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2018.11.15

【ヤマザキマリ】インタビュー|先が読めない今の時代だからこそ、教養が必要なんです

人間力が上がる!作品を生み出し続けている漫画家・ヤマグチマリさん。教養を深めたい働く女性に、ネットの情報だけでは得られない教養について伺いました。

多様な価値観を描く物語が想像力を育ててくれるマンガ。教養を高めたい、働く女性必読の、漫画家・ヤマザキマリさんへのインタビュー。

【ヤマザキマリ】さんインタビュー

ヤマザキマリさん

先が読めない時代でも教養は不安を静める免疫力に

「知識と教養こそが『最後の砦』」とは、ヤマザキマリさんのマンガ「プリニウス」に登場する言葉。紆余曲折に満ちた古代ローマ史を通じて人間の生き方を問う、まさに教養本。10代のころからイタリアへ渡り、現地で美術史や哲学を学び思考し続けてきたヤマザキさんならではの視点が光る。

「本筋は、ひとりの知識人が教養を深めていく話。でも彼が生きた皇帝ネロの時代は、厳格なヒエラルキーがあって、暗殺が横行するドロドロした世界。いざ描き始めると、ネロは研究者も多くてこれはいいかげんなことは描けないなと。文献を調べるほど、みんなが抱いている暴君・ネロのイメージと違うんです。政治的な統制力より文化で人間を動かしたかったし、できると信じていた。それはおかしなことではなく、現代の私たちも国会の答弁より、本や音楽にずっと心を動かされますよね。同じことをいち早く考えていたなら優秀だったのかもしれないし、母親の影響で精神が不安定だった繊細さを元老院に利用されていた可能性もある。史実に残っている部分は反映しつつ、面白おかしく読みながら教養としての古代ローマが読者の方に入っていくといいなと思って描いています」(ヤマザキマリさん)

ジャンルを問わず数々の本を読んできた中でも、手塚治虫さんや藤子不二雄さんなどのマンガはくり返し読み直すそう。

「時代を超えて世界中の人に訴える力がありますよね。本やマンガを読むことは、さまざまな人間像を見ることでもある。しかも簡潔に伝えてくれて、人に興味をもてるようになる。そうすると、イヤな人がいてもつきあっていけるし、動揺せずに対処していけます。特に1000年の古代ローマ史を見ていると、人間が社会をつくりあげる過程で何をして、何を失い、どんなふうになっていくのかひと通りやってしまっている。トランプ大統領の登場にも驚きません(笑)」

過去と未来を見据え、今、ヤマザキさんが感じているのは、情報や知識の源としてネットに頼りすぎてしまうことへの危機感。

「私のウィキペディアもなんだこれ? っていう変な情報が書かれています(笑)。疑う力というのは好奇心の原動力。『これ本当?』と考えることが、行動するきっかけになる。時代や国、立場など実体験できないことに関しては、本は脳にとって唯一の経験値。いろいろな人の考えや言葉をインプットして熟成し、層を重ねることで、経験豊かな生きていく力のある脳みそになれると思うんですね。教養が身につくと、不安を静めていく免疫力が高まっていく。『自分という辞典』に言葉を増やしていくと、頼れる自分になれます」

ヤマザキマリさんオススメ!
人間力が上がるマンガ2冊

「るきさん」

筑著者:高野文子
摩書房 ¥1,600

るきさん

「雑誌『Hanako』でバブル時代に連載されていた作品。主人公は飄々と生きているひとり暮らしの推定30代女性・るきさん。カバンの中に単行本を入れておくと、このキャラがそばにいるというだけで温かい気持ちになれます。高野文子さんはカラートーンの配色がおしゃれ。セリフで多くを語らないのですぐに読めて、忙しいOggi読者の方におすすめです」

「21エモン」

著者:藤子・F・不二雄
小学館 ¥429(1巻)

21エモン

「舞台は2018年トウキョウ、宇宙中から人が泊まりにくるホテル。短いエピソードの中に、常識も価値観も違う人たちとどう共存していくべきか全部描いてあるんです。子供用のマンガだから読まなくていいやというのはもったいない! 読直すと、モヤモヤしていた思考の核がキュッとまとまって見えてきます。ベッド脇に置いて、寝る前に読む名作」

編集部オススメ!
ヤマザキさんの作品

「プリニウス」

新潮社 ¥660(1巻)※とり・みきさんとの合作

プリニウス

物語の主役は、世界史上最も著名な博物学者にして、ローマ艦隊の司令長官。愛すべき変人、プリニウス――。噴火や雷、動植物の生態など、森羅万象を観察しながら、古代ローマ中を旅する。2000年前の世界でどんなドラマがあったのか? 実在した皇帝ネロは本当に「暴君」だったのか? 史実を軸に、想像力かきたてられる歴史伝奇ロマン

「オリンピア・キュクロス」

集英社 ¥600(1巻)

オリンピア・キュクロス

ヤマザキさんの最新作。古代ギリシャの青年デメトリオスは、壺絵師見習いの「草食系オタク」。ある日村の争いに巻き込まれ、思い悩むうち、なぜか「1964年のオリンピックに沸く東京」に漂着…!? 2年後、2020年東京オリンピックを迎える前に、時空を超えた比較文化コメディで振り返りつつ、古代ギリシャで生まれたオリンピックの起源を学べる。

Oggi10月号「人間力が上がる! 30歳の『教養本』39冊」より
撮影/石田祥平 イラスト/北沢バンビ デザイン/mambo西岡・須賀祐二郎(ma-hgra) 撮影協力/羽田 エクセルホテル東急 構成/佐藤久美子
再構成/Oggi.jp編集部

ヤマザキマリ

1967年生まれ。17歳でイタリアに渡り美術史と油絵を学ぶ。’97年、漫画家デビュー。『テルマエ・ロマエ』(エンターブレイン)が累計900万部を超え、手塚治虫文化賞短編賞受賞。現在はイタリア在住で、日本と行き来しながら連載を続ける。


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