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LIFESTYLE

2024.07.27

俳優・赤楚衛二さんインタビュー「理想は、大きな優しさを持ちながら、その芯に確固たる“強さ”をもった自分」

今年30歳を迎えて、優しさの上に精悍さや強さをまとうようになった赤楚衛二さん。そこに至るまでには、牙を折られたりしながらも、自分をとことん見つめ、考え、走り続けてきた過程があった。受け身にならず、能動的に、そして自分を信じて。それは現代人に必要な生き方の知恵でもありました。

考えること、進むことから逃げないで暗闇をがむしゃらに走り抜く。〝優しさ〟から学んだ僕の闘い方

満たされない気持ちが僕に力を与えてくれました

「小さいときから、何かに牙をむいたり、争ったり、ということなく育ってきました。よく言えば“優しい”のかもしれないけれど、それだけでいいのか、という思いもあります。仕事を始めたころは、うまくいかないときほど、とんがりたくてイキがったりしてはみたけれど…。頑張ってやってみたところで、周囲に怖さや敵対心を感じて、牙を折られ、丸く優しくならざるを得なかった、というのも事実です。

そして、俳優になって9年たった今。優しさの上に、男っぽい振る舞いやかっこよさを、どうやったら見せられるのか、答えを探す日々にぶつかりました。僕に足りないのは圧倒的存在感。こればかりは、人生経験を積むしかないのですが――」

モノクロの赤楚衛二さん

これまでに何度も仕事上の難題に立ち向かってきた赤楚さんだが、今回は過去にない「大きな壁」だったと言う。それは、出演映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』の坂本龍馬役でのこと。ここで目指したのは、「時代を動かす豪快さ」だった。

「僕の場合、顔に丸みがあると幼く見えて、強さがなくなってしまいます。そこで、1日3回だった食事を1日1食に。そもそも龍馬の時代は食べ物が豊かな時代ではなかっただろうから、1食くらいでちょうどいいのかもしれません。すると、“飢え”が思わぬエネルギーになるとわかりました。ヒゲを生やしたりウィッグに頼ったりもしたけれど、“飢え”そして“満たされない気持ち”が、僕の目に力を与えてくれました」

赤楚衛二さん

役のために落とした体重は6㎏。人気が急騰したこの数年は、出演作品が途切れることなく続いていたので、役づくりはいつも時間との闘いだ。そんな中で、「やれるところまでやった」と言い切れる貴重な体験だった。

「僕のやり方は、たとえ出口が見えなくても、がむしゃらにやってみること。考えをやめることなく、できる闘いは全部やって、とにかく突き進む。ずっと、そうやってきたし、それしかできないのだと思います」

ピラティスを始めて立ち姿をかっこよく

映画『もしも徳川家康が〜』は、AIの力で現代に甦った偉人たちによる内閣の活躍を描いた物語。徳川家康(総理大臣)、豊臣秀吉(財務大臣)、織田信長(経済産業大臣)などが内閣を形成する中で、中立にメディア対応する官房長官に坂本龍馬が抜擢される。荒ぶる内閣の面々を、あるときは銃声で、あるときは大声で、場を制したりもするが、根底は落ち着きと優しさのある、現代人との架け橋となる存在である。

「“緊張しないこと”が僕の強みなのに、歴史上の偉人を演じる先輩俳優陣のオーラには気圧されそうになって。ぐーっと内から力を込めて、やってやるぞ、と心の奥で叫び続けていました。

この映画で改めてわかったのは、龍馬をはじめ偉人たちの強い生き方が、現代の僕たちに多くのことを教えてくれるということです。ふだん半径5mほどの狭い視野で自分中心に生きている僕らに、それじゃいけないと言っているような気もします。と同時に、あふれる情報に流されず、受け身にならず、能動的に生きるべきだとも。その大切さに気づくことさえできれば、きっと自分の中に何かしらの変化は起こるはず。まずは、ひとりひとりが気づけるアンテナを持つことから、なのだと思います」

カメラを見据えた赤楚衛二さん

その気づきは、そのまま「働く女性への応援」として受け取ることもできる。

「人任せにせず、自分に期待を。自分を信じる力こそが、これからの時代に必要なことではないでしょうか。僕はといえば、まだまだです。演技の場では、先輩方の技術やアドバイスを咀嚼して、体に染み込ませ、武器にしていきたい。この武器を30代のうちにもっと自分のものにできたら、自分を信じてかっこいい大人になれるんじゃないか。理想は、大きな優しさを持ちながら、その芯に確固たる“強さ”をもった自分です。

そのためには、体づくりも大事な要素。今年からもずく酢を食べ始めました。もうちょっとマッチョになりたいけれど、まずはピラティスから始めて、立ち姿だけでもかっこよくいられるように。筋トレは…まだこれからです(笑)。でも、できないこともありのまま受け入れれば、理想と現実のギャップに落ち込むことはありません。できないなら、これまでどおり模索しながら進んでいけばいい。そんな闘い方が、僕には合っているんだと思います」

体を横に向けた赤楚衛二さん

2024年Oggi8月号「この人に今、これが聞きたい!」より
撮影/黒沼 諭(aosora) スタイリスト/壽村太一 ヘア&メイク/廣瀬瑠美 構成/南 ゆかり
再構成/Oggi.jp編集部

もしも徳川家康が総理大臣になったらのポスター
Ⓒ2024「もしも徳川家康が総理大臣になったら」製作委員会

映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』
2020年、総理大臣が急死した日本の内閣を救うため、AI・ホログラムにより歴史上の偉人たちが復活。総理大臣は徳川家康(野村萬斎)、官房長官に坂本龍馬(赤楚衛二)ほか、織田信長(GACKT)、豊臣秀吉(竹中直人)などが大活躍。新人記者・西村理沙(浜辺美波)がスクープを狙って龍馬に近づくが…。監督:武内英樹 7月26日公開

ジャケット¥64,900・シャツ¥24,200・パンツ¥33,000(ラッド ミュージシャン 原宿〈ラッド ミュージシャン〉) その他/スタイリスト私物

Profile
あかそ・えいじ/1994年生まれ、愛知県出身。2017年、『仮面ライダービルド』で注目を集める。2020年『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』でドラマ単独初主演。近年の代表作に『こっち向いてよ向井くん』『Re:リベンジ-欲望の果てに-』などがある。7月26日公開映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』に続き、11月22日公開映画『六人の嘘つきな大学生』にも出演する。

●この特集で使用した商品の価格はすべて、税込価格です。
商品についての問い合わせ先はこちらのページにあります。

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
【消費税の価格表記について】 記事内の価格は基本的に総額(税込)表記です。2021年4月以前の記事に関しては税抜表記の場合もあります。

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