も知るべきと考えて「自分の乳腺濃度を知ろう!」という運動を進めています。また増田さんが副理事を務める「NPO法人乳がん画像ネットワーク」では、医師側からも乳腺濃度をきちんと患者に知らせる重要性を訴える活動を行っています。検診はもちろん大切。だけど、今後はただ検診を受けるのではなく、自分のリスクファクターを知ることも重要です。自分の乳房の状態がわかれば、それに応じた検診を組み合わせて受けることもできますものね。
▶A-Beauty(高濃度乳腺に関する詳しい記事はこちら)
▶増田美加公式ホームページ
▶NPO法人乳がん画像ネットワーク
取材/若松真季 Instagram@maki_wakamatsu_neroli
初出:しごとなでしこ