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WORK

2018.07.18

働き方改革、結局どうなの?|TBS解説委員・牧嶋博子さんに聞いてみた!

働き方改革、結局どうなの? キーワードだらけだけど、どのあたりが「改革」? TBS解説委員・牧嶋博子さんに聞いてみた!

裁量労働制、高プロ、同一労働同一賃金、ワークシェアリングetc.ニュースではいろんなキーワードが聞こえてくるけれど、結局私たちの未来にどう関係してくるの? リアルな疑問をぶつける座談会を開催しました。TBS解説委員・牧嶋博子さんに聞きながら、「働き方改革」について考えます!

教えてくださったのは…

TBS報道局解説室長 牧嶋博子さん

TBS報道局解説室長 牧嶋博子さん

1983年TBSにアナウンサーとして入社、その後報道記者に。現在は厚生行政、皇室などを担当し解説委員としてニュース番組にも出演。20数年、母親と記者との両立を続ける。

質問したのはこちらのお二人

高峯寿美さん(27歳) 広告代理店勤務

高峯寿美さん(27歳) 広告代理店勤務

入社6年目。希望していた業界に入ることができたけれど、サービス残業や休日出勤の多い勤務形態に耐えかねて、現在転職を考え中。

大枝千鶴さん(32歳) IT関連会社勤務

大枝千鶴さん(32歳) IT関連会社勤務

IT業界内で転職して2年目。責任ある仕事を任され充実の日々を送りつつ、今後ずっと今の働き方を続けられるかどうか少し不安も。

「働き方改革」のココが知りたい!

・将来、子供を産んだあとも仕事を続けやすくなるの?
・お給料は増える? 減る?
・副業や在宅勤務etc. 働き方を変えなきゃいけないの?
・ずっと第一線でいるために今身につけておきたい能力とは?

どうして今、働き方改革なの?

Oggi:おふたりは今の働き方に満足していますか?

高峯:私は営業職ですが裁量労働制で見なし残業の分しか残業代が出なくて。徹夜も土日勤務もサービス残業も多くて転職を考えています。

大枝:うちの会社は完全に裁量労働制です。見なし残業代が含まれていますがほとんど残業はないです。今はとても充実していて不満はないですが、将来的に結婚・出産となったら戦力外と見なされそうで…。男性が多い職場ですし第一線で働き続けられるかどうかちょっと不安です。

Oggi:そもそも「働き方改革」はなんのために行われるのでしょうか。

牧嶋:坂を転がるように人口減少が進む中で高齢者を支える若者がどんどん減っていくから、女性も労働力として働いてほしいしできれば高齢者も労働力として長く働いてほしいと政府は考えています。女性と高齢者がそれぞれの事情に合わせて多様な働き方を可能にするにはどうしたらいいかと考えたとき、今はあまりにも長時間労働が普通になっていませんか? と。短時間なら働きたいという人もいるのでは? と。長時間労働を是正して働ける人を増やしましょう。それから雇用形態による格差をなくして公平・公正な労働を実現したいというのが政府の目標です。

大枝:日本人は労働時間が長いわりには生産性が低いともいわれていますよね。

牧嶋:「お父さん家に帰らないでだらだら会社にいる」とか(笑)。そういう良くない習慣を変えていかないと、特に出産した女性はなかなか復帰できないですからね。ワークシェアリングといって、今までたとえば男性が150%の力で働いていたとしたらそれを夫婦で75%ずつ分担するということができればいいですよね。夫婦共同で子供を育てられるように働き方の選択肢を広げるというのも政府の狙いのひとつです。でもそれを実現させるための法案がこれでいいのかなって
いう疑問が残ります。

