社会を取り巻く環境は目まぐるしく変化していて、これから先、私たちの暮らしはどうなってしまうんだろう…… と、不安を感じている人も多いはず。
そこで、ジャーナリスト・池上彰氏の新著『池上彰の未来予測 After 2040』から、今からどのように行動していけばいいのかについてのヒントを探ります。
書籍より一部引用・再編集し、生成AI、仕事、物価、退職金、年金…… など、気になるトピックスについて、全7回の連載形式で解説。
前回の記事>>将来、本当に年金はもらえる…? 池上彰氏が解説します!
年金保険料を払わない人は損をしている
「年金をもらえないかもしれないんだから、年金保険料を納めない」と主張する若い人もいます。
しかしこれは間違いです。理由は3つあります。
1つ目は、「年金は世代間の仕送り」という仕組みであり、自分がもらえないかもしれないから払わないというのは、きわめて近視眼的で自己中心的な考え方だからです。
年金はあくまで社会保障の一環です。働いている若い人たちが税金を納め、国がそのお金を社会保障として、これまでの日本社会をつくってくれた高齢者に「世代間の仕送り」として渡しているのです。
年金などの社会保障はそもそもそういう仕組みなのだということを、ぜひ知っておいてほしいと思います。
2つ目の理由は、国民年金の一部は消費税が財源となっているからです。
年金保険料を納めない人は、将来年金がもらえないわけです。しかし年金保険料を納めない人も、消費税は日々の生活の中で納めています。
その自分が払った消費税が、年金保険料を納めてきて受給資格のある人たちには年金として還元され、自分は受け取れないとなると、まさしく損をするわけです。
そして3つ目の理由は、年金は万一のときの「保険」になるからです。
現役世代の人であっても、たとえば交通事故や病気などで障がい者になったときに、年金保険料を納めていれば若いうちから「障害年金」を一生涯にわたって受け取れるのです。
だからこそ、20歳になったらすぐに手続きをして、年金に加入すべきなのです。
まだ学生で金銭的に納められないというときには、「学生納付特例」の手続きをすれば、後から支払うことができます。
特例期間中に障がい者になった場合も、年金を納付していたときと同じ満額の障害年金を受給することができます。
年金はまさに「リスクに備える」ということです。
***
TOP画像/(c)Adobe Stock
『池上彰の未来予測 After 2040』(池上彰 著/主婦の友社)
あなたは16年後の自分を想像できますか? あなたが今40歳なら、56歳。定年退職が見えてくる時期です。定年後、人生の節目を迎えてなお社会や家族から見放されないためには、過去の出来事から未来を予測し今から準備をする必要があります。とはいえ未来を考えると、暗い将来ばかりを思い描いてしまいがちです。たとえば円安がさらに進み、自分の収入だけでは生活できない経済状況になってしまわないか?大地震や富士山の噴火など未曾有の災害に襲われないか……などなど。不安というものは、いったん考え始めると次から次へと出てきて、思考が不安に支配されてしまいます。私はそうならないために、未来をなるべく楽観的に考えることを心掛けています。ですので、本書では明るい未来と暗い未来の両方を想像しています。あなたの未来が暗くならないために、今からどう行動していけばいいのか? 本書をそのきっかけにしてもらいたいと思います。