二人の共通点は「観葉植物が好きなところ」
──まだ作品の内容は明かされていませんが(7/24取材時点)、本作の演出を担当する赤堀雅秋さんとはすでにお会いになりましたか?お二人の赤堀さんに対する印象もぜひお聞かせください。
間宮さん(以下敬称略):赤堀さんが台本を書かれる前のタイミングで、食事の場を設けてくださったんです。その時に赤堀さんから受けた印象は“嘘がない人”です。だからこそ、赤堀さんの言葉がスッと入ってくるし、ストレートな会話ができるのではないかと思います。
森田さん(以下敬称略):僕は初対面の時に、「赤堀さんが書かれた作品に登場する人物そのまんまの人」という印象を受けました。うまく言えないのですが、赤堀さんの作品から希望を感じることがあって、会った瞬間に「あ、俺…生きてていいんだな」って思えたんです。一緒にいて妙な安心感があるし、不思議な方だなという印象です。
──どのような役柄か、少し教えていただけると嬉しいです。
間宮:大枠の設定は教えていただきました。僕は、生まれ育った町から出て東京に行きたいと思っている男で、でも上京して何かを始める勇気も気力も持っていないダメな奴。ただただ現状がぶっ壊れないかと、大きな事件が起きるのを待っているような人物だと聞きました。
森田:僕は、間宮くんが演じる男の義理の兄で、性格は「クズで女ったらし」だそうです(笑)。赤堀さんから聞いた設定で気になったのは、義理の弟からお金を借りているということ。それも、2万という微妙な金額らしく(笑)。
間宮:2万って確かに微妙な金額ですよね(笑)。
森田:でも、この2万がデカいんじゃないかなと思います。弟に何かを握られている感じがするというか。まだまだ変わる可能性はありますけど、そういった細かい設定も含めてどんな役になるのか楽しみです。
──先ほど森田さんは「赤堀さんの作品から希望を感じる」とおっしゃいましたが、どういう部分でそう思われたのでしょうか。
森田:わかりやすく言うと、クズ人間が出てくるところです。クズな部分は僕の中にもあるし、誰にでもあると思うので、クズ人間が登場するとすごく人間味を感じるというか、妙な安心感を抱くんです。クズって悪い印象の方が強いかもしれないけど、赤堀さんの作品のクズ人間たちはどこかチャーミング。そこも魅力だと思います。
──間宮さんは赤堀さんのこれまでの作品をご覧になってどんなことを感じましたか?
間宮:作品で描かれることは必ずしもポジティブなことばかりではないのですが、鑑賞中や鑑賞後に不思議と“俺って偉いじゃん”っていう気持ちになれるんです。森田さんがおっしゃった「生きてていいんだ」じゃないですけど、登場人物それぞれがいろんな問題を抱えながら必死に生きていて、その姿を見ていると不思議とポジティブな感情になるというか、良い影響を受ける気がするんです。不思議ですよね。
──お二人は初共演になりますが、お互いにどんな印象を持っていましたか?
間宮:俳優としての剛さんは、底が見えない得体の知れない怖さがあって、剛さんのお芝居を観ているうちにどんどん引き込まれるんです。そこもすごく好きなので、今回ご一緒できると知った時はすごくうれしかったです。あとお会いする前は、剛さんは寡黙であまり話さない方だと聞いていたんです。でも、この間の食事会で全然話してくださるから、聞いていた印象と違うと思っていました(笑)。
森田:あははは! 僕は間宮くんと会う前はもっと緊張するかなと思っていたんだよね。
間宮:僕に対してですか?
森田:うん、初めて会うから。だけどいざ会ってみたらそんな緊張を取っ払ってくれたというか、不思議と初めてじゃない感じがしたんです。だからたくさん話せたのかもしれないですね。会った時の印象としては、新しい感じもするし、懐かしい感じもして、すごく独特な空気感を放つおもしろい人だと感じました。稽古が始まったらもっと交流が深まるんじゃないかなと思います。
──食事会ではどんなことをお話しされましたか?
間宮:自宅で育てている観葉植物の話をして盛り上がりました。さっきも「最近は豪雨が続いて湿度がすごいですよね。気温も高いからお水をあげすぎたせいか、植物の葉からちっちゃいキノコが生えちゃいました」って話をして(笑)。
森田:その時に“もうちょっと植物に風を当ててほしいな”と思ったんですけど言えずにいて。だから今言いました(笑)。間宮くんは植物にすごく詳しいから、これからも情報交換できればいいなと思います。
──間宮さんから森田さんに事前に聞いておきたいことはありますか?
