言葉とは、歴史である。
突然ですが、どうしてケチのことをケチと言うかご存じですか?
…… そう言われると、うっと言葉に詰まらないでしょうか。
ケチって漢字でどう書くっけ? え、そもそも日本語?
当たり前のように使っているのに、本質的な意味を聞かれると答えられない。
だから、言葉は歴史。「人の営みの歴史そのもの」なのです。
…… そう語るのは、言葉の起源や歴史をキュートなおネコさまの(たまに他の生きものたちも)写真とともに紹介する書籍、『この日本語、どこからきたニャン? 語源図鑑』の著者でもある、猫野シモベさん。
何気なく使っている言葉も、その起源をたどると「え、そんな意味だったの!?」と驚くものも!
そこで、本書より気になるあの言葉の起源や歴史を解説! 書籍より一部引用・再編集してお届けします。
調べたことなかったけどいつもそこにある言葉、「イライラ・ムカつく」
▲画像/書籍より
意味:不快なことがあって腹が立つ
用例「ムカつく野郎だ。表へ出な」
イライラするわぁ…… と、あった出来事を思い出してまたイライラする。無間地獄である。
そんなイライラ。実は、鎌倉時代(13世紀)から使われている言葉だ。
ただし、当時は意味がちょっと違う。この「いら」とは何かというと、「トゲ」のことだ。
だから、もとは「トゲのある植物」などを表現する言葉だったが、「トゲに刺された痛み」や「トゲが刺さったような精神的なダメージ」のことも言うようになった。
一方、似た言葉のムカつく。
「むか」は、「胃がムカムカする」と今でも言うように、不快感をあらわすオノマトペ。
転じて、「怒りたくなるような不快感」を「むかつく」と言うようになった。実は江戸時代から使われている。
「腹が立つ」はさらに古く、平安時代からある表現。
「腹を据える」「腹を切る」などのように、感情や生命に直結する場所として腹は使われてきた。
ちなみに、「腹を切る」には、もとは「笑い転げる」という意味もあった。
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TOP画像/(c)Adobe Stock
『この日本語、どこからきたニャン? 語源図鑑』(猫野シモベ/サンクチュアリ出版)
ニャるほど!言葉って人間の歴史だったのか!
「やばい」「あざとい」「めちゃくちゃ」「お疲れ」「ピンキリ」…… などなど普段なにげなく使っている言葉の語源が、かわいい猫の写真といっしょに、癒されながらまるわかり!
日本語の奥深さを味わいつくせる1冊です。
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