Oggi:それが実現できたら理想的ですが、どこか夢物語的というか、ものすごく大きな改革をしないと変わらないような気がします。

牧嶋:世の中すべてのことは法律で動いています。法律ができるとそれを守るために企業も変わらなきゃならない。たとえば私が就職した当時は男女雇用機会均等法がありませんでした。うちの会社は泊まり勤務があるのですが女子保護規定というのがあったので女性はできませんでした。それが徐々になくなって女性も泊まり勤務ができるようになって。そういうふうに男女の雇用機会は均等にしなきゃいけないという法律ができ、企業が合わせざるを得ない状況をつくってきたんです。昔は育休もなく産休しかありませんでしたから出産の前後6週間しか休めなかった。それが育児休業法ができたことによって一年間休めるようになりました。そういうふうに法律をつくって環境を整えてきたわけ。だから今回もまずは法律をつくって、残業時間については上限を決めてその残業時間以上はやってはいけませんよと、罰則を付けて縛ろうとしています。

高峯:でも働き方っていろいろだしそんなに上手くはいかなさそう…。

牧嶋:仕事量が減らないのに業務時間だけ減らされても、結局終わらなくて納期までに納められない。そうなると家に持ち帰ってやる。でもその時間は業務時間外のサービス残業なのでお給料も発生しないとなるとその法律ってあるようでない。仕事量が変わらず従業員の数もそんなに増えない、その中で残業時間を減らさないと法律違反だと言われても…と、どこの会社もそれが悩みだと思います。「この残業はなかったことにしてくれ」とサービス残業につながることになってしまったり。

大枝:以前の会社は「19時に全員帰れルール」がありました。ただ帰れといっても終わらないから、ムダがないように優先順位をつけて「これは最悪やらなくていい仕事だよね」というのを見ていてくれる人たちがいました。休憩時間を切り詰めてそのルールはある程度達成できて、結局生産性は残業していたころと全然変わりませんでした。逆に残っている人って仕事ができない、ダサい、みたいな雰囲気になって。さっさと終えて帰るのが仕事ができる人という価値観に変わっていったので、それはすごくよかったです。

牧嶋:それは理想的ですね。そういう文化が広がるとどんどん変わってくるかもしれませんね。

勤務時間とともに収入も減ってしまうの?

座談会

牧嶋:今後政府は企業に、雇う人数は増えないとしても短時間で働く人にもちゃんと対応しなさいと働きかけていくはず。そうなっていかないとこの改革は上手くいかないです。

Oggi:短時間で働ける機会が増える一方で、フルタイムで働きたい人の収入はこの先減っていく方向なのでしょうか。

牧嶋:ワークシェアリングってそういう思想です。今まで1500万円稼いでいた人が1000万円に、残りの500万円分はだれか違う人が働くっていう。本当に企業文化から変えていかないとたぶん上手くいかない。それでも仕事量が変わらない会社は人を雇うしかない。そうするとその人件費を増やしたくないからひとりひとりの賃金が減るかもしれない。一方で、今派遣やパートタイムで働いている人が、同じ労働をしているのに給料体系が全然違って正社員より収入が低いことがあるじゃないですか。あるいはパートだと社会保険料を払ってもらえないとかね。いろいろなパターンがあるんだけど、雇用形態が違っても賃金や社会保障の格差をなくそうという同一労働同一賃金を目ざすのもこの法案の一部です。

Oggi:さまざまな仕事がある中で、同一労働同一賃金をどう判断していくのでしょう。労働時間でははかりきれない仕事もあると思います。

牧嶋:高度プロフェッショナル制度、高プロって聞いたことありますか? 高度にプロフェッショナルな仕事をして、労働時間の管理から完全に外れて残業や休日労働してもそれは成果によってのみ対価が支払われるという職業。休日働こうが深夜早朝働こうが労働時間でそれをはかれるわけではないと。こういう制度を導入しようとしています。そうすると今は一応民間企業で働いている人は労働基準法で守られているけれど、高プロの人はそこから外れてしまいます。フリーランスと同じですね。

Oggi:労働法の規制を緩和して、残業代を支払わずに残業させることができるようになるとも捉えられます。労働時間と賃金の関係を切り離すことが政府の狙いでもある。

高峯:うちの会社は裁量労働制とそうでない職種があって、なんであそこの部署は残業代が出るのにここは出ないの? 結局残業時間が多い部署は裁量労働制にして残業代はあげませんよっていう意図に見えてしまいます。

牧嶋:そういうふうに今でも労働の法律って守られてないことがいっぱいあるのに、それを厳しくしていったいだれがきちんと監督できるのかという懸念もあります。労働基準監督官というのがいますがどれだけできるのか疑問です。

今後どういうスキルを身につければいいの?

