俳優・伊藤健太郎さんの仕事に対する考え方をネホハホ
フジテレビの動画配信サービスFODと、カンテレ・フジテレビで放送中の『未恋〜かくれぼっちたち〜』。仕事ができて優しくて、そしてイケメン。だけど、心の中に隠した本当の自分と真正面から向き合うことから逃げている男子が、タイプの真逆なふたりの女性の間で揺れ動く、全10話のドラマです。
主人公のマンガ編集者・高坂健斗を演じるのは伊藤健太郎さん。健斗も伊藤さんも20代後半。『Oggi』読者世代と重なる年齢です。今回は、健斗を演じることを通して伊藤さんが考える仕事との向き合い方をお届けします。
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伊藤健太郎 「久しぶりの会社員役で新鮮です」【ドラマ『未恋〜かくれぼっちたち〜』インタビュー】vol.1
演じる役の、台本に書かれていない人生を考えることが好き
――伊藤さんは、コミカルな役からシリアスな役まで幅広い役を演じられています。役作りや、演じるときに意識していることを教えてください。
伊藤さん(以下敬称略):たとえば殺人鬼を演じることになったとき、人を殺してしまう行為自体はどこまでいっても理解でしないし共感もできないのですが、なぜそういう経緯に至ったのかということに自分とつながれる部分があるかもしれない。セリフを言うことはできても、それで観ている方の心を動かせるかというと自分にはちょっと難しい。なので、時代や性別が違ったとしても自分がなにかしら共感できる部分をひとつでも多く探して、そこに感情を寄せることが大事だと考えています。
――共感できることを探すためには台本を読み込んだり?
伊藤:台本を読むことがいちばん大きいかもしれませんね。台本に書かれていないキャラクターのバックボーンなどを自分で補足することもありますし、キャラクターの生い立ちや性格まで詳しく書いてくださる監督がいらっしゃれば監督と深く話します。
たとえば台本に「26歳の会社員」とだけ書いてある登場人物がいたとします。台本上では26歳男性だけど、彼が生きてきた26年があり様々な出来事があるわけです。台本の最初の1ページの前に何百ページもの人生がある。そこを自分で考える作業がとても好きですね。
――そこから役作りが始まるわけですか?
伊藤:そこからヒントを見つけ出して、監督とその部分の意思疎通をして…ということをします。役をガチガチに固めていくタイプではないんですけど、その役を理解するという意味でやっていることです。
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――キャラクター自体の想像を膨らませて、ご自身で生を吹き込む感じですか?
伊藤:そうですね。その役自身に血を通わせるというか。原作がある作品の実写化なら、いろいろ検索して調べればキャラクター自体のストーリーがわかるので理解しやすいのですが、完全オリジナルキャラクターだとわりと無限に作れるんですよ。それを考えるのがすごく楽しい。もちろん難しくもありますが。
――伊藤さん演じる健斗はマンガ編集者ということで、伊藤さんご自身が最近読まれたマンガはありますか?
伊藤:僕、マンガすごく好きなんですよ。今、とても面白いのは『怪獣8号』。怪獣に襲われるのが日常になっている世界で、怪獣を倒す防衛隊に入るために試験を受け続けている主人公がいるのですが、あるとき怪獣に寄生されて怪獣と人間のハイブリッドみたいになり力を発揮するようになります。だけど、怪獣であることが人間にバレたらまずいから…みたいな、男の子が好きなマンガですね。アニメ化もされています。
ぶつかれる壁があるのはうれしいこと。ポジティブに考えて推進力に変えていきます
――クリエイティブな仕事なので壁にぶつかることもあると思います。そんなときはどうやって乗り越えていますか?
伊藤:壁にぶつかれるのはうれしいことだなと思います。これは僕の考えですが、壁にぶつかっているということは、その仕事に真正面から真剣に向き合えていることだと思うんです。自分が今やらなければいけないことに、向き合えば向き合うほど壁は生まれてくると思うので。
俳優という仕事は本当に終わりがなくて、追求すればするほど深くなるもの。そういう状況で壁にぶつかれるっていいことなんだと思うようにしています。
もちろん落ち込んだりします。「あそこはもうちょっとこうした方がよかったな」とか、どんな作品をやっているときも1回は絶対にあるから。それをパワーに変えられるように、ポジティブに変換しますね。
――乗り越えるというか、一度受け入れて前を向く力に変えるわけですね。壁とまでいかなくても、煮詰まってしまったときやストレスを感じるときはどう対処していますか?
伊藤:叫ぶ(笑)。湯船に潜って大きい声を出します。極限まで潜ってもう頭に酸素がいかないってくらい我慢すると、ぐちゃぐちゃ考えることもなくてスッキリ。「なにやっているんだろう、もういいや」って気持ちになります。パワープレイですね(笑)。
あとはサーフィンが趣味なので、自然に触れてリフレッシュしています。日常と離れた場所で、気持ちが解放される感じ。サーフィンは10代後半から始めたのですごく上手なわけではないですが、波に乗ることが楽しくて最高ですね。
――サーフィンは日焼けをしそうなイメージですが、伊藤さんのお肌はキレイですよね。なにかお手入れされているんですか?
伊藤:風呂上がりに化粧水と乳液を塗っている程度です。あまりストレスを溜め込まないようにしているのが大きいかもしれないですね。寝ればリセットされる性格なので(笑)。
生活は規則正しいかもしれないです。休みの日でも早めに起きて体を動かし、朝ごはんは、白米、納豆、あと魚を焼くことが多いです。それが体のメンテナンスにもつながっているのかな。作品に向けて体を作るためにも、きちんと食事をとることも大事だと考えています。
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新年の目標は立てない! 今、目の前にあることに真摯に取り組んでいく
――ドラマが始まる2025年は、どんな年にしたいですか?
伊藤:自分の中で特別な目標を立てないようにしているんです。立てちゃうと、それに合わせてしまうような気がして…。毎年同じことになりますが、そのとき取り組んでいる作品や翌日の現場のような直近の身近な仕事を、ひとつひとつ丁寧にやり遂げることを大切にしたいです。次につながるような1日1日を過ごしていきたいですね。
――最後に、ドラマを楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
伊藤:『未恋〜かくれぼっちたち〜』は深夜帯に放送されるドラマです。共感できてどこか温かい気持ちになるような内容なので、木曜日の夜に観ていただいてほっこりした気持ちで布団に入っていただければと思います。お楽しみに!
ドラマ『未恋~かくれぼっちたち~』
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(C)カンテレ
【配信】
2025年1月9日(木)よりFODにて配信開始
【放送】
2025年1月9日(木)よりカンテレ・フジテレビにて放送開始
カンテレ 毎週木曜 24:25~24:55
フジテレビ 毎週木曜 26:25~26:55
伊藤健太郎(いとう・けんたろう)
1997年6月30日生まれ、東京都出身。2014年にドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』でデビュー。数多くのドラマや映画で活躍。2023年には映画『静かなるドン』に主演。『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』で日本アカデミー賞主演助演男優賞を受賞。NHK大河ドラマ『光る君へ』の出演でも話題を呼んだ。
撮影/黒石あみ 構成・文/斉藤裕子