働く上で大切にしているのは「自分を信じること」
さまざまな役を演じ分けることから、“カメレオン俳優”とも呼ばれる、塩野瑛久さん。毎回テーマを設けて魅せるファッションとOggiの読者世代として塩野さんが等身大に語るインタビューを2024年1月から2026年9月までお届けしてきた連載『あきじかん』。今回は、2年9か月の間、ご愛読いただいた皆さまに感謝の気持ちを込めて、塩野さんと共に連載を振り返ってみたいと思います。本連載を経て、塩野さんが今、思うことは?

――連載の撮影で印象的だったことは?
いつも肩の力を抜いて臨めるというか、力を抜きに来ているみたいなところが正直あったかもしれません。撮影現場に来るのが本当に楽しみだったし、Oggi編集部の皆さんがすごく優しいので、甘えさせてもらって楽しくやってこられたと思います。自分の「好き」という感覚にこだわりを持ってクリエイティブな仕事をさせていただけたと思いますし、本当にのびのび楽しめたありがたい環境でした。
普段は俳優という職業柄、自分自身にフォーカスするよりも求められるものに寄せていくことが圧倒的に多い。自分にフィーチャーしていただいて、さらに自分の感性を乗せていくことをOKしてくださる編集部の皆さんがいて、現場でのやり取りがすごく楽しかったんです。カメラマンさん、ヘアメイクさん、スタイリストさんなどいろんな方に出会わせていただいた場所でもありました。
インタビューの答えには悩みつつも、リラックスして答えられている気がしていて、たまに本音ポロリみたいなときもあって、後から「あれ?こんなこと話したかなぁ?」と思いながら読み返すのも面白くて(笑)。ほかではしない話をいろいろと引き出してくださって、塩野を応援してくださっている方々に届けられた特別な空間だったと思っています。

――仕事をするときに大切にしていることは?以前は「現場でスタッフさんがしてくださることへの感謝は忘れてはいけないと心に刻んでいます」と回答されていました。
スタッフの皆さんへの感謝を大事にする気持ちは変わりません。役者として、ひとつのものごとへの解釈を大切にしたいと思う気持ちがより一層強くなりました。クリエイティブは際限がないので、言われたとおりにやることももっと深掘りすることもできるじゃないですか。しかも、それが表に出たときに違いがあるかは正直わからない。良し悪しは見ている人の感性に委ねられるし、自分ではそこまで深掘りできなかったと思ったものが評価されることもある。だから、掘れば掘るほどいいわけでもないとも思うんです。それでも、自分が信じて時間をかけて向き合ったことをちゃんと見てくれている人もいて、さらに言葉にして伝えてくれる人もいる。だから今は「自分を信じること」を大切にしています。

――連載開始当初、30歳に備えてやっておきたいことを「いろいろな面で自発的に動きたいなと思います。あとは、プライベートをもっと楽しめたらいいな」とお話しされていましたが、30代に突入した今、振り返ってみていかがですか?
できているような気がします。舞台挨拶やさまざまなメディアで発信をする時は、いつも本音を言うようにしているんです。今年はそういったことのご縁もあり本当に素敵だなと思う方々とご一緒することができました。今の環境は、人に恵まれて自分のやりたい仕事ができていると感じます。
――塩野さんにとって俳優という仕事、そして働くということは?
俳優の仕事をする大前提として、演技を楽しむことを大事にしています。社会の中で、肩身の狭い思いをしたり、窮屈さを感じたり、いろいろと気を使うことはだれしも経験があると思います。でも、「厳しい世界だからちゃんとしなきゃ」と自分を必要以上に追い込みすぎたくはない。やることはきちんとした上で、人として自由にのびのびと生きることも忘れたくないんです。少し変な言い方かもしれませんが、趣味のように芝居をやりたくて。もちろんちゃんと仕事なんですが、やらされているのではなくて、やりたくてやっているというスタンスを大切にしたいです。

