人気ラジオ DJ・サッシャがナビゲート! ハラミちゃんのこれまでとこれから

◆Guest Artist:ハラミちゃん
国立音大卒で、元IT企業勤務の経歴ももつポップスピアニスト。超絶技巧が光るカバー演奏や即興演奏のほか、オリジナル曲の発信も。プレイヤーとしてだけでなく、ピアノ絵本や楽譜の監修など、〝ピアノを身近な存在にする〟を目標に、幅広く活動中!
◆Host:サッシャ
1976年、ドイツ・フランクフルト生まれ。日本語・ドイツ語・英語のトライリンガル。J-WAVE『STEP ONE』ナビゲーター。『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にレギュラー出演するほか、スポーツ実況など多方面で活躍中。今年3月に気象予報士の資格も取得!
ハラミちゃんの軌跡
2019年6月 YouTubeに投稿した、RADWIMPS『前前前世』のカバー演奏動画が30万回再生を記録したことをきっかけに、活動を開始
2020年7月 1stアルバム『ハラミ定食~Streetpiano Collection~』が、Billboard JAPAN週間総合ランキング、オリコン週間J-POP部門で1位を獲得
2022年 女性ピアニストとして15年ぶりの、日本武道館ピアノワンマンライブを開催
2026年 4月にスタートした『ハラミちゃん47都道府県ピアノツアー2026~旅するピアノと47の出会い~』で、全国47都道府県を巡演中!
ハラミちゃんのこれまでとこれからをインタビュー

〝ハラミちゃん〟の誕生、半年間の引きこもり生活からピアノが救ってくれた
サッシャ(以下、S):ハラミちゃん、6月で活動7周年だとか…! おめでとうございます。
ハラミちゃん(以下、H):ありがとうございます。初めて動画を投稿したときは、まさかこんなに続くとは思っていませんでした。
S:そうなんですね。有名になった契機は、新宿都庁での、RADWIMPS『前前前世』のカバー動画ですよね。
H:はい。あの動画をあげた当時、私はIT企業勤務の会社員。何事にも没頭しすぎる性格が祟り、体調をくずして休職中でした。半年ほど自宅に引きこもっていたのですが、ある日突然、職場の先輩が「ピアノ弾きに行こうよ」と誘ってくれたんです。
S:その一言が、すべての始まりだったんですね。
H:実は、その人が今のマネージャーなのですが… (笑)。
S:え!? 〝ハラミちゃん〟のために、会社を辞めたってことですか? 先輩、すごすぎる…!
H:少し回復して、半年ぶりにスマホを開くと、意外とみんなからの連絡はなくて。でも、その先輩からは、毎日のように「猫がいたよ」「阪神が勝ったよ」と、たわいもないメッセージが来ていたんです。うれしくて返信したら、電話がかかってきて、「ピアノ弾きに行かない? 元気が出るかもよ!」と。
S:じゃあ、半年ぶりの外出が、ストリートピアノを弾くためだったんですね。
H:それまでも、友人から誘われて外に出ようとしたのですが、玄関を開ける直前で「やっぱり無理だ」と、あきらめるのを繰り返していて。この日も直前までは怖くて、ましてや人前でピアノを弾くなんて…と思っていましたが、弾き始めた瞬間、「これ、私が大好きだったことだ!」って。何か大切なものを取り戻す感覚がありました。
S:本当に楽しそうでしたよね。
H:ただ、まさかあんなに多くの方に観てもらえるとは思ってなくて。先輩から動画を投稿していいか聞かれたときは、ためらいつつも「どうせだれも観ないだろう」と思って、OKしたんです。
S:それがまさかの、2週間で30万回再生…!
H:勇気を出してコメント欄を見たら、1件目に、「笑顔で弾いていていいですね」と。自分でも、動画を観て「私はピアノを弾いてるとき、こんなに楽しそうなんだ」と驚きました。そのとき、幼少期の原体験を思い出したんです。

