「人間関係のモヤモヤ」が愛おしさに変わる魔法の視点
ふとしたときに感じる「モヤモヤ」とした気持ち、皆さんはどう向き合っていますか? そんな心の曇りをスッと晴らしてくれる素敵な一冊『モヤモヤをなくせばうまくいく ~マウント社会をこう生き抜け~(著:勝木健太)』を読んだ感想を綴ります。
この本の帯には「人間関係のモヤモヤが9割消える」と書かれているのですが、読み終えた今、その言葉の意味がとても腑に落ちています。
共感あふれるケーススタディ
この本でまず新鮮だったのが、第1章がまるごと読者からのリアルな相談に基づいたケーススタディになっている点です。特にアラサー世代の方なら思わず頷いてしまうような、職場や婚活、自立をめぐる葛藤がランキング形式でずらりと並んでいます。
中には『「努力すればするほど結婚から遠ざかってしまう女性」と「なぜかモテる男性」へのモヤモヤ』といった、少し耳が痛いけれど興味深いエピソードもありました。
こうしたひとつひとつの悩みに対して、著者の解説が驚くほど温かく書かれています。「モヤモヤするのは迷っているからではなく、真っすぐで真剣な意思があるからなんだ」という言葉。これには、私自身も「あ、今のままでいいんだ」と心を解きほぐされるような感覚になりました。
また、育休や夫婦関係、お子さんの受験にまつわる悩みなど、自分とはまだ縁のないライフステージの話もありましたが、それもまた「人生の先々にはこんな景色が待っているんだな」と、さまざまな立場の、さまざまなライフステージの人が感じる悩みを知ることで、想像力を鍛える栄養になったと思います。

「マウンティング」の裏側にある、切ないほどの人間らしさ
第2章に入ると、話は少し核心に迫ります。この「モヤモヤ」の正体は、実は「マウント」にあるというのです。
「マウント」と聞くと、相手を攻撃するような少しトゲのある言葉に聞こえますよね。でも著者は、それを「人間が太古の昔から持っている生存本能」だと説いています。
誰かにマウントを取ってしまうのは「私はここにいていいんだ」「ちゃんとやれている」と確かめたいという、不安の裏返し。つまり、自分自身の居場所を必死に守ろうとする「小さな自己認識の儀式」のようなものなのです。
そう捉え直してみると、今まで「嫌だな」と感じていた相手の言動も、なんだか愛すべき人間の心理に思えてきませんか?「この人も、ちょっと不安なのかな」「大丈夫って自分に言い聞かせたいんだな」と感じるだけで、尖っていた感情が丸くなっていくのがわかりました。
SNSのタイムラインが「愛おしい場所」に変わる
この本を読んでから、私の日常の視点も少し変わりました。自分のSNSへの投稿を振り返ってみて「あ、これも無意識のマウントだったかもしれない」と気づいて苦笑いしたり、少し投稿を控えようかなと思ったり。
それ以上に変化があったのは、タイムラインに流れてくる他人の投稿を見たときです。これまでは無意識にモヤッとしていたキラキラした投稿も「この人はここを大切にしたいんだな」「これを幸せだと信じたいんだな」と、一歩引いて俯瞰できるようになったんです。
相手の立場を客観的に察することで、不思議とニヤニヤしてしまうというか、微笑ましい気持ちで見守れるようになりました。

おわりに:視点が変われば、世界はもっと優しくなる
この本の効能は、モヤモヤそのものを無理に消し去ることではありません。それよりも、自分や他人の「人間らしさ」を客観的に見渡せるようになることにあると感じました。
マウントを受けてモヤモヤする側から、それを「人間らしい習性だな」と俯瞰できる側へ。その視点の切り替えこそが、人間関係や、自分が感じてしまうストレスを楽にする最大の鍵なのかもしれません。
毎日を一生懸命生きているからこそ生まれる「モヤモヤ」。それを否定するのではなく、優しく見つめ直したいときに、ぜひ手に取ってほしい一冊です。

オッジェンヌ 大枝千鶴
2015年からOggi読者モデル「オッジェンヌ」として活動。営業職という仕事柄、通勤服は好感度が最重要事項。最先端のIT企業で働きながらも歌舞伎と着物が大好きという古風な趣味をもつ。一級きもの講師。Instagramアカウントはこちら:@chizuru_oeda