――俳優業の一番の魅力ってなんですか?
俳優業はその人しか持っていない個性や人間性が確実に役に乗っかってくる仕事だと思っています。だから、人として生きている限り、だれにでも挑戦できる仕事でもあるのかなと思います。
――だれにでも挑戦できたとしても、演技は簡単にはできないと思います。
僕もそこが面白いところだなと思います。いかに自分を解放して人前でさらけ出せるかが問われるのが、この職業の特殊で面白い部分かなと。社会生活の中で無意識に何枚も重ねてきたバリアを剥がさないといけない場所なんだと思います。
――塩野さんにとって、連載『あきじかん』とは?
「居所」ですかね。
――では最後に、毎月この連載を楽しみにしてくださった読者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
毎月楽しみに待っていてくれて、本当にありがとうございました。もしかしたらこの連載で僕のことを知り、そして興味を持ってくださった方もいるのかなと思います。この『あきじかん』という連載が皆さんとの出会いのきっかけにもなりましたし、連載を続けさせてくれたのも読者の皆さんです。
カレンダーの出版とイベントができたこともいい思い出です。それまで僕は皆さんと触れ合える機会があまりなかったので、皆さんに直接お会いできる機会に恵まれたのもこの連載があってこそ。皆さんがOggi編集部に手紙を送ってくださって、この連載自体が愛されていると示してくれたことも本当にうれしかった出来事です。僕や編集部の皆さんのモチベーションにもつながったので、読者の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
この連載ではこれまでたくさんいろんなことをお話したので、ぜひまた読み返していただきたいです。ということで、連載は一区切りついたけれど、これで終わりじゃないと信じています。またお会いしましょう!

ジャケット¥290,400・ボトム¥330,000 (SHINGO KUZUNO〈Sian PR〉)シャツ¥17,600(R for D) その他スタイリスト私物
【お問い合わせ先】
・R for D 03-6407-9320
・Sian PR 03-6662-5525
撮影/谷口 巧(スチール)、川岸郁弥(ムービー) スタイリスト/川﨑玲美(TRON) ヘア&メイク/奥平正芳 構成/佐々木怜菜、岡野亜紀子
【撮影現場ビハインド♡ 〝しおらしい〟取材メモ】
・「眉毛の色を薄くしてみていいですか?」という塩野さんの希望で仕上がった今回のヘア&メイク。撮影中は、「漫画の世界の人みたい!」「見たことない姿…!」と盛り上がりました。クールな表情で次々に素敵なカットを連発したかと思えば、指で涙のポーズをつくって和ませてくれる塩野さん。
・撮影終わりで塩野さんにお花をお渡しするととても喜んで、「ありがとうございます!ちょっと待ってください!僕からも…!」と連載チームに素敵なプレゼントを贈ってくださりました。なんと、忙しい中、撮影前に時間を割いてギフトを探しに行ってくださったそう。これまでも、カレンダー発売の後や何かあるごとに連載チームに素敵なメッセージや声掛けをしてくださった塩野さん。人との縁をとても大切にするところが長く愛される所以だなと改めて感じたのでした。

俳優 塩野瑛久
しおの・あきひさ/1995年1月3日生まれ。東京都出身。【公式Instagram @akihisa_shiono_official】どんな難役も演じ分けることから“カメレオン俳優”と呼ばれる実力派俳優で、話題作に多数出演。2024年は大河ドラマ『光る君へ』で一条天皇を熱演し話題に。近年はドラマ『魔物(마물)』『終幕のロンド—もう二度と、会えないあなたに—』『嘘が嘘で嘘は嘘だ』『未来のムスコ』『告白―25年目の秘密―』、映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』『SAKAMOTO DAYS』『マジカル・シークレット・ツアー』、『ラブ≠コメディ』など注目作に相次いで出演。10月よりスタートしたドラマ『天狗の台所 Season3』に出演しているほか、『すべて真夜中の恋人たち』(11/13)が公開予定。また、11月からは「2026年劇団☆新感線46周年興行・冬公演 いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人 LAST STAND』」にて劇団☆新感線に初参加予定。ファッション好きとしても知られ、センスのよさから数々のファッションイベントなどに呼ばれる今、まさに旬の人。オフィシャルファンクラブ『Akihisa Shiono Official Fanclub』( https://akihisa-shiono.com/ )を開設。Oggi.jp連載『あきじかん』(2024年1月〜2026年9月)