6歳でプロ志向に。夢をあきらめた日が夢の始まり
S:原体験、ですか。
H:幼少期に遡りますが…。私の家族は、祖母が書道家で、祖父は彫刻家。「表現」は身近な存在でしたが、音楽をやっている人はおらず、私がピアノを始めたのも、4歳のときに自ら習いたいと言い出したのがきっかけでした。
S:どこの家庭でもよくある、「私これやりたい」という一言ですね。
H:そのころから負けず嫌いでのめり込む性格だったので、順調に上達していって。6歳のころ、教室の先生から「あなたは音大に行く人だから」と、音大受験用の本を渡されたんです。
S:6歳で…! そもそも、大学のこともよくわからない年齢ですよね。
H:そうですね。当時は、「ピアノを習っている人はみんな音大に行く」のだと理解していて、周囲が進路に悩む年齢になってからも、「私は悩まず済んでラッキー」くらいの感覚でした。
S:でも、先生もそれだけ才能を感じていたんですね。生徒全員にそう言っていたわけではないでしょうから。
H:たしかに、ほかの子は1回のレッスンで2時間の練習だったのに、私だけ8時間でした。
S:8時間…!?
H:勉強も運動も苦手だったので、「ピアノだけは負けたくない」という思いで、必死に食らいついていましたね。

S:では、そこから音大まで、まっしぐらだったんですね。
H:それがそうでもなくて…。 高校2年生のとき、音大受験用のピアノ教室へ移る際、入会審査でショパンの曲を弾いたら、「あなたはプロのピアニストにはなれないからあきらめてね」って言われたんです。
S:えぇ…! ずっと頑張ってきたのに。きっとショックでしたよね。
H:うーん…。小さいころからずっとコンクールに出ていたので、薄々「自分はトップには立てない」と気づいていて。一瞬落ち込みましたが、先生から断言されたことで、重圧から解放される安心感もありました。
S:なるほど、ずっと闘ってきたから。
H:結局音大には合格したのですが、やっぱり上には上がいて。プレイヤーはあきらめて、ピアノの先生になる道も考えたのですが、自分のやりたいこととは少し違うなと。そこで、音楽とはまったく関係ない世界で、新しい人生を歩もうとIT企業に就職しました。
S:就職してからは、ピアノは弾かなくなってしまったんですか?
H:たまに弾きたくなっても、そんな気持ちも忘れてしまうくらい仕事が忙しくて、ピアノも埃をかぶっていました。
S:じゃあ、新宿都庁での演奏はかなり久しぶりだったんですね。
H:はい。『前前前世』を弾いたのも、新宿に向かう電車の中で、偶然映画『君の名は。』を思い出しただけでしたから。
S:え!? まったく練習していないんですか!? それほどの才能でも、「プロになれない」と言われてしまうんですね。
H:クラシックには、ポップスとはまた違う評価軸や様式美があるので…。それで〝原体験〟の話に戻るのですが、思い返せば、小学生のときから、クラスのみんなのリクエストに応えて、ポップスを弾いていたんです。
S:そのときから、今のハラミちゃんの原型があったんですね。
H:ちなみに、お絵描きも好きで、以前、小学3年生のときに描いた絵を発掘したのですが…。

小学3年生のときにハラミちゃんが描いた絵。車椅子に乗っている人、松葉杖をついている人など、老若男女さまざまな人に囲まれピアノを弾いている。
S:すごい! さまざまな人に囲まれて、みんな笑顔。まるで今の活動の様子ですね。
H:しかも、当時はストリートピアノ自体なかったので、潜在的にそういう思いがあったんだと思います。
S:そのころから、根幹の音楽観は変わらないんですね。現在は、「ハラミちゃん47都道府県ピアノツアー2026~旅するピアノと47の出会い~」の真っ最中ですが、それはどんな心持ちで?
H:今年のはじめにパリや台湾でワンマンライブをさせていただいたのですが、ファンの中には、うれしさと同時に、遠くに離れるさみしさを感じている方もいるかなと思って。私が海外にまで活動の幅を広げられたのも、日本のファンの皆さんのおかげなので、直接感謝を伝えたいと思ったんです。
S:それこそ、活動の原点に立ち返った結果のツアーなんですね。

