朝ドラ『風、薫る』1週間の見どころと感想をレポ
朝ドラ『風、薫る』、ご覧になられてますか? 明治時代の日本で看護の道を切り拓いた、一ノ瀬りんと大家直美の物語。見上愛さん、上坂樹里さんのダブル主演です。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、毎週グッときたポイントを自由きままに語りたいと思います!
先週のレビューはこちら:明治の人生は厳しすぎる!? 持つ者と持たざる者の差って、なんだろう|『風、薫る』第10週
第11週「凪(なぎ)にそよぐ」を振り返ります

心中未遂で入院中の女郎・夕凪を救いたい。その一心でりんは、ある新聞社を訪ねます。この時代、西洋の影響から日本では「廃娼運動」が行われていたそう。その運動家たちに助けを借りれば、彼女を逃す手立てができるかもしれない。瑞穂屋の卯三郎さんからのヒントでした。
「廃娼運動」の主張は、ざっくり言うと、かつて女郎は本人の意思で辞められないものだったけれど、明治の世では自由に廃業できるべき、という内容。ですがこれが翻って「女郎は自らの意思で女郎の仕事をしている」という解釈となり、かえって辞めづらくなった側面もあるらしい。なんじゃそりゃ! 女郎を自由にしたい運動家たちも、どうしたものかと頭を抱えているのかもしれません。
りんの相談を受けた新聞社の編集長・綿貫は、夕凪を廃娼運動推進の旗印にしようと持ちかけます。しかしそれは、最前線で矢面に立たされるということ。彼女に人柱のようなことはさせられないとりんは断りますが、数日後。なんと新聞に悲劇の女郎・「夕顔」の記事が載っているではないですか! 名前は変えてあるけれど、どう考えても「夕凪」の話です。患者のプライバシーどうなってるのよ!! なんと、記事を書いたのはシマケンさんでした。いやいや綿貫も卯三郎さんもおしゃべりだな! 哀れみを誘うためにかなり「盛った」記事にりんも動揺。彼らを信頼して、夕凪を助けたい一心で相談したのに、こんなふうに世に出されてしまうのは、とてもモヤる。だいたい「雪国生まれが泣ける」ってなんですか(それも嘘だし…)。しかし新聞社も、シマケンも、女郎の待遇をよくするため、ひいては世の中のため、大真面目にペンの力を信じています。うーん…。でも勝手に記事にして、しかも真実ではないことを書き連ねるのはちょっと…。
結果としてシマケンの記事は功を奏してバズり、読者の同情を味方につけ、夕凪は本当の名前「セツ」を取り戻し自由になることに。セツさんがもう地獄の遊郭に戻らなくていいことは、本当にうれしいこと。退院時のすがすがしく前向きな表情、とてもよかったと思います。最終的にりんもシマケンに感謝して、シマケンはシマケンで、自分が本当に書きたいものを見つめ直すきっかけにはなったようですが…。
まぁいい結果にはなったのだけど…。これで世の中は変わるのだろうか
…なんだけど、本当にこれでめでたしめでたしなのかなーとドラ子もいろいろとスッキリしないポイントはありました。セツさんひとりが自由になったとて、まだまだ苦しむ女郎はたくさんいるはず(もちろん、この「ひとり」は大いなるひとりではあると思いますが)。「夕顔を自由にしろ!」という猛抗議が、他ならぬ遊郭の客からあがったというのも気になります。大衆の単純さというか…。これを機に遊郭通いをする人がいなくなったら、需要が失われて遊郭そのものを撲滅できるのかもしれませんが、そんな簡単にはいかないと思うんですよね。彼らが自由にしたかったのは、すべての女郎ではなく「かわいそうな夕顔」なのですから。それでも、社会に一石を投じたことにはなるのだろうか。
看護婦は、目の前の人を助ける。新聞社や卯三郎さんがしたいのは「社会を動かす」こと。その両輪で、世界が少しずつよくなっていくのを期待するしかないのかな。
自由になったセツはどこへ向かうのか。結局遊郭に逆戻りとか、遊郭の主人の粛清に合うとか、記事の嘘がバレてなぜかセツさんが叩かれるとか、いくらでもバッドエンドが想像できてしまうのですが(ヤクザものの見過ぎですね)、朝ドラ時空を信じて、きっと幸せになってくれると願っています!
さて、「夕凪」という名は直美の母を追うヒントでもあります。夕凪ことセツさんとの対話を通して、直美もまだ見ぬ母への想いが少しずつ変化しているようす。危険を冒してでも、直美を産むことを選んだという事実。母の気持ちの本当のところはまだわかりませんが…それだけで、今の直美は満足しているようです。「どこかで生きてくれていればそれでいいや」。でも、りんの言う通り、いつか会えたらきっとうれしいよね。直美母も、娘に会いたいと思ってくれていたらいいなあ。
しかしドラ子はネガティブなので「直美母、実際会ってみたらすごい嫌なやつだったらどうしよう」とか考えちゃう。そんなこと想像してもつらいだけなのでこういうのやめたいです…。
次週、「旅立ち」。あの男が立派になって帰ってくる!?
そんなこんなで迎えた金曜日、大事件発生ですよ。帝国医科大学附属病院が約束を翻し、来年から看護婦見習いの受け入れはしないというではないですか!! 実習を終えたりん&直美たちをそのまま雇うという話も白紙に。えええー。来年から病院独自に看護科を作る、ということらしいですが、それってノウハウだけいただいてさよならということ!? ひどすぎません? 看護婦見習いたちがあまりに優秀ゆえに、その価値を思い知って自分たちで育成したくなったのでしょうが…ううう悔しい。校長先生のように前向きに考えれば、この社会にナースが根付くチャンスが広がった、とも言えるけれど。とはいえ看護学生ズのなかには、生きるためにナースになって働きたい人もいるわけで、その受け皿はどうしてくれるのでしょう。悩ましいですね。
次週サブタイトルも「旅立ち」だし、看護学生ズいったん解散なのかなあ。寂しい。そして予告を見ていたらりんの幼馴染・虎太郎の姿が! 洋服着て立派になって、一体何があった!? りんの妹・安に恋する情熱的な槇村の行末も気になるところです。
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後に録画をじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。



