タカラジェンヌ人生より長いこれから。綺城さんと舞空さんが「学ぶ」道に進むことを決めたきっかけとは?
宝塚歌劇団を退団後に第2の人生を歩み始めた、元花組男役スターの綺城ひか理(あやき・ひかり)さんと元星組トップ娘役の舞空 瞳(まいそら・ひとみ)さん。おふたりは組替えにより花組と星組の舞台に立っていた同士であり、4月13日におこなわれる綺城さんのディナーショーに舞空さんがゲストで出演するという関係性。
実は『Oggi』専属読者モデル、オッジェンヌの力丸莉帆さんも、男役・桜舞しおん(おうま・しおん)として花組で活躍。そのためおふたりと縁が深く、今回はタカラジェンヌの退団後に今までとはまったく違う道を歩んだ先輩として対談が実現。前編では、花組時代の思い出から退団後の道を決めたきっかけを詳しくうかがいました。
力丸さんがインタビュアーだからこそ、信頼して深いお話をしてくれたおふたり。リアルなわちゃわちゃ感とともにお届けします。
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2組を経験したふたりが感じたことは「個々で自立する力のある花組、個性を認めつつ巻き込んでくれる星組」
力丸(以下敬称略):では、読んでいる方に私たちの関係性からお伝えしていきます。あかりちゃんこと綺城ひか理さん宝塚音楽学校で私が本科、あかりちゃんが予科という1期違い。花組時代はともに男役で、よく「顔が似ている」と言われていました。身長はあかりちゃんの方が全然大きいです。
ひとみちゃんこと舞空 瞳さんとは花組で2年くらいしかご一緒できなかったのですが、ひとみちゃんはその後星組に行ってトップ娘役になって…。
綺城さん(以下敬称略):思い出はたくさんありますよね。
舞空さん(以下敬称略):私は、組配属されて初めてお芝居をさせていただいたのが桜舞さん(力丸さんの芸名)なんです。『金色の砂漠』で。集合日に「よろしくお願いします」と挨拶をさせていただき、初めて話した上級生も桜舞さん。「他のみなさんにも一緒に挨拶に行こう」ってみなさんのところに連れて行ってくださったのを覚えています。
力丸:そっかー! あれが研1(入団1年目)だったんだね。
舞空:そうです、そのとき桜舞さんは長の期(入団7年目)で、すごく上級生でした。優しくしていただきました。
力丸:花組の男役は娘役さんに優しいのが伝統なんだよね、私は他の組は経験ないけれど…。
舞空:初めて花組生として舞台に出る初日にすごく緊張しちゃって、お芝居の中で私は薬を持って英真なおき(えま・なおき、専科男役)さんに渡さなければいけなかったのに忘れてしまったんです。それ以降、桜舞さんと舞台の袖で待機しているときに「薬持った?」と声をかけてくださいました。お世話になりました。

綺城:甘いな〜(笑)。
力丸:なんかうれしいな、そこからひとみちゃんは大活躍されてね。ふたりは花組のときは?
綺城:意外と絡みはなかったけど、小劇場は一緒のことが多かったかな。『ハンナのお花屋さん』とか『Senhor CRUZEIRO』とか。あと歌い継ぎもしたよね?
舞空:はい。新人公演でも少しご一緒させていただきました。
綺城:そうだ、『ポーの一族』の新公は娘みたいな役だったものね。
舞空:花組のときにすごく話していたというわけではなく、星組に行ってからの方が…、
綺城:たくさんお芝居したよね。星組のときは片思いが多かったね(笑)。なこちゃん(舞空さん)が先に星組にいっていたから、組替えしたときは本当に心強い存在でした。
力丸:そうだよね、安心感? ふたりは星組ではどんな感じだったの? すぐになじんだ?
綺城:なこちゃんは早かったんじゃない? 同期も多かったし。
舞空:そうですね。星組はみんなで作ることを大事にしているから、戸惑っていると「とにかくやってみよう!」と巻き込んでくださるのがありがたかったです。
力丸:星組はみなさん個性が強そうなイメージです。
綺城:そう、個性を認めてくれるのが星組で、そういう意味での懐の広さみたいのはあるかも。花組は統一美を大切にする意識が強いから、真逆の魅力なのかもしれないです。
余興とかもね。花組って面白くないとダメみたいなところあるじゃないですか。星組は、面白くなくても余興をやったというファイトに対する称賛がある(笑)。挑戦することが素晴らしい、みたいな。
舞空:役作りや芸事など何に対してもそうですよね。
綺城:「ナイスファイト!」ってね。やってみようぜ、みたいな感覚は大きいです。

舞空:おふたりの思い出も教えてください。音楽学校からのご縁ですよね?
綺城:「顔が似てる」とお客さまにも間違えられたりして。
力丸:身長は全然違うんだけど、アプリで顔交換しても同じなの(笑)。舞台上ではあまり絡みはなくて。あかりちゃんは真面目だから一緒にふざけたりもしなかったよね。
綺城:りほちゃんと一緒にふざけたら怒られるもん(笑)。
力丸:あかりちゃんと同期の子と私がふざけて注意されて、それにあかりちゃんがちょっと巻き込まれるんだよね。だから距離を置かれてた(笑)。
綺城:でも楽しいことは好きだから今日みたいな場では一緒にふざけちゃう。
力丸:組配属になってからの分担が一緒だったんだよね。真面目だし間違いは一切なかった。
綺城:そうそう、でも字が汚い。
力丸:全然間違ってないし、頑張ってるし、頭もいいけど…、
力丸・綺城:字が汚い(笑)。