Oggi:勤務時間が減るのが規定路線なら、私たちはどういう準備をしておけばいいのでしょうか。収入を増やしたければ副業を始めるべきですか?

牧嶋:政府から副業というワードが急に出てきましたね。やっぱり「働き方改革」を実行すると賃金が減るし、労働時間も短くなるだろうということで副業のススメみたいなことが急に言われ始めたのですが、実は労働時間を管理する厚生労働省は及び腰なんです。

大枝:結局もっと働いてもっと不健康になってしまうから?

牧嶋:そうそう! たとえばA社で6時間、B社で4時間、合わせて毎日10時間働いて突然過労死してしまったらどっちの責任ですか? 長いほうのA社の責任でしょうか、いやいやB社は夜が遅くて…とかね。そういうことも起こりうるから厚労省は副業のガイドラインをつくって企業に守るように求めています。

高峯:なるほど。

牧嶋:あともうひとつ。同業他社で働く場合は情報が漏れてしまう。一時「副業OK」としていた大手企業も禁止に戻したところがあります。

Oggi:生産性を上げるというのが今後課題になると思うのですが、どうすればいいのでしょうか。

牧嶋:搾取されないようにするためには労働者は労働者である程度ちゃんと意見をもつことです。会社ごとに働き方が変わってくると思うので、会社の制度を知り、意見をもち、自分の専門性を高めていく。今、お仕事が面白いですか?

大枝:私は面白いです。すべての趣味や遊びと比べてもいちばん楽しいです。

高峯:うーん…今は正直なんのために働いてるんだろうって。徹夜してそのまま勤務が始まるというのもあって体力がもちません。

牧嶋:それはね、今後よくなる。勤務間インターバル制度という勤務間の時間は何時間空けなきゃいけないという決まりがあるから。時間はかかるかもしれないけど改善されるはずです。こんなに女性が一生懸命働きたいと言っているのに、搾取されてるように感じたらもったいない。日本は同じ職種で会社を替えて渡り歩くという文化があまりなくて、「就社」の精神があたりまえでしたが、それはなくなっていくかもしれません。

大枝:専門性を高めていく方向のほうがいいですか?

牧嶋:特に女性はそのほうがいいと思う。やっぱり「この人がいなきゃ困る」というスキルは何物にも代えがたい。それを身につけることを目標にするといいと思います。

Oggi:長い目で見たら働きやすい方向に変わっていきますか?

牧嶋:そうなると思います。だから仕事を辞めるのはもったいないです。私も30年働いてきて何度も辞めようと思ったけれど、今は辞めなくてよかったと本当に思います。子供を産んだとき、100m走を5本ダッシュすることはできないけれど、長距離ならできるかもしれないと思うようにしていました。そして子供の手が離れたとき、意外と持久力がついていた。長い目で見たら絶対に働きやすくなるから、仕事人生、山あり谷ありだと思うけれど、継続は力なり。頑張りましょう!

「転職するかどうか答えは出ていませんが、この先どういう働き方をしていくか、もう一度ゆっくり考えてみます」高峯さん

「年俸制はすごくやりがいがありますが同時に厳しさも感じます。でも楽しいので続けられるうちは全力でやろうと改めて思いました」大枝さん

「働きたい若い女性たちが搾取されていると感じてしまうなんてもったいない。そんな社会がこの法案でよくなるといいなと思っています。
大丈夫、未来は明るいですよ!」牧嶋さん

『トクするNEWS! Nスタ』

トクするNEWS! Nスタ

牧嶋博子さんが解説者として出演する『トクするNEWS! Nスタ』(TBS系)は毎週月~金曜午後3:49~放送中。「働き方改革」法案がこの先どうなっていくのか、日々最新情報をキャッチするためにアンテナをはっておくことが大事!

Oggi7月号「結局どうなの? 働き方改革」より
撮影/フカヤマノリユキ 構成/木村 晶(本誌)
再構成/Oggi.jp編集部


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