俳優・中島 歩さんインタビュー
生意気と言われても、図々しくても。夢に近づくために「続ける」チカラ

《Profile》なかじま・あゆむ/1988年生まれ、宮城県出身。日本大学藝術学部在学中にモデルを始める。大学卒業後、アルバイトをしながらオーディションを受け、美輪明宏演出の舞台『黒蜥蜴』(2013年)に出演。その後の代表作に、映画『いとみち』『ナミビアの砂漠』『敵』『佐藤さんと佐藤さん』、ドラマ『不適切にもほどがある!』『海のはじまり』『愛の、がっこう。』、連続テレビ小説『花子とアン』『あんぱん』、大河ドラマ『青天を衝け』『豊臣兄弟!』(2026年1月~)、Netflixシリーズ『イクサガミ』など。
すぐに売れてスターになれると思っていました
大ヒットドラマ『不適切にもほどがある!』ではキヨシの担任。朝ドラ『あんぱん』の次郎さん、そして『愛の、がっこう。』の川原さん…。あちこちで、「なんだか気になる存在」が、中島 歩さんだ。2024~2025年のドラマ・映画出演数は計24本(配信を含む)。そして2026年新年早々、主演ドラマ、大河ドラマ出演が控えている。ただいま、37歳。「遅咲き」と言われることは多いが、自身が考えていたキャリアプランとは、ずいぶん違っていたようで…。

「履歴書と写真を持ってモデル事務所のドアを叩いた大学生時代、そして舞台『黒蜥蜴』でデビューした20代。すぐに売れてスターになって、お金持ちになって… なんて想像していました。その実、簡単に実現したら大したことないな、とも思ったり。自信があったわけじゃあないんです。周りの俳優たちは10代から始めている人が多く、僕は完全に出遅れ。どこの現場に行っても不安だし、モジモジしていたし、思っていることが何もできなかった。もっと訓練をしなくては、と好きな劇団に出入りして芝居の基本を学んだり、ワークショップに参加したりするようになりました。映画も舞台も、たくさん観ましたね。それでも30歳になるというのにお金が稼げているわけでもなく。かといって就職する気もない。僕、ちょっと理屈っぽいところがあるんですが、そのころ習った、アメリカの演技スタジオのメソッドがロジカルで、すごく性に合っていた。その方法で芝居をするようになってから、仕事が増えていきました。
だから、僕の20代は『できないことを知る』時間。そして30代が『勉強してきたことを生かす』とき。ただ、僕はガンガン遠慮なくいくから、周囲とケンカしたり、生意気呼ばわりされたりして。映画の打ち上げで監督から説教されていたこともありました。でも、いいんです。図々しいくらいでないと、勝てないですから」

深夜のラーメンと菓子パンでカロリー摂取
その後の活躍については、「記憶にないほどの忙しさとスピードだった」と中島さんは振り返る。
「それでもうれしいから、期待に応えたくてがんばる。でも、もともと体力も免疫力もないから疲れるしすぐに風邪をひいちゃう。それで2年前にホットヨガを始めました。ずいぶん体調はよくなり、肌トラブルも減りましたけど、今はアクションで体がぼろぼろです。あれは、さすがにヤバかったなぁ」
楽しそうに振り返るのは、初主演ドラマ『俺たちバッドバーバーズ』の撮影について。中島さんは、カリスマの夢破れた元美容師で今はレトロな理容室で働く日暮を演じている。ちょっと情けないけど弱い者の味方・日暮に、ホロリとさせられたり、スカッとしたり。
「特徴的なヘアスタイルも僕から提案して、日暮の着ている服もほとんどが自前。でき上がったものを観ると、キモーいと思います(笑)。自由で、バカげていて、楽しくて。子供のころ、全力でごっこ遊びをしていたときの感覚そのまま。今の僕にとって最高の舞台です。このご時世、大きな声で叫ぶことすらなくなってきて、でもこのドラマを観て、こんなに自由でいいんだ、と感じてもらえたら。
撮影期間中の僕の心配は、体重が減ってしまうこと。やせると老けて見えるから、深夜のラーメンと菓子パンでカロリー摂取してます。美容には疎いので、化粧水をつけるだけ。ホットヨガは忙しくて行けてないですけど、起きたら布団の上でストレッチして、ヨガのポーズをしてます」

〝最高の舞台〟を長い時間かけて自分の力で獲得した中島さん。2026年も出演作が目白押し。人気者になった今でも、「自分から」「図々しくいく」スタイルは根底にある。
「30代からは能動的に、自分の意思で、やれることが増えるとき。それでも、世の中には夢を実現していない人があふれていて、切ないし、イヤなこともいっぱいある。僕から言えるのは、それでも継続するしかない、ということです。夢を実現するのに、『これをやったからOK』というものはなくて、実現するまで続けていくしかないんだと思います。だから僕も、今やっていることを飽きずに、ワクワクしながら、続けます。まぁ、俳優ごときが何を言っているんだって、言われそうですけど(笑)」
未来に〝不安〟を感じるのはだれでも同じ。それでも図々しいまでに求め続けた先で、ようやく希望が叶う。中島さんのキャリアが、それを証明している。
さて、ドラマ『俺たちバッドバーバーズ』だが、ここでは日暮たちが300万円をもらって依頼人のどんな希望も叶える。では、もし中島さんが300万円で何か依頼するなら…?
「この世の〝不安〟を全部取り除いてほしいですけど、300万円では足りないなぁ。あ、車が古くて揺れるので、修理したいです。いい感じにね」
テレ東系 ドラマ25『俺たちバッドバーバーズ』

舞台は田舎町の理容室。店主の月白(草川拓弥)は理容師でありながら、300万円で依頼人の乱れた人生を整え、髪を切る裏用師(リヨウシ)。ワケあって住み込みで働く日暮(中島 歩)とのバディライフは、笑って泣けて、1週間の疲れが吹き飛ぶ! 2026年1月9日放送開始 (毎週金曜深夜24時42分~・テレ東系)
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2026年Oggi2月号「この人に今、これが聞きたい!」より
撮影/土屋文護(TRON) スタイリスト/上野健太郎 ヘア&メイク/AMANO 撮影協力/バックグラウンズファクトリー 構成/南 ゆかり
再構成/Oggi.jp編集部
Oggi編集部
「Oggi」は1992年(平成4年)8月、「グローバルキャリアのライフスタイル・ファッション誌」として小学館より創刊。現在は、ファッション・美容からビジネス&ライフスタイルテーマまで、ワーキングウーマンの役に立つあらゆるトピックを扱う。ファッションのテイストはシンプルなアイテムをベースにした、仕事の場にふさわしい知性と品格のあるスタイルが提案が得意。WEBメディアでも、アラサー世代のキャリアアップや仕事での自己実現、おしゃれ、美容、知識、健康、結婚と幅広いテーマを取材し、「今日(=Oggi)」をよりおしゃれに美しく輝くための、リアルで質の高いコンテンツを発信中。
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