予想をはるかに上回る数と内容のエピソードが寄せられたOggi読者のセクハラ体験談。今どきのセクハラのリアルとともに社労士と弁護士による実践的なアドバイスも紹介します。
「飲み会帰りのタクシーでキスされたけど、翌朝なかったことに」
37歳・会社員の体験談
課の飲み会の後、既婚の上司と「帰る方向が一緒だから」とタクシーに同乗することになったんです。上司は結構酔っぱらっていて眠ってしまったのか、肩にもたれかかってきたりそれを押し戻したり。攻防が続いてイヤだったんですが、ちょっと油断した瞬間に肩をぐっと引き寄せられて強引にキスされてしまいました。「何するんですか!」と上司を殴ってタクシーを降り、逃げて帰りましたが、怒りは収まりません。
翌朝会社で顔を合わせたときに詰め寄りました。そうしたら上司はなんと、「そんなことあった? 全然覚えてないんだけど」と答えたんです。せめて謝ってくれたらまだ気持ちが収まったかもしれないのに、お酒のせいにしてなかったことにしようだなんて、あまりにも卑怯じゃないですか? 私はその怒りをどこに向けたらよいのかわからずモヤモヤするしかありませんでした。でもその上司が先日、僻地に異動。どうやら、ほかの女性にも同じようなことをしていて、それが会社にバレたようです。ざまーみろ!
プロのセクハラ判定&アドバイス
フェリタス社会保険労務士法人
特定社会保険労務士
石川弘子さん
「まず、自衛策としてふたりきりではタクシーに乗らないこと。特にお酒が入ると人が変わってしまう人もいるので要注意です」
1973年生まれ。さまざまな企業の労務相談を受けるほか、セクハラ・パワハラ防止コンサルタントとして、企業向けの研修なども行う。著書に『あなたの隣のモンスター社員』(文春新書)。
アディーレ法律事務所 弁護士
岩沙好幸さん
「明らかにセクハラですが、相手にとぼけられると証拠がなくて訴えるのが難しい例。タクシーが特定できれば車載カメラをたどることもできるので、降りてすぐ車のナンバーをスマホで撮って、いざというときに備えて」
1981年生まれ。セクハラ・パワハラなど労働問題を主に扱う。コメンテーターとして各種メディアでも活躍。著書に『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマ・ドット・コム)。
Oggi9月号「セクハラって結局何?」より
画像/Shutterstock 取材・文/井上佐保子(田中さん分) 構成/酒井亜希子・佐々木 恵・赤木さと子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部