Q.オフィスも電車も冷房が強すぎると、だるくなるのはなぜですか?
こんにちは。産業医の加藤杏奈です。今日は夏に相談されることが多い、冷房対策についてお答えします。
A.外と室内の温度差の大きい夏の生活によって、自律神経が乱れてしまっている状態。冷えた室内に長時間いた後、猛暑の外に出ると、暑いと感じているのに、手足は冷たいという違和感を感じたことはありませんか? 体は5℃以上の急激な気温の変化に耐えられないのです。この温度差に体は大きなストレスを感じてしまい、自律神経の機能が低下してしまいます。
本来なら、夏の体は副交感神経が働いて、発汗を促します。しかし、体が寒さを感じると、交感神経が活発に働いて血管を収縮し、体温を逃さないようにします。その結果、末端の手足への血流が悪くなり、冷えてしまうんです。交感神経が活発な状態は、体の緊張状態が続いてしまうので、疲れ・だるさにもつながります。冷房が原因の夏バテです。自律神経は体温調節だけでなく、胃腸の働きやホルモン分泌にも影響します。なので、手足の冷えのみならず、食欲不振や胃もたれ、不眠や無気力も引き起こすんです。
では、どうやって予防すればいいの?
1|夏でもオフィスでは靴下、腹巻きを。
体を冷やしすぎないように。冷気は下に溜まりやすいので、靴下をはくのがオススメ。足首まで隠れる長めの靴下がいいですよ。また、女性の要である骨盤、特に仙骨(お尻の上)を冷やさないように腹巻きなどもいいと思います。
2|ホットドリンクや体を温める食べ物を。
体を中から温めるのも効果あり。冷たい物のがぶ飲みは絶対ダメ! 胃腸から体を冷やし、また胃酸が薄まってしまうことで胃腸の動きも鈍くなります。私は夏でもホットドリンク派、お店で注文するときもなるべく氷なしの常温でお願いします。
3|ぬるま湯入浴は効果絶大。
夏こそ入浴! お風呂につかることで体がリラックスし、副交感神経優位に。血流改善、疲労物質の排出につながります。夏バテ気味の人は、ぜひ入浴を。汗腺を刺激して発汗できると、体がさっぱり軽くなるでしょう。ただし、40℃以上の熱いお湯はNG。ぬるめのお湯が副交感神経を活発にするポイントです。半身浴もいいですね。
4|運動もGOOD!
女性に冷え性が多いのは筋肉が少ないから。血流をよくするように運動しましょう。軽く汗ばむ程度の速めウォーキングでも十分効果がありますよ。デスクワークだと足の血流はどうしても滞りがち。1時間に1度は屈伸運動やオフィスを軽く歩き回るとよいです。私も足の冷えは万年の悩み。夏でもオフィスでは着圧ソックスを履いて、印刷中はコピー機の前でつま先立ちを10回くらいやってます。
5|その他、オフィスでできること。
冷房に風除けをつけてもらったり、サーキュレーションで部屋の空気の循環をよくしてもらう。体感温度は人によって違うので、冷房が直にあたったり、日陰の席ならば、暑がりの人に席を替わってもらったりするのも一案です。遠慮せず相談しましょう。
以上、皆さんの心地よい暮らし&お仕事のお役に立ちますように☆
加藤杏奈|産業医・労働衛生コンサルタント
産業医科大学医学部医学科卒業。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。専門は産業医学、予防医学、メンタルヘルス。産業衛生専門医。現在、某化粧品メーカーの産業医として勤務している。