ひと昔前は、ザ・キャリア女性というと、外見に無頓着な人が多いイメージが根強かったでしょう。でも、今はどうでしょう?
米国YAHOO!の最高経営責任者のマリッサー・メイヤー氏など、責任ある立場になればなるほど、キャリア女性には美人が多いなぁと感じます。今回は、美人ほど年収は高いは本当かを、過去の研究を交えて考えていきます。
このヒントになるのが、経済学の手法を用い、美貌効果を研究しているテキサス大学で教鞭も取るダニエル・S・ハマーメッシュ博士です。驚くことに、様々な実験からその地域、国によって一貫した美しさの尺度の存在可能性を報告しています。美しさって主観だけじゃないようですね…。
1970年代の米国で、美しさという要素も含んだ大規模調査データが存在します。このデータに基づいて美しさと年収の関係をみてみましょう。年収に影響するのは、学歴、健康、年齢、地域、勤続年数……いろいろな要素があります。そこで、統計的方法で、こうした要素を取り除いても、美しさと年収には関係が見られるかを分析してみました。
美しさを4段階に分けた場合、最上位の女性は、平均よりも年収が8%も(!)高いという結果が。もちろん、「美しいから年収が高いのか」「年収が高いから美しいのか」という因果の方向は、この結果だけではわかりません。しかし、見た目と稼ぐ力には何か関係がありそうです。
では、年齢とともにこの傾向はどうなるのでしょうか?
女性の場合、年齢を重ねると、見た目と年収の関係は統計的に薄まる傾向が見られました。しかしこれを職業別にみてみると、意外な結果が……。
弁護士、医師、CEO…といったプロフェッショナル職業に就くキャリア女性だけに限って分析をすると、年齢を経ても、美しさと年収の関係が強いという傾向を示していたのです。
この結果の解釈は、難しいです。でも、ひとつ言えるのは、彼女たちのようなキャリア女性は、常にさまざまな人に見られる環境にいるということです。美しさにも、さらには年収にも緊張感というエッセンスは、非常に重要なようですね!
初出:しごとなでしこ
マクロエコノミスト/エイボン・プロダクツ社外取締役 崔真淑(さい ますみ)
Good News and Companies代表。
化粧品会社エイボン・プロダクツ社外取締役。
昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。
三重県出身。2008年神戸大学経済学部卒業、専攻は計量経済学。2016年に一橋大学大学院(ICS)にてMBA in Financeを取得。女性の経済環境やコーポレートガバナンスの研究を行う。20歳から企業分析、トレーディングを始める。2008年大和証券SMBC金融証券研究所(現:大和証券)に株式アナリストとして活動。
債券トレーダーも経験後、日本の経済リテラシー向上に貢献したいと2012年に独立。