働くみんなに一言! 「今の人生は、すべて過去の自分が選択した結果」
S:Oggiは20~30代の方がたくさん読んでくださっています。今までの経験を踏まえて、この年代がすべきことはなんだと思いますか?
H:まずは、自分自身を知ることだと思います。私は、YouTubeでの活動が軌道に乗り始めて、会社を辞めようか迷っていたとき、「本当にこの選択でいいのかな」とたくさん悩みました。そんなとき、例の先輩に「人生、笑った回数が一回でも多い人の勝ちだと思う」「この令和の時代に、できないことなんてほぼない。今の人生は、すべて自分が選択した結果だよ」と言われて。自分はできない理由を探しているだけだった、と気づいたんです。
S:そのときに自分と向き合ったから、今があるんですね。
H:そう思います。20代、30代は、何を始めるにもまだ踏ん切りがつくタイミング。日常をただなんとなく過ごすのはもったいないので、一度立ち止まって、自分が本当に大切にしたいものは何かを考えてみるといいかもしれません。
S:ご自身も、今でも自分を見つめ直す時間は大切にしていますか?
H:そうですね。活動を始めたときから、「笑顔になれなくなったら終わり」と決めているので、今も「自分はちゃんと楽しめているかな」と定期的に振り返るようにしています。ありがたいことに、今はすべてのお仕事を楽しく、納得感をもってやらせていただいています。
S:次は活動10周年も見えてきますね。今後の目標はありますか?
H:今まで目標に追われる人生だったので、あえて具体的な目標は立てないようにしているんです。でも、ピアノを弾く楽しさを広めて、ひとりでもピアノ奏者を増やしたいので、いつかはピアノ教室をつくりたいな、と。
S:ハラミちゃん直々に教えてもらう教室なんて、贅沢…! 実現する日を楽しみにしています。
「ハラミちゃん47都道府県ピアノツアー2026~旅するピアノと47の出会い~」チケット好評発売中!

来年1月まで、全国47都道府県を、毎回異なるセットリストで巡回。全世代楽しめる名曲で構成し、観客のリクエストにその場で応える即興演奏コーナーも。
[ハラミちゃんさん分] ブラウス¥23,100(ソージュオンラインストア〈ソージュ〉) パンツ¥52,800(ジェイドット 自由が丘八雲店〈ジェイドット〉) その他/スタイリスト私物 [サッシャさん分] ジャケット¥550,000〜(イザイア ナポリ 東京ミッドタウン) シャツ¥7,990(ザラ カスタマーサービス〈ザラ〉) デニムパンツ¥61,600(デンハム・ジャパン〈デンハム〉) その他/スタイリスト私物
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ジェイドット 自由が丘八雲店 080-3930-5171
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2026年Oggi9月号「働く私にMusik」より
撮影/神藤 剛 スタイリスト/清水拓郎 ヘア&メイク/遠藤真稀子(UM/ハラミちゃんさん分)、新地琢磨(Sui/サッシャさん分) 撮影協力/三菱倉庫 まちかどピアノ 構成/倉益璃子
再構成/Oggi.jp編集部
Oggi編集部
「Oggi」は1992年(平成4年)8月、「グローバルキャリアのライフスタイル・ファッション誌」として小学館より創刊。現在は、ファッション・美容からビジネス&ライフスタイルテーマまで、ワーキングウーマンの役に立つあらゆるトピックを扱う。ファッションのテイストはシンプルなアイテムをベースにした、仕事の場にふさわしい知性と品格のあるスタイルが提案が得意。WEBメディアでも、アラサー世代のキャリアアップや仕事での自己実現、おしゃれ、美容、知識、健康、結婚と幅広いテーマを取材し、「今日(=Oggi)」をよりおしゃれに美しく輝くための、リアルで質の高いコンテンツを発信中。
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