「大相撲ロンドン公演」34年振りに開催
日本でも連日報道されていた、大相撲ロンドン公演。取り組みの様子はもちろん、ロンドンの街をユーモラスに楽しむ力士たちの様子をニュースでみた人もきっと多いはず♡ 記念すべき34年ぶりの大相撲、会場となったロイヤル・アルバート・ホール(Royal Albert Hall) は、「音楽と文化の殿堂」と呼ばれる、イギリスを代表するコンサートホール。ヴィクトリア女王の夫であるアルバート公の功績を称えるために建設された施設です。


友人たちの「ハイストリート(大通り)を歩いているのを見かけた!」「 会場入りを目撃した!」「快く一緒に写真撮影してくれた!」というストーリーズを見かけるも、私自身はなかなかお会いすることが叶わず…。と言いつつも、こんな貴重な機会を逃すわけにはいかない!と実はチケット入手済み。はやる心を押さえつつ、ようやくDAY4に参戦しました!
音楽の殿堂に土俵が現れる!
ロイヤル・アルバート・ホールといえば、毎夏開催されるイギリスの国民的クラシック音楽祭「プロムス(Proms)」の会場としても有名。ステージにはオーケストラのメンバーが並び、クラシックファンたちで満席の客席は開演とともに、息を潜めているような静寂に包まれるのですが…今回は違いました!

エントランスを入るとグッズを求める人たちで大賑わい。相撲の用語や決まり手、力士を番付順に紹介したパンフレットをはじめ、オーディオガイドやTシャツなど、どれも売り切れ続出の人気ぶりです。開演前にシャンパンが楽しめるバーやカフェには日本の酒造メーカーのウイスキーや、あられが登場。さらに和装やダルマになったキティちゃんが並ぶ部屋が設置され、ローカルファンたちが記念撮影を楽しんでいました♡

ひと通り、盛り上がる会場内を散策し、予約したボックス席へ。目の前にドーンと現れた土俵は「ここはロンドン?」と錯覚しそうなほど日本のものと違わぬ佇まい。思わず感嘆の声がもれてしまいました!
推し活に沸くローカルファンたちに驚く

開演時間を過ぎると力士が入場し、いよいよ開幕。土俵入りから弓取り式まで、一つひとつの儀式を2人のMCが英語で解説してくれます。初めて相撲を観戦する私にもわかりやすかったのですが…。実は今回何より驚いたのが、そんな説明はもはや不要なのでは?と思えるほど、まるでアイドルを前にしたかのように熱を帯びるローカルな相撲ファンたち。

取組表に何やらメモしながら観戦、力士の名前をタイミングよく叫び、贔屓の力士の名前を書いた横断幕を持参している人も。人気力士の取組となると歓声が轟くほど! 私の席の周りもほとんどイギリス人と見受けられ、その熱気が会場を包んでいました。
日本から来たラブリーな力士たちに地元の人も夢中♡

会場のロイヤル・アルバート・ホールから徒歩圏にあるホテルに宿泊していた力士たち。ロンドン滞在中は、その近辺でも食事をしていたようで、自宅が同じエリアにある私もその様子を偶然耳にすることに。
名物の蟹パスタなど、食通も唸る質の高いイタリアンを提供するレストラン「Grato」では、フレンドリーなオーナーが「昨日のランチに4人来たよ! 初めて見たけど背が高くてびっくり! 手もすごく大きいんだ!」と興奮した様子で語ってくれました。こじんまりとして居心地のよい店内は、力士4人で満席になりそう!

相撲観戦の帰りに寄った韓国料理の「HANRUE」では、ショートリブを注文したところ「昨日お相撲さんが20人来て全部食べちゃったんだ」メニューにアサヒビールがあるのを見つけると「それも昨日飲み干されちゃって」と。そして「僕と相撲してくれたよ!」と遊びで取組をする動画を見せてくれました。「お相撲さんがハグしてくれたんだけど、ドーパミンが出てすごく癒された!どんなセラピーより効きそう!」と独特な感想を聞かせてくれました(笑)このレストランは力士たち一団が滞在していたホテルの目の前のロケーション。会場からホテルへ戻る力士をお店の窓から見つけては、お客さんたちがキャーキャーと駆け寄って行っていました。

もとからの相撲ファンだけでなく地元の飲食店でも愛され、日本からやってきた魅力的な力士たちがロンドンの心をつかんだことを実感した本公演。にわか「スー女」になった私にとって「日本の国技にこんなに熱狂してくれるなんて感動…!」と胸アツな体験でした♡
著者:神田 朝子
朝に生まれたのが名前の由来。大学卒業後ドイツ企業で11年間勤務したのち、夫の赴任を機にN.Y.へ移り住む。ジュリアード音楽院に通いピアノを学ぶ傍ら、2014年よりライターとして活動。ラグジュアリーファッションやホテル、そしてピアノについて書いています。現在ロンドン在住。 モード命は周知の事実♡
Instagram:@asako_kanda