間宮:本番前にウォーミングアップはたくさんしますか?
森田:しない。間宮くんは?
間宮:僕もあんまりやらないので、先輩が1時間半前とか2時間前とかに劇場に入ってウォーミングアップをしていると“ヤバい…”って焦ります(苦笑)。
森田:めちゃくちゃ発声する人もいるよね。
間宮:それを聞いておいてよかったです…って言うのもおかしいけどホッとしました(笑)。剛さんがウォーミングアップや発声をしっかりやるタイプで、僕のことを“こいつやってないな”って思わないか心配だったので、事前に確認できてよかったです(笑)。
──主演のお二人の他に赤堀さん、秋山菜津子さん、伊原六花さん、木村多江さん、駒木根隆介さん、佐藤B作さん、藤井隆さん(五十音順)が出演されますが、特に共演を楽しみにしている方はどなたでしょうか。
森田:僕は初めましての方が多いのでみなさん楽しみですけど…佐藤B作さんは早くお会いしてみたいです。
──森田さんは映画『ヒメアノ~ル』で駒木根さんと共演されていましたね。
森田:そうですね、久々の共演になるので楽しみです。
間宮:僕もドラマ「べしゃり暮らし」で駒木根さんご一緒したことがあって、今回久々にお会いするので楽しみです。あと、赤堀さんから伊原さんが妹役だと聞いていて、僕の役が妹の置かれている状況に嫉妬していると聞いたので、どんな感じになるのか稽古が始まるのが待ち遠しいです。
食事会で意気投合したという森田さんと間宮さん、その相性はまさに抜群。撮影中も、すでに阿吽の呼吸でスムーズに進行。このお二人の共演から生まれるケミストリーに、大いに期待が高まります。インタビューvol.2では、困難を乗り越え方なども伺っています。お楽しみに!
Profile
森田剛
1979年2月20日生まれ、埼玉県出身。2021年にMOSSを立ち上げ、短編映画『DEATH DAYS』(21・22)の企画制作・主演を手掛けるなど、俳優として活動の幅を広げている。近年の主な出演作に【舞台】『空ばかり見ていた』(19)、『FORTUNE』(20)、『みんな我が子』(22)、『ロスメルスホルム』(23)、【ドラマ】『インフォーマ』(23・KTV)、『アナウンサーたちの戦争』(23・NHK)、『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』(23・Disney+)、【映画】『ヒメアノ~ル』(16)、『前科者』(22)、『白鍵と黒鍵の間に』(23)などがある。映画『雨の中の慾情』が2024年11月29日に公開予定。
間宮祥太朗
1993年6月11日生まれ、神奈川県出身。2008年ドラマ『スクラップ・ティーチャー〜教師再生〜』で俳優デビュー。以降、映画・舞台・ドラマなどで広く活躍。近年の主な出演作に【舞台】『ナイスガイinニューヨーク』(16)、『ツダマンの世界』(22)、【ドラマ】『ACMA:GAME アクマゲーム』(24・NTV)、『真夏のシンデレラ』(23・CX)、『ナンバMG5』(22・CX)、【映画】「殺さない彼と死なない彼女」(19)、『破戒』(22)、『東京リベンジャーズ』シリーズ(21、23)、『変な家』『ある閉ざされた雪の山荘で』(24)など。『劇場版 ACMA:GAME 最後の鍵』が2024年10月25日に公開予定。
【作品情報】
Bunkamura Production 2024 『台風23号』
森田剛×間宮祥太朗が初共演にしてW主演! 木村多江、藤井隆、伊原六花、駒木根隆介、秋山菜津子、佐藤B作と豪華キャストが集結!台風が迫るとある町を舞台に、そこに生きる市井の人々の姿が描かれる。
作・演出:赤堀雅秋
出演:森田剛、間宮祥太朗
木村多江、藤井隆、伊原六花、駒木根隆介、赤堀雅秋
秋山菜津子、佐藤B作
2024年10月5日(土)〜27日(日)
東京都 THEATER MILANO-Za
11月1日(金)~4日(月・振休)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
11月8日(金)・9日(土)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
撮影/天日恵美子 スタイリスト/【森田さん】松川 総、【間宮さん】津野真吾(impiger) ヘアメイク/【森田さん】TAKAI、【間宮さん】三宅 茜 取材・文/奥村百恵
衣装クレジット
【森田さん】スタイリスト私物 【間宮さん】ジャケット¥262,900、パンツ¥141,900、シューズ 参考商品(全てエトロ/エトロ ジャパン ☎︎03-3406-2655 )、その他スタイリスト私物