ロミオを通して、運命ってなんだろうって考えています
──初めてのシェイクスピア作品とのことですが、どんな感想をもたれていますか?
実際にロミオを演じながら感じるのは、これは愛と憎しみの物語でありながらも、『運命』についても考えさせられる話でもあるなと。たとえばロミオが行動しながら、どこかで嫌な予感がしたのか、それとも予期していないのか。果たして死が運命を導いているのか、それともロミオが死を引き寄せているのか、それとももう運命は最初から決まっていて、それをなぞっているだけなのか……。ロミオは、どこまで『運命』に気づいているんだろうかということを、最近は考えさせられます。
──誰もが知る古典の傑作だからこそ、ストーリーの向こう側を、知りたくなるかもしれませんね。
悲劇は、ロミオだけがその引き金になったわけではなく、周りの人々もそこに関与しているというのを感じます。『ロミオ&ジュリエット』は有名な話ですし、観客も物語を知っているわけですが、改めて鑑賞したあとに、何かもうひとつ伝わるものとして、 自分の行動ひとつひとつを考えるきっかけになっても、面白いなと思うんです。
──今回、演じるにあたり、気をつけていることはありますか?
ロミオが『いかに恋をしたことがないか』を、大切に演じています。それなりに色恋はあったと思いますが、純粋な恋というのを、おそらく彼はしたことがなくて。彼は家柄がよく、裕福で、才能もあり、周りの人たちに求められる環境下にいたと思うんです。でもそのスペックがゆえに、求められているのは、本当に僕自身なのかな?という疑念は、すごくあるんじゃないかと。なので一生恋ができないのではと、悩んでいると感じます。今までいかに恋をしたことがないかが、ジュリエットを慕う引き金にもなり、彼が死に至る引き金にもなったんじゃないかと思っています。
ロミオみたいに、僕もひとめ惚れするタイプです!
──ちなみに、このロミオと小関さんの共通点ってありますか?
僕もひとめ惚れするほうです!ロミオはジュリエットにひとめ惚れしたわけですが、僕も初めての印象や話した感じで、お仕事でご一緒した方などの人柄を、いろいろと察してしまうほうなので、そのあとも、その人の印象があまり変わらない。直感で『あ、好き!こんな感じの方なのかな』というのは、僕もありますね。そこくらいかな。
──なるほど(笑)ほかにも、ロミオってまっすぐで純粋な人柄だと思うんですけど、どうでしょう。
うーん、ロミオって、決して純粋じゃないと思うんです。
──あら!
彼は正義感がありますし、 周りに真面目といわれるほうですが、実はそう思われるのが嫌いだと思うんです。ベンヴォーリオとかマーキューシオみたいな、ちょっとくだけた人物と仲間で、彼らとの時間を大事にしている部分が、その表れで。だから純粋というよりは、意外と複雑なのかもしれないです。だから反発したいという思いは、すごくあると思います。
──とても興味深い分析ですね!小関さんも自分と重ねて、共感するところがあるのでしょうか。
そうですね。10代のころは、そういう部分はあったのかなと思います。
後編は、本作に挑むにあたり、小関さんがプライベートで実践していることを教えていただきます!
【INFORMATION】
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
原作:ウィリアム・シェイクスピア
作 :ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)
出演:小関裕太/岡宮来夢、吉柳咲良/奥田いろは(乃木坂46) ほか
【東京公演】 2024年5月16日(木)〜6月10日(月)新国立劇場 中劇場
【愛知公演】2024 年 6 月 22 日(土)・6 月 23 日(日) 刈谷市総合文化センター
【大阪公演】2024 年 7 月 3 日(水)〜7 月 15 日(月・祝) 梅田芸術劇場メインホール
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撮影/高木亜麗 スタイリスト/能城匠 ヘア&メイク/Emiy(エミー) 構成/湯口かおり