10年目を迎えるライフワーク「Jupiter 基金」
昨年、「Oggi Live」記念すべき第1回のゲストとして、美しくも力強い歌声を響かせてくださった平原綾香さん。そんな平原さんが「自身のライフワーク」と話すのが、「平原綾香 Jupiter 基金」です。2015年にスタートし、10年目を迎えたこの活動。今年もチャリティコンサート「My Best Friends Concert〜顔晴れ[がんばれ]こどもたち〜with Orchestra」を東京と福岡で開催。活動に込められた想いを、たっぷりと聞かせていただきました。
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誰かのためにがんばることが、心の支えになっている

──「Jupiter 基金」設立10年を迎える今、改めて活動への想いを教えてください。
毎年開催しているチャリティコンサートも、今年で第9回、第10回を迎えます。回を重ねるごとにたくさんの方に注目していただいている実感があって、とてもうれしいです。
支援させていただくのは、病気と闘う子供達もいれば、子供を亡くして悲しみの中にいる親御さんもいれば、さまざま。困難と向き合う人に「音楽ができうること」すべてを凝縮して届けていきたいです。
デビューから21年が経ちますが、Jupiter 基金は私にとってのライフワークになっています。誰かのためにがんばること、そのために毎年必ずチャリティコンサートを開催するんだ!という気持ちが、日々心の支えになっているんです。
──活動を振り返って、印象に残っていることはありますか。
すべてが印象に残っていて、これまで支援を行ったみなさんの現状は、今もチェックさせていただいています。「あの子供たちがこんなに大きくなったんだ」と、成長を見守るような気持ちです。
私は結婚をしていないし、子供もいません。母親でもない、きょうだいでもない…他人である私が、まるで家族のように想いを寄せられる子供たちがいる。そんなありがたい体験をさせていただいています。
これは本当に、私ひとりの力でできることではありません。活動の立ち上げ当初からずっと支えてくれているスタッフ、そしてJupiter 基金に賛同して、チャリティコンサートに足を運んでくださるお客さまがいるから活動を続けることができました。

──今年は東京公演に加えて、初の九州公演も開催されますね。
Jupiter 基金のコンサートって、本当にあたたかくて優しい雰囲気なんです。ぜひたくさんの人に体験していただきたいです! 同じ目的を持った人たちの心が集まると、こんなにもあったかいんだなと。その場にいるだけで、寂しい心が、傾いた心がなおっていくような…私自身もそんな気持ちになります。
──平原さん自身も、コンサートのあたたかい空気に力をもらっているんですね。
そうですね。ただ支援活動ですから、決して優しい時間ばかりではなく、悲しみに向き合う場面も多々あります。でも、だからこそ強く感じるのは、「想像を絶するような悲しみを経験したとしても、人は幸せになれるんだ」ということ。失ったものが大きいほど、痛みは癒えることはないけれど、こんなにもあたたかい空気を作ることもできる。悲しみを忘れないまま、幸せになることはできるんです。
コンサートに来てくださるお客さんたちは、人の心の痛みに寄り添える方々なのだと思います。その力がもっともっと大きくなって、世界中の悲しみをみんなで乗り越えていけるような、そんな基金になればうれしいです。
──支援先を固定せず、「その時に困っている人」に寄付をおこなうのがJupiter 基金の方針ですが、今年はダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)への支援が決定しました。支援先を決めるにあたって、どのような背景があったのでしょうか。
DIDは、真っ暗闇のなかを視覚障害者のアテンドで進んでいくアクティビティです。白杖を持った視覚障害者の方というと、「助けるべき存在」だと習ってきたし、私自身そう思っていたところがあります。ですが、暗闇の中で彼らが本当に頼もしくて! 私のほうが「助けてください」と震えていました(笑)。そんな私の手を「大丈夫ですよ」と握ってくださったときの手のあたたかさが忘れられません。「こんなふうに歩いてみて」と導いてくれる姿は、ヒーローのようでした。
DIDは学校教育用のプログラムも提供しています。内気な子が積極的になったり、いじめっ子だった子が自分より力の弱い子の手を引くようになったりと、体験した子供たちにはポジティブな変化がみられるそうです。ただ日本での認知度はまだ低く、その活動をぜひJupiter 基金で支援できたらと思いました。
──平原さんご自身は、どのようなきっかけでDIDと出会ったのですか?
実は、父(サックス奏者・平原まことさん)の命日である11月26日に、「一緒に行こう」と誘ってくれた方がいて、それがDIDとの初めての出会いでした。暗闇の中に身を置いて進んでいくと、不思議と父の存在を感じたんです。身体があたたかくなって、私の細胞ひとつひとつに父が生きている気がして。
暗闇は決して怖い場所ではなく、暗闇の中で目を閉じてしまうから怖いのだと気づきました。真っ暗の中でも目を開けて「見よう」とすると、心もフワっと開く瞬間があるんです。目を開けたまま、瞑想するイメージでしょうか。とてもいい体験をさせていただきました。
アーティストとミュージカル俳優、ふたつの顔をもつ平原さん。「どちらも大変で、どちらもとても有意義です」

