学校を卒業した後にやりたいことは…なんとなく見えているけれど模索中
宝塚歌劇団を退団し4月から新たに学校に通い始めたという、元花組男役スターの綺城ひか理(あやき・ひかり)さんと元星組トップ娘役の舞空 瞳(まいそら・ひとみ)さんに、『Oggi』専属読者モデル、オッジェンヌの力丸莉帆さんがインタビュー。
元タカラジェンヌ同士だからこそわかる退団後のあれこれを、気負いなく3人で話していただきました。4月13日と19日に行われる綺城さんのディナーショーについてのお話も!
3人のリラックスした空気感とともに紹介します。
▼前編はこちらから

ふたりが考える先の先は、踊る栄養士? 日本の文化を広めるための活動?
力丸さん(以下敬称略):タカラヅカを退団すると決めた後、この先どうしていきたいとか、どんなことをしたかを教えてください。では、あかりちゃん(綺城さん)から。
綺城さん(以下敬称略):退団してからやりたいことがなかったのね。舞台は好きだし歌うことも好きだけど、OGのみなさんが芸能の道で活躍されているのを見ても厳しい世界だということはわかっていたから。
やっぱり、自分にしかできないことをやりたいじゃないですか。みなさん自分の道を行かれているなかで「じゃあ私がやりたいことって?」と考え、それを探すためにも学んだほうがいいなと思って大学に行くことにしました。
スタジオを開いたりアパレルの道に行ったり、ちゃんと自分のやりたいことを見つけて実践している人は本当にすごいと思うの。まず自分が何をしたくて何が得意なのか?
今まで歌って踊ることしかしていなかったからそれが得意だと思っているけど、他にもっと得意なことがあったらうれしいじゃないですか。もっと好きなことが見つかったらそんな幸せなことはないと思うから。
そう考えて、何か勉強したいなと。学ぶことに対する欲は現役のときからあったので、その延長かな。
力丸:なるほど。どんなことを勉強するというのは決めているの?
綺城:それはまだちゃんと決めていなくて、学ぶ環境のなかに身を置きたいなと思って。

力丸:そうなんだ。修行僧みたいだ(笑)。
綺城:(笑)。私、現役のときから2週間休みとかになると気分が落ち込んでいたのね。やることがなくなっちゃうのがダメみたいで、どんなことをするにしても二足の草鞋を履いているほうが性に合っていると思うんですよ。
例えば(宝塚)音楽学校受験のときも高校受験の準備を並行してやっていて、それでバランスが取れていたの。人生でいちばん頑張っていたときね。
力丸:たしかにね、頑張っていたよね、私たち。
綺城:だから退団してからも何か1本の軸を持ったうえで、別にやりたい2本目の柱があるほうが自分は心が安定するなと思ったんですよ。
力丸:その軸になるのが勉強なんだね。大学に行こうと決めたのは、鐘が鳴った後?
綺城:鐘後! そう決めたのが社会人入試ができるギリギリの日程だったからいろいろスケジュールを考えて受験をし、東京公演の前には大学を決めました。
舞空さん(以下敬称略):それをうかがったとき、「はやっ!」って思いました。公演中なのに「大学決まったんだ」と聞いて、「え、私も学校に行くんです」って。
力丸:そうなんだ! てっきりお互いに相談か何かしていたのかと思ってた。
綺城:落ちたら恥ずかしいから、受かるまで人には言えないよー。
力丸:あかりちゃんはすでにいろんな資格を持っているんだよね?
綺城:簿記3級と、MOSと、アスリートフードマイスター。
力丸:すごい! 学ぶことが楽しいんだ?
綺城:でも、資格取って「やったー!」と思って忘れちゃうの(笑)。
力丸:ちゃんとその資格があるんだからすごいよ。
綺城:うん、大学入試の自己推薦書に書きまくりました。あと普通自動車の運転免許。なこちゃん(舞空さん)も取ったよね。
舞空:退団してすぐ取りました。
綺城:運転してる?
舞空:たまーに。実家の車で隣に父に乗ってもらって、「はいそこ曲がって」「バックバック」みたいに指導されながら。広い公園の駐車場の、両サイドに何もない所で練習しています。
綺城:ひとりで乗ったほうが練習になるよ、命かかっているから(笑)。私は1回ペーバードライバー講習に行って、そのままカーシェアで宝塚から新大阪まで行ったよ。
力丸:すごい挑戦力! 飛び込み型だ。ひとみちゃんは次の道にどうして行こうと思ったの?
舞空:舞台の仕事はまず体が資本じゃないですか。それまでしてこなかった自炊をコロナ禍のステイホームでするようになったとき、野菜を切っている時間が無心になれたんですね。
ただ座ってボーッとするよりも、別の何かに没頭できる時間がリフレッシュになっていたんです。切り替えのスイッチというか。
それからできる範囲で料理を始めました。腸活とか発酵食品とかオーガニック食材とか、気になるキーワードを検索してレシピを考え、作るのが楽しかったんです。
卒業したらもっと丁寧に料理を続けていきたいなぁということは考えていたのですが、私は退団の東京公演までやりたいことが本当に見つからなくて。
力丸:目の前のことでいっぱいだもんね。
舞空:はい。趣味という趣味もないんですよ、私。「そろそろ次の道を決めないと」と思い、自分がやりたいことを改めて考えたときに浮かんだのが、栄養の勉強かなと。
せっかく勉強するなら栄養士の資格を取ることを目標にしようと思い、退団してすぐに。学びの道へ行くことを決心しました。
力丸:ちなみに芸能の道は考えなかったの?
舞空:自分の体で表現することは好きですし、なによりファンのみなさんが喜んでくださるなら何かの形でお届けしたいという気持ちはもちろんあるんです。
ただ、今はしっかり勉強して資格を取って、もっとパワーアップできるように自分磨きをしたいので、みなさん、少しだけ待っていてくださったらうれしいです…という感じです。