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LIFESTYLE

2023.07.24

俳優・木南晴夏インタビュー「仕事づけの日々も、ひと息つくことも、30代には大事です」

出演作品が途切れることなく続いている木南晴夏さん。順調に見えても、そこに至るまで先の見えない不安に押しつぶされそうな時期もあったという。それを乗り越えて迎えた30代、ひと休みして見えた、仕事の楽しさ、休む意味、そして家族との時間を語ります。

俳優・木南晴夏が語る、仕事の楽しさ、休む意味、そして家族との時間

自分の将来が見えなくて、ずっと不安だった20代

「働くことが大好き。忙しいのも大好き。休みがあると不安になってしまうほどでした」と自身の仕事観を振り返る木南晴夏さん。ただし、それは30代を迎えるまでのこと。

木南晴夏

「お芝居の仕事を始めたのは18歳のときでした。自分から望んだことではあったけれど、すぐに仕事があるはずもなく…。オーディションを受けては落ちてばかりの毎日でした。なんでもやります!と意気込んではいても、将来も見えなくて、ただただ不安で。

22歳のとき、ヒロイン役をやりたくて映画『20世紀少年』のオーディションを受けたときも、選ばれたのはヒロインの友達。正直、“また友達か”とガッカリしたものでした。

友達役なら散々やってきたし、ヒロインじゃないなら意味がない。違う仕事を考えたほうがいいのかもしれない。そう思って『やりたくない』と言った私に、『ヒロインでなくても大事な役だから』と背中を押してくれたのは、当時のマネージャーでした」

映画『20世紀少年』シリーズでの木南さんの演技は高評価を得て、自身の代表作となった。その後、“ヒロインの友達”だけではなく、姉妹や仲間、後輩や上司など物語に欠かせない役割を担うように。

リアルで親近感のある、木南さんだけの「仕事」がいつしか確立されていった。

不安だったとき、『絶対に大丈夫』と言ってくれたのは家族だった

木南晴夏

ブラウス¥50,600・スカート¥79,200(メゾン・ディセット〈DAWEI〉)靴¥116,600(ジャンヴィト ロッシ ジャパン〈Gianvito Rossi〉) イヤーカフ¥20,900・コインネックレス¥22,000(マリハ) その他/スタイリスト私物

「私にしかできないことがある。そう思えたら、ひとつひとつの仕事がありがたくて、幸せで、すべて断ることなく受けようと決めました。ひとつ仕事が終わると、次はどうなるかな、と不安を抱えながらも、20代は夢中で走り続けて。

もし、最初から主演やヒロインで、仕事は求めなくてもやってきて…という環境だったら、違っていたことでしょう。

だから、30代になって子供を持つとき、いっときでも仕事を離れるのは、ものすごく不安でした。世の中から忘れられちゃうんじゃないか。復帰できないんじゃないか。そのとき、『絶対に大丈夫』と言ってくれたのが、家族でした。

育児も家事も、母親だけが背負うのではなくて、夫をはじめ、家族… 両親もきょうだいも、みんなで協力し合えばいい。何かあれば遠慮なく助けを求めるようになりました。

そうやって乗り越えてきて今、子供が描く家族の絵は、パパ・ママだけじゃなく、おじいちゃん・おばあちゃんまで入った大家族! です」

私の人生、仕事しかないと思っていたけれど、案外そうでもなかった

ひと息ついたその先に、これまでと違う世界が開けることもある

コロナ禍や働き方改革とも相まって、世間の「休むこと」の意識が変わってきたことも、後押しになった。木南さんは、1年間という自己最長の休みをとって、仕事に復帰した。

木南晴夏

ベスト¥82,500・スカート¥121,000・靴¥115,500(パラグラフ〈Plan C〉)イヤリング¥45,960(ホアキン・ベラオ) ブレスレット[手首側]¥33,000・ブレスレット[肘側]¥39,600(ブランイリス トーキョー〈blanc iris〉)

「休むことに負い目を感じる必要もないし、今ならそのすばらしさを堂々と語ることもできます。もちろん、子供と過ごしていれば、自分ひとりの時間はほとんどないけれど、だからこそ仕事も趣味も、ものすごく集中できるとわかりました。

もし、仕事に夢中で立ち止まることが怖いという人がいたら、思いきって休んでみることを、おすすめしたいです。心のどこかで休みたいと感じているなら、なおさら。ひと息ついたその先に、これまでと違う世界が開けることもあるから。

私は、育児の合間をぬって、絵画教室に通い始めました。何も考えず、絵を描くことだけに集中するのは、貴重なリフレッシュ時間です」

「キナミのパン宅配便」をプロデュース

30代になって新たに始まったことに、「キナミのパン宅配便」もある。子供のときからパン好きだった木南さんがプロデュースする、パンの定期便。実際に食べて選んだパン(しかも全国津々浦々の)が、木南さんのメッセージカードと共に届くというサービスだ。

木南晴夏

「大人になった今思うのが、パンがそこにあるだけで、大人も子供もみんなが笑顔になれる。食卓が明るくなって、ハッピーな気持ちになれる。

宅配便で届けるパンは、どれも私がみなさんにおすすめしたいもの。なかなか行けない場所の小さなパン屋さんも含め、日本全国をパンで旅することができます。私自身が大好きな食パンなどシンプルなものはもちろん、甘いパンやおやつ系も混ぜて6〜8個が一回に届けられます」

やりたいことも焦らずいったん置いて、温めておく時期があってもいい

さらにその先、木南さんが目指すのは、大好きな絵とパンをドッキングさせて「パンの絵本をつくること!」。今となっては、俳優の仕事も、パンに関わることも、「好き」でやっているので、仕事という感覚から離れつつあるという。

木南晴夏

「少しずつ、趣味を楽しむことに近くなっているかもしれません。そして、映画も舞台も、とやりたいことはたくさんあるけれど、焦らずいったん置いて温めておく時期があっても、いいんじゃないかな。

今いちばん幸せなのは、子供の言動を見て大笑いしている時間。大人では思いもよらない発想、行動が面白くて、発見の連続です。

そして私の人生、仕事しかないと思っていたけれど、案外そうでもなかった(笑)。もしかしたら、これが最大の発見だったのかもしれません」

⚫︎この特集で使用した商品の価格はすべて、税込価格です。

2023年Oggi8月号「この人に今、これが聞きたい!」より
撮影/YUJI TAKEUCHI(BALLPARK) スタイリスト/中井綾子(crêpe) ヘア&メイク/坂本志穂 構成/南 ゆかり
再構成/Oggi.jp編集部

木南晴夏

木南晴夏(きなみ・はるか)

1985年生まれ、大阪府出身。2004年に女優デビュー。代表作に、映画『20世紀少年』シリーズ、『百年の時計』『闇金ウシジマくんPart2』、連続テレビ小説『風のハルカ』『てっぱん』『マッサン』、ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ、『おいハンサム!!』『君の花になる』『ブラッシュアップライフ』など。食生活アドバイザー3級・パンシェルジュ2級を取得。

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
【消費税の価格表記について】 記事内の価格は基本的に総額(税込)表記です。2021年4月以前の記事に関しては税抜表記の場合もあります。

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