──ここからは、平原さんご本人のことも深掘りできたらと思います。アーティストとしての平原さんと、ミュージカル俳優としての平原さんには、どんな違いがあると思いますか?
仕事に向かう姿勢はどちらも変わらないですが、細かく言うと、いろいろと違いはあります。
「アーティスト・平原綾香」はずっとひとりで活動してきたので、作品作りからレコーディング、プロデュースまで自分でしなければいけない。用意することがたくさんあります。一方、ミュージカルではすでにすばらしい作品がそこにある。さらに演出家や共演者がいて、「仲間がいる」と思うととても心強いんです。でもその分、仲間たちに迷惑をかけることはできないですよね。平原綾香ひとりだと、ある種気楽で腹をくくれます。
なので、どちらがより大変、ということもなくて、どちらも大変で、どちらもとても有意義です。でもミュージカルは、私にとって癒しの時間かもしれませんね。だって、違う誰かになれるんですよ! とっても楽しいです。日々いろんな「自分」と向き合っていると、やっぱり疲れてしまいますからね(笑)。
──10代からお仕事を始めて、現在40代の平原さん。身体の変化を感じやすい時期ですが、体調管理のためにどんなケアをしていますか?
やっぱり食事です。私が健康でいられるのは、母が作るおいしいオーガニック料理を小さなころから食べているおかげだと思います。結果、私の料理の腕がまったく上達しないというのが問題なのですが(笑)。母の料理で「味の英才教育」は受けてきたので、味付けだけはすごく自信があります!
もちろん、公演を休まないために薬に頼ることもあります。でも、体調管理には「おばあちゃんの知恵袋」のような昔から伝わるものがいちばんよかったりするんです。これも母が昔から作ってくれるのですが、レンコンをおろして生姜やお醤油を加えたものが喉のケアや風邪の引き始めにとてもよくて。あとはお番茶に梅干しと生姜を入れた「梅醤番茶」もおすすめです。
やっぱり体調は、崩す前に普段から気をつけるのが大切。働く女性は忙しいですから、大変ですよね。
──本当にそう思います。
私も、働く女性のみなさんに健康管理の方法を聞きたいぐらい。「身体を甘やかしすぎないほうがいい」と思ってあえてケアをあまりしないでいた時期もあったのですが、やっぱり甘やかしたほうがいいです(笑)。40代になると余計に感じます。Oggi読者のみなさんも、自分の身体を甘やかしてください! たっぷり睡眠をとって、しっかりお風呂であたたまりましょう。

──毎日を過ごす中で、「これだけは手放せない!」というアイテムはありますか?
歌手にとって乾燥は大敵なので、携帯用の吸入器は必須アイテムです。こうやって…(吸入器を実際に動かしてくださる平原さん)喉の薬剤をスチーム状にして、こまめに吸入しております。
──乾燥といえば、平原さんのツヤ肌がとてもきれいで…。どんなスキンケアをされているのか、気になります!
本当ですか!? やったぜ、もっと言ってください(と満面の笑みのかわいい平原さん)! 実を言うと、全然特別なケアをしていないんです。やっぱり肌も、食事が大切なんでしょうね。普段からオーガニックを意識しているからだと思います。
でもかつては、1日に必ず2回、化粧水をたっぷり含ませたコットンパックをしている24歳がいたんですよ…はい、私です。確かにあの頃は、びっくりするくらいの透明肌になりました。なんですが、今は一切やっていません(笑)。
──では最後に、今年のチャリティコンサート「My Best Friends Concert〜顔晴れ[がんばれ]こどもたち〜with Orchestra」への意気込みをお願いします。
私のライフワークである、このJupiter 基金コンサートをまた開催できる喜びとともに、みなさんに音楽を届けていきたいです。そしてDIDで私が出逢った感情を、コンサートでお客様にも共有できたら。音楽を耳で聴くだけでなく、目でも、香りでも楽しんで、「目を開けたまま瞑想する」ような感覚を体験してほしいです。
みなさんがコンサートを楽しむことが、子供たちへのエールになります。ぜひ、たくさんの人に来ていただけたらと思います!
撮影/眞板由起 取材・文/徳永留依子
「平原綾香 Jupiter 基金 My Best Friends Concert〜顔晴れ[がんばれ]こどもたち〜with Orchestra」
【第9回 東京公演】
日時:2025年04月30日(水)開場17:15開演18:00
会場:東京国際フォーラム ホールC
出演:ヴォーカル 平原綾香、指揮 渡辺俊幸、演奏 洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団
ドラム 則竹裕之、ピアノ 大貫祐一郎、ギター&チェロ 伊藤ハルトシ
チケット料金:全席指定:12,000円(税込)
公演のお問い合わせ:
HOT STUFF PROMOTION 050-5211-6077(平日12:00-18:00)
【第10回 九州公演】
日時:2025年6月28日(土) 開場17:15 開演18:00
会場;福岡県・久留米シティプラザ ・ザ・グランドホール
出演:ヴォーカル 平原綾香、指揮 渡辺俊幸、演奏 九州交響楽団
ドラム 則竹裕之、ピアノ 大貫祐一郎、ギター&チェロ 伊藤ハルトシ
チケット料金:全席指定:S席 12,000円(税込)/A席 11,000円(税込)
公演のお問い合わせ:
BS フジイベント event@bsfuji.co.jp
キョードー⻄日本 0570-09-2424(平日・土曜 11:00-15:00)
平原綾香 Jupiter 基金 公式サイト
ダイアログ・イン・ザ・ダーク 公式サイト
平原綾香
1984年東京生まれ。2003年にホルストの組曲『惑星』より、『木星』に日本語詞をつけた『Jupiter』でデビュー。2004年の日本レコード大賞新人賞や、2005年日本ゴールドディスク大賞特別賞をはじめ、様々な賞を獲得。 その後も、NHKトリノオリンピック放送テーマ・ソング『誓い』、ドラマ『風のガーデン』(フジテレビ系)主題歌『ノクターン』NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』主題歌『おひさま~大切なあなたへ』など、精力的に楽曲をリリース。2014年より、ミュージカル俳優としても活躍中。2024年からロングラン公演中の「平原綾香Concert Tour 2024-2025 ~The Swinging Classics! ~」は松任谷正隆氏との共同演出プロデュースにて開催。2025年は5月20日の東京・サントリーホールから再開される。